東京駅から新幹線で約5時間。福岡市は福岡県の西部で玄界灘に面する、人口約160万人の城下町かつ港町。政令指定都市かつ福岡県の県庁所在地で、九州の鉄道や経済の中枢である大都市。駅弁は主に新幹線ホーム、新幹線コンコース、改札外の東西自由通路の売店で、地元や九州一円や西日本のものが多種売られる。1889(明治22)年12月11日開業、福岡県福岡市博多区博多駅中央街一丁目。
博多駅の駅弁売店「驛辨當」での「旅ものがたり九州七つ街道めぐり」キャンペーンに伴い、2013(平成25)年2月1日に発売された7種類の駅弁「唐津街道」「豊後街道」「長崎街道」「島原街道」「人吉街道」「日向街道」「薩摩街道」のうちのひとつ。調製元は鳥栖駅弁の中央軒だが、博多駅でのみ売られる駅弁。食品表示ラベルでの商品名は「七つ街道めぐり 長崎街道」、レシートでの表記は「長崎街道弁当」。
掛紙には上記7街道の略図と、長崎街道の路線図と、小倉城、かしわめし、しゅうまい、ようかん、ムツゴロウ、角煮、ビワにみえる、沿線の名物らしきアイコンを描く。正方形の容器の真ん中にかしわめしを、鶏飯を鶏フレークと錦糸卵と刻み海苔で覆う御飯を据え、周囲を角煮、カボチャや蓮根などの煮物、鳥栖の焼麦(しゃおまい:焼売)、わさび漬け、有頭海老、牛焼肉などのおかずと、ビワやようかんなどの甘味で囲む。小倉城とムツゴロウ以外のアイコンが、ちゃんと入っていた。
2013(平成25)年に博多駅で発売か。正方形の掛紙も容器も、大きめなつくり。掛紙に見事な写真とお品書きで紹介される中身は「さばバッテラ寿し 穴子押寿し めんたい飯 サザエつぼ焼 サゴシ柚庵焼 海老八方 花蒲 なます さつまあげ 玉子焼 がめ煮 ぜんまい 松笠いか 青唐 他」とある。これはまるで料亭の仕出しかお土産か、おつまみ向けの味覚に優れた視覚で訴える、上質なお食事。
調製元は料亭でも駅弁屋でもなく「高齢者事業所向け配食」を名乗る。価格は2013年時点で1,080円、2018年時点で1,280円、2022年時点で1,380円、2024年9月のJR九州の駅弁キャンペーン「第15回九州駅弁グランプリ」へのエントリー時で1,480円。
※2024年9月補訂:値上げを追記駅弁の名前は「九州トリップ弁当」とも。2020(令和2)年の夏までに、博多駅や小倉駅などで発売か。各社から時々出てくる、全九州の食を詰め込んだ博多駅弁の、博多松栄軒バージョン。専用の紙箱には沖縄を含む九州8県の地図がデザインされる。9区画の中身は、長崎とする角煮と玉子焼、宮崎とする鶏の炭火焼、福岡の福鯖と熊本の高菜、福岡とするかしわ飯、佐賀牛めし、福岡とする辛子明太子と白飯、鹿児島とする黒豚焼売、熊本とする馬肉コロッケ、沖縄のゴーヤのフライと大分のとり天。
予備知識でお品書きを読めば、内容としてはそうなのだろうと思うけれど、食べれば九州らしい味は高菜だけに思える惣菜弁当。その点で新幹線の旅行者が列車内で無難な弁当あるいはおつまみとしていただくのに、適した形態かもしれない。価格は2022年の購入時で1,150円、2023年時点で1,250円。
※2023年7月補訂:値上げを追記調製元の博多駅弁への進出に合わせて、2018(平成30)年の冬までに発売か。正方形の9区画に、高菜、かしわ、明太子で3種の御飯にいかしゅうまい、焼鮭と玉子焼、筑前煮、鶏唐揚、大根漬、わらび餅という、ほのかな福岡感。
ネットで調べると、この駅弁は過去にはジェイアールサービスネット福岡の商品だった模様。やはり同社の調製所が、広島駅の駅弁屋である広島駅弁当に移管され、ここが設立し博多駅の駅弁屋とした博多寿改良軒の駅弁になったのかと思った。2020年の春頃までに終売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2018(平成30)年の春までに発売か。コンビニ弁当風のプラ容器に、掛紙の機能を持つカラーコピーの紙帯を締める。中身は笹巻きと梅&ひじきの手まり飯が1個ずつと、細巻き大のおいなりさん2本、鶏唐揚、奈良漬、プチトマト、らっきょうなど、そして串に刺さった玉子焼と明太子焼、メヒカリ唐揚、薩摩揚、タマネギなど。九州をテーマにした創作だと思うのだが、商品に解説がなく、紹介例も皆無。どんなコンセプトで開発したのか聞いてみたいところ。2019年までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記博多駅の駅弁売店「驛辨當」での「旅ものがたり九州七つ街道めぐり」キャンペーンに伴い、2013(平成25)年2月1日に発売された7種類の駅弁「唐津街道」「豊後街道」「長崎街道」「島原街道」「人吉街道」「日向街道」「薩摩街道」のうちのひとつ。調製元は鹿児島県出水駅弁の松栄軒だが、博多駅でのみ売られる駅弁であると思われる。
人吉の街道と名物を描く掛紙を巻く、細長い容器の中身は、味付飯を錦糸卵で覆ってウナギ蒲焼を載せる御飯と、桜島鶏の照焼、薩摩揚げ、アユ甘露煮、ダイコンやレンコンなどの煮物、クリ、玉子焼、つぼ漬などのおかず。せっかくのキャンペーンなので、売店でも掛紙でももっと、コンセプトを語って欲しかったと思う。2014年限りで終売か。
※2017年2月補訂:終売を追記九州新幹線鹿児島ルートの全線開業を記念して、2011(平成23)年2月7日から6月末まで販売されたお弁当。その後も販売が継続された。正方形の容器に、九州新幹線向けN700系電車と沿線各地の観光写真を印刷したボール紙でふたをする。
9区画の中身は明太子載せ御飯、ちらし寿司、サクラエビの俵飯、鶏飯、玉子焼と馬肉コロッケ、筑前煮、肉焼売とサバ塩焼、黒豚生姜焼、とり天とイカ天。お品書きによると九州7県で1品ずつ中身が結び付く。9区画中4区画も御飯を詰めているが、おかずも事欠かないため、御飯が余ることはない。価格は2011年の購入時で1,050円、2014年4月の消費税率改定で1,080円。後に調製元が北九州駅弁当に替わり、2019年までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記1990年代には誕生していた模様。JR西日本の駅弁キャンペーン「駅弁の達人」の実施に伴い、2004年5月1日にリニューアル。長方形の容器の真ん中に九州型の日の丸御飯を置き、その周囲に九州各県の名物として、福岡の辛子明太子、長崎の豚角煮、熊本の辛子蓮根、鹿児島の薩摩揚などを配置する。調製元はJR西日本の孫会社なので、販売は山陽新幹線の駅構内に限られる模様。2004年度のJR西日本の駅弁キャンペーン「駅弁の達人」の対象駅弁。
九州型の御飯を見るまでもなく、そのコンセプトは博多駅弁「九州の彩」と同じ。しかしこちらはふたのイラストで中身を説明し価格も安いので、軍配はこちらに上がる。しかし博多の辛子明太子、熊本の辛子蓮根、佐賀の野菜入粕漬と、個人的に非常に苦手な刺激物が続き、九州の人は辛い物に強いのだろう。2008年頃までの販売か。
※2015年10月補訂:終売を追記JR九州の駅弁日本一キャンペーンの一環として、1987(昭和62)年6月1日に発売。縦横比が1対ルート5くらいの経木枠な長方形の容器を使用、正方形分を仕切りで9区画に分割し、そこに佐賀の菜隠漬、長崎のイワシしぐれ煮、鹿児島の豚角煮など九州各県の味を配置する。残る部分は海色のトレーに九州の形をした御飯が入るが、これも太宰府の部分に梅を、中部の山岳地帯に青海苔を、南部は桜島噴火をイメージして黒ゴマを載せたりも。高価だがこのこだわりが支持され雑誌等での紹介では博多駅の代表的な駅弁の地位を確保するが、現地でふらりと入手できる確率は低い。
この駅弁は2007年10月現在で外観も中身もリニューアルされているようで、価格も1,200円に改訂されている。2010年12月限りで調製元が駅弁から撤退、この駅弁も買えなくなった。
※2011年2月補訂:終売を追記1994(平成6)年9月25日17時の調製と思われる、昔の博多駅弁の掛紙。その絵柄や記載内容は、下記の1993年1月のものと同じ。県名になった那珂川の西側の城下町福岡と、駅名になった東側の港町博多は、それらの名を決めた明治時代当時は別の街であり、この掛紙に記されるとおり、博多弁と福岡弁という異なる方言が使われていた。今では一体となり、福岡弁は使われなくなったらしい。
1993(平成5)年1月2日14時の調製と思われる、昔の博多駅弁の掛紙。絵柄から博多人形や一寸法師をイメージしたがどうか。この絵柄は昭和50年代から平成時代まで、博多駅弁の幕の内弁当で長く使われた。