東京駅から新幹線で約5時間。福岡市は福岡県の西部で玄界灘に面する、人口約160万人の城下町かつ港町。政令指定都市かつ福岡県の県庁所在地で、九州の鉄道や経済の中枢である大都市。駅弁は主に新幹線ホーム、新幹線コンコース、改札外の東西自由通路の売店で、地元や九州一円や西日本のものが多種売られる。1889(明治22)年12月11日開業、福岡県福岡市博多区博多駅中央街一丁目。
2018(平成30)年8月7日に博多駅で発売。兵庫県の西明石駅弁「ひっぱりだこ飯」の発売20周年を記念した企画の第1弾として、この駅弁の福岡版を制作したそうな。見た目や内容や風味は、西明石駅弁とほとんど同じ。福岡版ということで、掛紙に博多祇園山笠を描き、中身に辛子明太子を加えた。価格は2018年の発売時で1,100円、2023年時点で1,200円。
大分県や県内3市、観光事業者やJR九州やJR西日本などの交通事業者で構成する「おおいた観光周遊促進協議会」が、2016(平成28)年4月29日から11月23日までの予定で始めた観光キャンペーン「名探偵コナンおんせん県おおいたミステリーツアー」の一環で、同年8月10日から11月30日までの期間限定駅弁として、新幹線の小倉駅と博多駅で花火。後に熊本地震の発生を理由に、観光キャンペーンの期間が2017(平成29)年2月28日まで延長されたため、この駅弁の販売期間も延長された模様。
この駅弁のつくりは、青山剛昌の漫画「名探偵コナン」にちなみ、作品中に登場した「弁当型携帯FAX」を模している。漫画の主人公とロゴマークとアイテムを描いたふたを取ると、中身の半分だけ日の丸御飯の絵柄を持つふたで覆われ、これを持ち上げるとFAXの画面と操作盤の絵柄が現れる。漫画では梅干しを押すと画面が持ち上がり、FAX機になったらしい。中身は日の丸御飯に明太子の蝶ネクタイを置き、エビフライ2本、鶏つくね、うずら卵2個、うの花サラダ、しらたきミートソース、和菓子。味はまあまあでも、1,680円という高価に見合うものではなく、「全9品の豪華お弁当!」は煽りすぎ。
2013(平成25)年の秋頃から半年間程度、火曜と金土日曜に販売か。当時の博多駅の駅弁売店「駅弁当」に、「富士」「はやぶさ」「明星・あかつき」「なは」「さくら」「みずほ」の寝台特急ヘッドマークと、それぞれの駅弁の中身写真を印刷したポスター「青いながれ星ブルートレイン」が掲示されていた。
この「なは」の調製元は、出水駅の駅弁屋。折尾駅の駅弁「大名道中駕籠」などで使われる、ボール紙製のかご型の二段重ねの容器を使う。その下段に味付飯を詰めて錦糸卵で覆い焼き鳥を並べ、上段にとんこつ、ブリ照焼、薩摩揚、さつまいも、玉子焼、煮物、柴漬けなどを詰める。
寝台特急列車「なは」は、主に新大阪駅と西鹿児島駅を、東海道本線と山陽本線と鹿児島本線を経由して結んだ列車。同区間の寝台特急列車には「明星」の列車愛称が付いていたが、沖縄の本土復帰を願って付けた列車名が、1975(昭和50)年3月の新幹線の博多開業で昼間の特急から夜行の特急列車のうち1往復分に回ってきて、列車の減便により「明星」がなくなり「なは」が残った。2008(平成20)年3月に廃止。
2013(平成25)年の秋頃から半年間程度、火曜と金土日曜に販売か。当時の博多駅の駅弁売店「駅弁当」に、「富士」「はやぶさ」「明星・あかつき」「なは」「さくら」「みずほ」の寝台特急ヘッドマークと、それぞれの駅弁の中身写真を印刷したポスター「青いながれ星ブルートレイン」が掲示されていた。
この「はやぶさ」の調製元は、出水駅の駅弁屋。鹿児島中央駅弁「かごしま黒豚ハンバーグ弁当」などで使われる、正方形の容器を使う。周囲にえびめし、えび天むす2個と辛子明太子、串カツとブリ照焼と抹茶ゼリー、玉子焼と高菜と薩摩揚と昆布佃煮を並べ、真ん中にタコやレンコンなどの煮物を据える。
寝台特急列車「はやぶさ」は、主に東京駅と西鹿児島駅を、東海道本線と山陽本線と鹿児島本線を経由して結んだ列車。1980年代は最重要な鉄道幹線を走り抜ける日本最長距離列車であったが、1990年代以降は朽ちるに任せ、車両も時刻も運賃も評判もボロボロの状態になり、2009年3月の廃止を迎える。列車愛称は2011(平成23)年3月に、東北新幹線の最高速列車へ転用された。
2013(平成25)年の秋頃から半年間程度、火曜と金土日曜に販売か。当時の博多駅の駅弁売店「駅弁当」に、「富士」「はやぶさ」「明星・あかつき」「なは」「さくら」「みずほ」の寝台特急ヘッドマークと、それぞれの駅弁の中身写真を印刷したポスター「青いながれ星ブルートレイン」が掲示されていた。
この「富士」の調製元は、小倉駅の駅弁屋。小倉駅弁「復刻おべんとう」などで使われた、正方形の容器を使う。トレー外に日の丸俵飯を詰め、トレーにチキンカツのソース漬け、焼鮭、有頭海老、玉子焼、かまぼこ、煮物、柴漬け、うぐいす豆、ミカンのシロップ漬などを詰める。1968(昭和43)年当時の駅弁幕の内を再現したという。
寝台特急列車「富士」は、主に東京駅と宮崎駅を、東海道本線と山陽本線と日豊本線を経由して結んだ列車。第二次大戦前は今でいうグランクラスやグリーン車やA寝台のみを連結した国内最高峰の豪華列車であったが、第二次大戦後はなぜか亜流の列車名に。1970年代は日本最長距離列車であったが、1990年代以降は朽ちるに任せ、車両も時刻も運賃も評判もボロボロの状態になり、2009年3月の廃止を迎える。
2013(平成25)年の秋頃から半年間程度、火曜と金土日曜に販売か。当時の博多駅の駅弁売店「駅弁当」に、「富士」「はやぶさ」「明星・あかつき」「なは」「さくら」「みずほ」の寝台特急ヘッドマークと、それぞれの駅弁の中身写真を印刷したポスター「青いながれ星ブルートレイン」が掲示されていた。
この「みずほ」の調製元は、ブルートレインの時代には駅弁屋でなかった、博多駅の駅弁屋。長方形の容器に、白飯と海苔巻とかしわめしの俵飯を詰め、有頭海老、明太子、鮭塩焼、玉子焼、鶏唐揚、豚角煮、焼売、味噌カツ、辛子蓮根、サツマイモなどを添える。その内容の一部、東京と九州を結んだ寝台特急列車の停車駅と結び付けられている。
寝台特急列車「みずほ」は、主に東京駅と熊本駅を、東海道本線と山陽本線と鹿児島本線を経由して結んだ列車。その役割は「はやぶさ」や「さくら」の補完であり、地味な存在のまま、今回に取り上げられた7列車の中で最も早く、1994年12月に廃止された。朽ちる前に引退できたとも見える。その列車名が2011年3月に、列車愛称の公募結果を押しのけて、山陽・九州新幹線直通の最速列車に転用されてびっくり。
2013(平成25)年の秋頃から半年間程度、火曜と金土日曜に販売か。当時の博多駅の駅弁売店「駅弁当」に、「富士」「はやぶさ」「明星・あかつき」「なは」「さくら」「みずほ」の寝台特急ヘッドマークと、それぞれの駅弁の中身写真を印刷したポスター「青いながれ星ブルートレイン」が掲示されていた。
この「あかつき」の調製元は、鳥栖駅の駅弁屋。細かく仕切られた長方形の容器に、アサリ飯とフグ飯、サワラ西京焼、お好み焼き、いか焼売と焼き明太子、焼きラーメン、菜の花と湯葉の和え物、豚角煮、びわとチェリーを詰める。その内容は「あかつき」が走った沿線と結び付けられている。掲示のポスターでは「明星・あかつき」のヘッドマークで紹介されていたが、実物はこのとおり「あかつき」のみ。
寝台特急列車「あかつき」は、主に大阪駅と長崎駅や佐世保駅を、東海道本線と山陽本線と鹿児島本線と長崎本線や佐世保線を経由して結んだ列車。1970年代は新幹線の博多開業と国鉄運賃の値上げで縮減したものの、以後は車両も時刻も今回に並んだ他の列車ほど痛まずに済み、しかし他の夜行列車とともに2008年3月に廃止。日の出前や明け方を指す「暁(あかつき)」という日本語そのものが、使われなくなってきていると思う。
2014(平成26)年1月から翌年3月頃までの販売か。きっと、2014年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の放送に合わせて売られたのだろう。福岡県や福岡市などが大河ドラマのために設けた「「軍師官兵衛」福岡プロジェクト協議会」のキャラクター「ふくおか官兵衛くん」の姿が、パッケージに見える。中身は醤油や生姜の炊込飯を、錦糸卵、明太子、高菜漬のストライプで覆い、レンコンやタケノコやイカなどの煮物と、鶏とハモの唐揚げ、玉子焼、梅甘露煮などを添えるもの。コンセプトは分からなかったが、ボリュームたっぷりのお弁当だった。
博多・長崎間の特急「かもめ」への白い顔の新型車両「白いかもめ」の投入を記念して、2000(平成12)年に発売。正方形の容器の内部は「白いかもめ」のロゴマークにも描かれるかもめをイメージした曲線で仕切られ、桜型の鮭御飯と鶏御飯を左右に、うずらのゆで卵を真ん中に配置、なすの煮物や玉子焼などが入り、購入時では春なのでつくしの和え物も入っていた。
すべて食べ終わると空色の底が出てきて、かもめが大空に舞い上がる、という仕掛け。駅弁のコンセプトがまったく記されていないため、味は良いのに中身が隙間だらけの寂しい駅弁とも見えてしまう。能書きが欲しいところ。新型車両投入前の「かもめ」には帯ひものような真っ赤な色の電車が使われていた。
なお、2006年10月時点で、駅弁の名前と価格を変えないまま中身と容器が全面的に変更されている模様。2010年12月限りで調製元が駅弁から撤退、この駅弁も買えなくなった。
※2011年2月補訂:終売を追記