東京駅から新幹線で3時間強。姫路市は兵庫県の南西部で瀬戸内海に面する、人口約53万人の城下町。製鉄や液晶などの臨海工業で栄え、国宝で世界遺産の姫路城が観光客を集める。駅弁は明治時代からの駅弁屋「まねき食品」が、アナゴや姫路城などの駅弁を販売。1888(明治21)年12月23日開業、兵庫県姫路市駅前町御殿前。
1949(昭和24)年10月に姫路駅のホーム上で誕生した、姫路の名物である「えきそば」が即席麺になった。透明なプラ容器に150グラムの麺、粉末スープ、天ぷら、ねぎ、七味唐辛子が入る。まずは麺を湯通しし、次に粉末スープを沸騰させ汁をつくり、最後に鉢の中に入れた麺と天ぷらと薬味の上から汁をかける。これであの味と香りが家庭で再現できる。この1人前の他に、2人前(560円)や乾麺タイプの箱入り3人前(1,080円)というパッケージもある模様。
姫路では「えきそば」は、駅の立ち食いそば全般を指すのではなく、ここのこれの固有名詞である。この存在がどれだけすごいか、21世紀に国庫補助の公共事業で高架化された駅のホームに、給排水設備を設けてまで、しかも山陽本線の上りホームと下りホームの2箇所も、立ち食いそば屋が設けられたことが示す。和風だし汁のラーメンという奇抜な組合せはきっと、一度目は駄目でも二度目からはくせになるはず。
姫路駅名物の「えきそば」の、乾麺タイプのお土産品。先に商品化された上の生麺タイプよりも長期保存が可能で、その期間はおそらく半年間か。えきそばや調理員や店舗の写真を載せる分厚いボール紙の箱に、乾麺と乾燥スープと天ぷらと唐辛子が、それぞれ3つずつ入っている。底面の調理方法どおり作れば、いつでも姫路駅のえきそばが食べられるかといえば、生麺タイプと異なり、ちょっと違う風味かとは思った。価格は2014年の購入時で1,050円、同年4月の消費税率改定により1,080円。
2021(令和3)年2月22日に近畿地区で「きつね」と「天ぷら」を税別各193円で発売。姫路駅の名物である「まねきのえきそば」が、日清食品のカップ麺になった。ふたにもちゃんと「姫路駅名物」「まねきの」と書いてあり、その裏面ではえきそばと店舗を紹介する。全国で親しまれる1976年生まれの即席カップうどん・そば「どん兵衛」と同じ構造のどんぶり型プラ容器に、えきそばの乾麺と乾燥厚揚げと、粉末スープと一味唐辛子の袋を封入。袋を取り出し、熱湯380ml4分で出来上がり。
現地の現物や上記の土産物と、違う感じで普通のカップラーメンのような麺と、同じ感じの味のスープが、輸送できてお湯があれば全世界で味わえる。過去に各地で出た同じようなカップ麺と違い、駅弁屋でなく日本全国で売られる商品を持つ食品会社大手の製品であるため、お店になくても近畿地方でなくても、一般的なネット通販で容易に買える強みがある。姫路駅ではコンビニに加えて、駅弁売店でもこれが買えた。日清食品のプレスリリースによると、2021年8月2日にも新発売、2022年8月1日にも税別各214円で、2024年2月26日と2024年7月29日にも税別各236円で新発売。
2021(令和3)年2月22日に近畿地区で「きつね」と「天ぷら」を税別各193円で発売。商品名と中身のうち乾燥厚揚げを乾燥天ぷらに置き換えた以外は、上記の「まねきのえきそばきつね」と同じ。厚揚げも天ぷらも、日清食品の他のカップ麺で食べたような気がする。特注や限定でないから、普通のカップ麺と同じような値段で買えるのだとも思う。何度もの新発売のリリースも、「きつね」と共にある。
2014(平成26)年までにはこの名で発売か。春季あるいは3月から5月まで販売する、姫路駅の春のお弁当。仕出し弁当向け弁当箱の構造を持つ専用の紙箱に詰めた黒いプラ製トレーに、たけのこ御飯、焼サバ、玉子焼、鶏八幡巻、れんこんの磯辺揚げ、枝豆と豆腐の天ぷら、あさり佃煮、有頭海老、しいたけ、高野豆腐、肉団子、そらまめ、酢の物、柴漬け、桜餅。春らしい食材を取り入れた、仕出し弁当タイプあるいは幕の内弁当タイプの駅弁。6月から8月までは「夏膳」、9月から11月までは「秋膳」、12月から2月までは「冬膳」を販売。
2010年代か、それ以前から存在していた商品か。もとは調製元の仕出し弁当店ブランド「味三昧」で取り扱われ、のちに駅弁売店で出てきたのではないかと思う。ふたに商品名を描いた細身の容器は、長方形3個分。その左右に栗を載せた花形の赤飯と、アナゴやシイタケなどのちらし寿司を据え、中央に鶏照焼、高野豆腐、こんにゃく煮、小松菜漬、玉子焼、かに風味蒲鉾などのおかずや付合せ。駅弁の発想では生まれないようにみえる、軽食以上の分量を持つ小箱。価格は2017年時点で600円、2023年時点で700円、2024年時点で780円。
姫路駅で昭和時代から売られる駅弁ではないかと思う。大名巻やDAIMYOMAKIと書かれた専用の紙箱に、すると大名巻と呼ぶのだろう、玉子焼と焼穴子と椎茸と生姜とミツバを酢飯と焼海苔で巻いた太巻きが1本、8切れにカットされて収まる。弁当店の太巻きとして、しっかりできた印象。今は全国的に普及した節分の恵方巻と違い、価格も内容も落ち着いている。ただし、価格は2010年時点で580円、2014年4月の消費税率改定で600円、2017年時点で650円、2022年時点で800円、2023年時点で860円、2024年時点で960円と、他の駅弁より値上げ幅が大きい。
2000年代に姫路駅で発売か。楕円形の容器にだし飯を詰め、タコ煮のスライスと錦糸卵で覆い、煮物を添える。タコ駅弁の筆頭である西明石駅「ひっぱりだこ飯」や、タコ駅弁の元祖である三原駅「珍辨たこめし」や、かつての高松駅「たこ飯」とは違い、知名度がなく、2000年代には明石ダコの使用をうたったタコの身と味に締まりがなく、駅弁催事に出てこない。だし飯の柔らかな食感と風味も手伝い、柔らかいタコをたっぷり食べさせてくれる印象を受ける、唯一無二のタコ駅弁。タコの駅弁そのものが珍しい存在なので、比べる相手もこれくらいしかいない。価格は2010年時点で930円、2014年時点で1,000円、2019年時点で1,100円、2022年時点で1,150円、2024年時点で1,180円。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2022(令和4)年秋の新商品か。翌2023年10月に改めて新商品として出てきて、JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2023」にエントリー。昭和60年代に「博多三色弁当」など各地で駅弁の容器として使われ、2017年にJR30周年で復刻販売された当時の姫路駅弁「櫓弁当」でも使われた、赤と緑と黒の紙箱を重ねた容器を収めるスリーブには、もちろん今の姫路城の写真と、その紹介文や商品名が描かれる。姫路城世界文化遺産30周年で三段にしたのかどうか。
中身は黒い下段が鯛飯、緑の中段と赤い上段は松花堂弁当のように4区画に仕切られ、白身魚フライ、大根なます、ひじき煮、黒豆と鶏照焼と野菜さつま揚げ、がんもどきとれんこんとこんにゃくの煮物、小松菜漬、さば塩焼きとカニ風味かまぼこ、姫路城型ニンジンと金平ごぼう。中身と姫路や姫路城の関連はよくわからなくても、おかずの品揃えの豊富さと、出汁が豊かな鯛飯が印象的。
2022(令和4)年7月1日に姫路駅や京阪神エリアで発売、9月30日まで販売。2023年7月から9月までのJRグループの観光キャンペーン「兵庫デスティネーションキャンペーン」のプレキャンペーン企画の一環として、新神戸駅弁の淡路屋と姫路駅弁のまねき食品がそれぞれ、兵庫県の食文化がまるごと味わえるオリジナル弁当を発売した。新神戸版は「ひょうご日和」(1,250円)。
ふたには兵庫県土のシルエットと商品名、中身の写真とおしながき、観光キャンペーンのキャッチフレーズ「兵庫テロワール旅」の表記がある。中身は但馬牛牛めし、瀬戸内真蛸のちらし寿司、相生深山農園様の椎茸カレーパン粉焼き、揖保乃糸素麺サラダバジル風、淡路鶏の味噌焼き、淡路玉葱の素焼き、姫路城型人参など。これは今の兵庫県のうち主に瀬戸内海エリアで親しまれたり売り出し中の味覚を、かなり貪欲に詰めた玉手箱。
販売期間が終わった10月以降も、少なくとも大阪駅では売り続けたようで、今回は2023年3月18日にオープンした大阪駅うめきたエリアに、梅田貨物線の付け替えで新設された仮称「北梅田駅」のコンコースに設置された駅弁自動販売機で買えた。古くからゲームセンターやカーフェリーにあったと思うロッカー型の自販機に、冷蔵機能とタッチパネルと電子決済機能を組み込んだマースウインテックの製品「Infinity Station COLD+」に、京阪神エリアの駅弁を、といっても調製元は淡路屋かまねき食品だが、収めて自動販売。このエリアではテレビ番組で話題になった顔認証改札機や移動可能なフルスクリーンホームドアに加え、AI券売機やAI案内所、デジタル案内板や宅配ロッカーなどの、無人化技術や自動機器の実験場となっている。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2022(令和4)年秋の新商品か。過去にも姫路駅弁の実演販売などで使われた、4区画の長方形容器に、蛸(たこ)のちらし寿司、穴子めし、牡蠣(かき)めし、鯛めしを詰める。これらの内容はすべて既存の姫路駅弁で、それぞれおいしかった記憶があり、これは便利でうまい姫路駅弁一覧。おかずも漬物も調味料も何も添付しない潔さは、催事向けだからかどうか。
1990年代までには発売か。姫路駅弁のロングセラー。正方形の容器を対角線に区切り、半分で赤飯に小さな栗をチラシ、残りの半分で筑前煮と肉団子、残りに焼サバ、玉子焼、花豆、かまぼこ、しば漬。「栗おこわ」なのに赤飯を使うのは岡山駅の駅弁と同じで、ここでも郷土料理なのだろうか。価格は2003年時点で750円、2014年時点で810円、2016年時点で850円、2019年時点で880円、2022年時点で920円。
※2023年3月補訂:写真を更新し解説文を手直し2003(平成15)年3月22日に購入した、姫路駅弁の掛紙。上記の2022年ものと、容器と中身はだいたい同じ。駅で買えた駅弁なのに、掛紙の絵柄は場所も中身も表さない、仕出し弁当か何かのよう。
2021(令和3)年11月26日に姫路駅で発売。姫路駅弁のまねき食品と横浜駅弁の崎陽軒のコラボレーション企画として、横浜と日本を代表する駅弁「シウマイ弁当」の関西版を開発し、一日100個限定で売り出した。政府の新型コロナウイルス感染症対策により旅行者や鉄道利用者が激減し、売上を落とし大きな打撃を受けた駅弁業界から明るい話題を創出し、業界自体を活性化していきたいと、両社が考えたという。
掛紙の絵柄はシウマイ弁当に準じ、龍が虎になり、水晶玉のシルエットが姫路城その他京阪神エリアの名所となった。経木折はシウマイ弁当と同じものと思われ、これに横浜版よりやや小さなふたをして輪ゴムでしばり、掛紙をかけて太めのひもで十字にしばる。中身は白ごまの日の丸俵飯、関西シウマイ5個、拍子木切りの細長い筍煮、サバ幽庵焼、あご出汁の鶏唐揚、かまぼこと出し巻玉子、花豆煮、酢れんこん、しば漬、からし袋、魚型の醤油入れ。そんな構成も、横浜駅弁にそっくり。ただし、味付けや色合いは淡め。塩や醤油が薄く、出汁の味が利いている。
発売時は連日の行列で大変な人気、1年を経過しても売り切れの早い人気商品。2022年3月18日から大阪駅前の阪神百貨店の地下食品売り場の調製元店舗でも売られるようになり、朝10時の開店時であれば買えると思う。価格は発売時や2022年9月の購入時で960円、10月から1,000円。
2022(令和4)年3月に発売か。神戸学院大学栄養学部の駅弁プロジェクトメンバーと調製元のコラボにより開発された駅弁。スリーブには瀬戸内海の写真に姫路城と、駅弁に使う食材のイラストを描く。丸い容器の中身は、酢飯を錦糸卵で覆い、タイ1切れ、タコ1切れ、サーモン、しいたけ、れんこん、山菜、生姜などを散らし、城型のニンジンで彩り、ポテトサラダとたまねぎチップ、小松菜漬、黒豆煮、大根なますと豆あじ南蛮漬、レモン汁の袋を添えるもの。これはタイとタコのちらし寿司、と理解できるかどうか。食事向けのような、おつまみ向けのような。
2022(令和4)年の節分の、2月3日に買えた姫路駅弁の恵方巻のひとつ。千葉駅へ輸送された商品を買うと、割りばしは千葉駅弁の万葉軒のものが付いてきた。酢飯と玉子焼とミツバと、カニの酢漬と味付ほぐし身とフレークを、海苔で巻いてプラ製の容器に置き、商品名を書いた掛紙で巻く。カニの風味や分量はあまりないかもしれない、行事どおり切り目のない、直接かぶりつけるサイズの太巻き。節分でなくても姫路駅ならば、優れた太巻き駅弁「大名巻」や棒寿司「名代あなご寿司」「名代松前寿司」が一年中買えると思う。
2020(令和2)年9月11日に姫路駅で発売。駅弁の名前は「兵庫五国酒肴(しゅこう)弁当」とも。専用のボール紙箱には、同日に営業運転を開始したJR西日本の団体専用列車「WEST EXPRESS 銀河」(ウエストエクスプレスぎんが)の美しい画像を掲載し、添付のおしながきにも使われる。日中の販売に加え、この列車が金曜深夜に姫路駅へ来た場合はそのホーム上でも販売する。
中身の9区画は、「但馬」で但馬牛のいなり寿司、「丹波」で黒豆煮、「摂津」で鶏もも肉の味噌焼き、「播摩」で穴子押寿司、生姜甘酢漬、蛸寿司、姫路おでん風煮物、「淡路」で焼玉葱など。たしかに兵庫五国の酒肴弁当になっている。
「WEST EXPRESS 銀河」については、松江駅の駅弁「「銀河」一番星」の稿で紹介。報道等によると、利用者は中高年男性の一人旅がほとんどで、若者や女性やグループはみられないという。日本旅行の専用サイトの応募フォームで申し込まなければならない、抽選に当たらないと買えない商品だと、1990年代までに国内で高級でない夜行列車に親しめた世代で、またそんな夜行列車に乗りたいという人が、奮って応募するのだろう。
2020(令和2)年9月に「ふるさと兵庫神戸ビーフ焼肉弁当」(1,480円)「せとのあなごめし」(1,680円)「FUJIYAMAGEISYASUKIYAKI弁当」(1,100円)とともに発売。調製元のデザイナーズ駅弁として、姫路出身のイラストレーターで絵本作家のイヌイマサノリ氏がふたの絵柄を描いた駅弁が、今期の新作としてまずはドライブスルー店で販売された。
カニの姿が見えるふたの絵柄は和の風景。中身は酢飯をレンコン混じりのカニほぐし身で覆い、カニ脚を少し散らし、甘酢生姜を添える、シンプルで一般的な内容のカニ駅弁。見た目に白く、中身のすべてに酢が入り、なかなかの高価。
「駅弁図鑑西日本版」によると2016(平成28)年9月の新発売というが、もっと前から売られるものであり、内容からこれは昭和時代からの駅弁だろう。小さな折箱に、大名巻寿司というシイタケや玉子焼などの太巻きを4個、松前寿司という昆布巻のサバ寿司2個、瀬戸内鯛寿司というタイの押寿司2個と、酢れんこん2個を詰める。コウノトリと姫路城を描く掛紙の絵柄を含め、ずいぶんと古めかしい、汽車の時代を思わせるつくり。新幹線の駅と時代での健在に驚いた。2022年時点で駅弁図鑑や調製元の公式サイトから消えている。
※2022年4月補訂:現況と発売年紹介を追記だいぶ古くからあるのではないかと思う駅弁。酢飯にシメサバを合わせて黒板昆布で巻く棒寿司が1本、9切れにカットされてフィルムに包まれ、紙箱に収まる。松前寿司とは、昆布巻の棒寿司、あるいは北海道産の昆布で巻いた鯖寿司に対する総称で、現在の北海道松前地方から大阪へ船で運ばれた昆布を使ったことにちなむ。サバ寿司の昆布巻きは他の駅の駅弁にもあるが、これを松前寿司と名乗り売る駅弁屋は、ここだけではないかと思う。密封される土産物と違い、列車内でも食べやすい。
朝の姫路駅の駅弁売店で買えた、箱入りサンドイッチ。コンビニやエキナカでない駅弁売店でサンドイッチが売られることは少なくなったため、これは珍しいぞと思い買ってみたら、関東と関西でありふれた神戸屋の商品であった。中身はタマゴ、ハムときゅうり、ハムカツ、ポテトが各2切れで、箱入りサンドイッチとしてはかなりの具だくさん。
2017(平成29)年1月の発売か。パッケージの記載事項から、姫路駅の駅弁屋と、大阪府豊中のサバ業者が共同開発した駅弁だと想像する。姫路駅の名物「えきそば」のだし汁で炊いた御飯に、秘伝のタレで焼いたというサバの蒲焼きを置き、刻み海苔、わかめ、玉子焼、甘酢大根で囲い、大根なますと煮豆を添える。
見ても食べても蒲焼きとは感じない、普通においしい焼サバのお弁当。サバは身厚で分量十分、ダイコンやワカメの添付があっている。姫路でなぜサバなのかと思う地域性のなさを除けば、使いやすく食べやすい駅弁という感じ。なお、瀬戸内海でもサバの漁獲は少々ある。2019年に終売か。
※2020年4月補訂:終売を追記秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2015(平成27)年秋の新商品か。前年に発売した「天空の城竹田城弁当」と同じく、石垣を模したボール紙の容器を使用、茶飯の上に鶏肉、たこ、ささがきごぼう、煮玉子、わかめ、サツマイモ、れんこん、シイタケ、くぎ煮、大根桜漬を散らす。
食べて普通の駅弁も、コンセプトが見えない感じ。もしかすると最大の売りが、添付のしおりのQRコードで、姫路城のAR画像が見られることかもしれない。要スマホ、要「無料アプリ」のため、怪しい感じがして試していない。この姿では2018年の秋頃まで売られた模様。その頃までに「姫路城弁当」を名乗る姫路駅弁は、春と秋の季節の幕の内になっている。
※2019年8月補訂:終売を追記調製元と商品名から、姫路駅の秋駅弁と推測。しかし公式にも非公式にも、東京駅とスーパーの駅弁催事にしか情報がなく、姫路で売らない疑義駅弁の可能性がある。白御飯を錦糸卵で覆い、焼き鮭、鮭フレーク、クリ、シメジ、イクラ、サツマイモ、マツタケなどを散らし、鶏照焼ときんぴらを添え、クリとイモとキノコを描いたふたをかける。悪いところはないが、構造も見た目も味も内容も、まるで日本レストランエンタプライズ(NRE)の東京駅弁。ここに姫路も関西も西日本も何もなく、東京駅で売っても姫路やその駅弁を思い起こすことはないだろう。「おかめ弁当」でも持ってこればいいのにと思う。2016年秋のみの販売か。2017年からは「秋の姫路城弁当」が売られる。
※2019年8月補訂:終売を追記2014(平成26)年の6月までに発売か。城の石垣を絵柄と形状で再現した感じのボール紙製容器に、姫路駅名物「えきそば」で使うだし汁で炊いた御飯を直に詰め、錦糸卵、小松菜漬、但馬牛の焼肉、キャベツ煮浸しのストライプで覆い、シイタケ煮とダイコン漬を添える。駅弁大会での購入がたたったのか、普段からこうなのか、メインの但馬牛焼肉は少なく、脂も固さもブランド牛のそれではなかった。1年間ほどの販売か。2018〜2019年の駅弁大会シーズンにもデパートやスーパーで販売された模様。
竹田城は、室町時代から戦国時代にかけて但馬国、現在の兵庫県朝来市和田山町に存在した城。江戸時代の一国一城令により廃城、以後は山城の石垣のみが残るという、全国どこにでもある城址のひとつとして、城好きや歴史好きな人々のみが訪れていた。
2012(平成24)年8月に映画「あなたへ」の撮影地のひとつとして使用、その頃から雲海に浮かぶ石垣のみの城址の写真がネットや雑誌で取り上げられ、「天空の城」「日本のマチュピチュ」などと呼ばれ始めると観光客が急増、年に1万人ほどの入城者数が2013(平成25)年度には50万人を超えた。パッケージツアーがたくさん組まれ、入城料の徴収が始まり、道路は渋滞し、石垣は崩れ、危険防止から冬季は閉鎖され、播但線に「天空の城竹田城跡号」が走った。
※2020年4月補訂:現況を追記姫路駅ではどうも定番の駅弁らしい。松花堂の4区画に、ちらしずし、赤飯の俵飯に漬物とわらびもち、カボチャやレンコンなどの煮物、焼きサバと玉子焼と酢の物を詰める。京風の女性に人気のお弁当だそうな。価格は2014(平成26)年の購入時で1,000円、2015(平成27)年4月の消費税率改定により1,030円。2019年時点で1,000円。2020年時点で販売されていない模様。
※2020年4月補訂:終売を追記2012(平成24)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売にてデビューか、この大会での限定販売か。円形の白い紙カップに透明なふたをして、日本地図と商品名を印刷したオレンジ色の掛紙を載せる。中身はカップに白御飯と柴漬けが詰まり、ふたと一体になった透明なトレーに、ダイコン、もちきんちゃく、海老焼売、シイタケ、昆布巻、鶏つくね、こんにゃく、うずら卵などのおでんが入るもの。
駅弁向けにあんかけにしたというおでんの汁は、姫路おでんの特徴とされる生姜の風味はどこへやら、まるで塩辛で、単独で飯や酒のお供になりそうなくらいだった。駅弁大会史上初のおでん駅弁という週刊誌の考察があるようだが、2010年1月に同じ調製元が阪神百貨店の駅弁大会で売った「トライスバーガー弁当」もそうなのでは。あれはやはり催事専用の疑義駅弁だったということか。
東海道・山陽新幹線ダイヤ改正による姫路駅のぞみ号停車を記念して、2003(平成15)年10月1日に発売。姫路城を模した陶製容器を使用、中身は炊込御飯に焼穴子、タケノコ、蓮根、エビ、アサリなど。
石垣で末広がりな陶製容器は、その隅の米粒をほじくるのに苦労するが、その特徴的な容器と味の良さで姫路駅一の名物駅弁に成長しており、売り切れが早く午後にふらりと来ても買えないことが多い。2004年度JR西日本「駅弁の達人」対象駅弁。2006年時点で駅では売られなくなったという情報がある。
※2007年4月補訂:現地販売状況を追記1960年代頃の調製と思われる、昔の姫路駅弁の掛紙。写真はおなじみの姫路城だが、同時代の幕の内弁当の掛紙との区別を図ったのか、普段の大天守側でなく、反対側の乾小天守側から撮影されている。
昭和30年代頃の調製と思われる、昔の姫路駅弁の掛紙。価格と三桁の電話番号から年代を特定できるかもしれない。やはり姫路駅弁は昔も今も姫路城。
1931(昭和6)年8月8日2時の調製と思われる、昔の姫路駅弁のとても小さな掛紙。姫路城天守閣の右側に「お城は見物出来ます」という注記を入れているのは興味深い。