博多駅から特急列車「ソニック」で約1時間。行橋市は福岡県の東部で瀬戸内海に面した、人口約7万人のベッドタウン。駅弁は1901(明治34)年から売られたが、2006(平成18)年に撤退し、現在は無い。1905(明治28)年4月1日開業 福岡県行橋市西宮町二丁目。
昭和時代から長らく売られた、行橋駅のかしわめし。中身は鶏飯を鶏肉と錦糸卵と刻み海苔で覆い、うぐいす豆と大根漬を添えるもので、つまりかしわめし。御飯の色が濃いことと、かしわ(鶏肉)がフレーク状というには大きめであることが特徴。比較的廉価で提供されるかしわめし駅弁の中でもこの価格は安く、経木折と古風な掛紙、そしてシールではなくスタンプを使った消費期限日時表示が懐かしい。予約制の1,050円バージョンもあるらしい。価格は2002年の購入時で530円、2006年4月1日から550円。
2006年9月限りで調製元が駅弁から撤退、さらに2009年8月限りで廃業したため、この駅弁は消えてしまった。
※2009年10月補訂:終売を追記行橋駅の幕の内弁当。長方形の経木折を大きな掛紙で包む。中身は細長い俵飯の日の丸御飯に、白いトレーに詰めた白身魚フライや焼鮭や厚焼卵や芋天ぷらや鶏唐揚などのおかず。行橋はおよそ観光要素のない、工業とベッドタウンの都市。それなのに駅弁の美味さには定評があり、駅弁ファンがわざわざ寄り道して駅弁を買いに来るのだとか。駅の高架化後は、改札を出てすぐの売店で購入できた。
2006年9月限りで調製元が駅弁から撤退、さらに2009年8月限りで廃業したため、この駅弁は消えてしまった。
※2009年10月補訂:終売を追記1990(平成2)年の福岡国体に合わせて発売。赤い発泡材を黒塗りした、一見高級感のある容器を使う。中身は正方形の御飯の上に錦糸卵その他とともに菱形に配置したしゃこを載せ、残る部分に付合せと、季節毎に変えるというデザートを詰めたもの。味は見た目の範囲で品質の良さが出ており、メインのしゃこの見栄えや風味は良好。
兵庫県の相生駅「瀬戸のしゃこめし」に次ぐ、全国で2番目のしゃこ駅弁だそうで、しゃこの配置方法がその1,050円のほうとまったく同じだが、高価で見た目の悪い食材を見栄え良く少量と感じさせないためには、プロの目でこの配置となるのだろう。
私の知る行橋駅は空の広い地上駅で、駅のホームからの景観は田畑だったような気がするが、1999年8月完成の連続立体交差化事業と、駅西口の土地区画整理事業で一変、立派な高架駅と市街地に生まれ変わっていた。
2006年9月限りで調製元が駅弁から撤退、さらに2009年8月限りで廃業したため、この駅弁は消えてしまった。
※2009年10月補訂:終売を追記昭和40年代のものと思われる、昔の行橋駅弁の掛紙。現在の行橋はベッドタウンであり工業都市であるが、当時は掛紙に平尾台、簑島海岸、国分寺といった名勝旧跡を描くような土地であったのだろう。