東京駅から新幹線で約5時間。福岡市は福岡県の西部で玄界灘に面する、人口約160万人の城下町かつ港町。政令指定都市かつ福岡県の県庁所在地で、九州の鉄道や経済の中枢である大都市。駅弁は主に新幹線ホーム、新幹線コンコース、改札外の東西自由通路の売店で、地元や九州一円や西日本のものが多種売られる。1889(明治22)年12月11日開業、福岡県福岡市博多区博多駅中央街一丁目。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2016(平成28)年秋の新商品か。鹿児島中央駅の駅弁として発売し、翌2017年のシーズンに掛紙の絵柄が変わり、2021年からは「鹿児島」の名を残したまま博多松栄軒の博多駅弁になり掛紙の社名を差し替えた。2022年10月のJR九州の駅弁キャンペーン「第13回九州駅弁グランプリ」には、博多駅の駅弁としてエントリー。九州博多で1971年から辛子明太子を製造販売するまるいちと、1929年創業の駅弁屋である松栄軒とのコラボレーション。
長方形のプラ容器に白飯を詰め、鹿児島黒豚のタレ焼きのほぐし身のごま和えを少々と、辛子明太子まるごと1本と、錦糸卵と紅生姜で覆い、ごぼうと高菜漬けを添える。小片やほぐしでなく1本の明太子を詰めたことが印象的であり、これで御飯をいただけるお弁当。価格は2016年の発売時で1,080円、2023年時点で1,180円。
2024(令和6)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。長方形のプラ容器に茶飯を詰め、牛焼肉とささがきごぼうで覆い、辛子明太子を横たえ、玉子焼と青菜を添える。現地でも今後に買えるようになるのかもしれないが、催事や東京や大阪で売るのに向いたつくりに思える、普通に牛肉と明太子を使ったお弁当。
調製元は鹿児島駅弁の松栄軒に違いないが、掛紙では「博多寿軒」を名乗る。かつて福岡博多の名門企業で、2010年限りで廃業した博多駅弁の寿軒の名は、広島駅の駅弁屋である広島駅弁当に引き継がれ、2018年末に博多寿改良軒ができている。2023年の秋冬の駅弁大会シーズンに現れたこの名称に、末永家との関係が気になる。
2023(令和5)年の10月までに、博多駅で発売か。同月からのJR九州の駅弁キャンペーン「第14回九州駅弁グランプリ」にエントリー。文字でできた掛紙で読めるとおり、白飯に海苔と福太郎の辛子めんたいを載せたものと、菜加川のかしわ飯とてりやきを、長方形の容器の左右に据え、煮物と漬物を添える。めんたいことかしわめしという、福岡や北部九州でメジャーな味の両方を、ひとつの弁当でシンプルにいただける優れもの。味に特徴や個性を感じないところも食べやすい。
2023(令和5)年10月に博多駅で発売、同月からのJR九州の駅弁キャンペーン「第14回九州駅弁グランプリ」にエントリー。キャンペーンでの調製元がやまやコミュニケーションズで、現物の調製元が博多いもっ子屋なのは、以前に博多駅で買えたやまやの辛子明太子入り駅弁と同じ。スリーブの構造と容器も同じ。駅弁の名前は食品表示ラベルで「やまや辛子明太子と福岡県産豚弁当」だったり、調製元が九州駅弁グランプリでは「やまやコミュニケーションズ」だったり、表記のゆれが興味深い。
長方形の容器に白飯を詰め、キャベツで覆い、甘辛だれと塩だれで2種類の豚バラ肉焼きと辛子明太子を載せ、枝豆で彩り、煮玉子と柚子大根を添える。脂身が豊かでしっかり味付けされた豚肉や、当然に辛い明太子の味を、白飯に加えてキャベツが中和し、意外にさわやかにいただける。分量もなかなか、お値段もなかなか。
2017(平成29)年の秋または2018年2月までに、博多駅で発売か。2022年10月のJR九州の駅弁キャンペーン「第13回九州駅弁グランプリ」にエントリー。調製元はここでは「博多いもっ子屋」だが、「やまやコミュニケーションズ」となることがある。中身の牛焼肉と明太子の写真が美しいスリーブには、「やまやの無着色明太使用」と書かれ、「博多の味やまや」のロゴマークもみえる。
真っ黒な長方形の容器に白飯を敷き、牛焼肉で覆い、辛子明太子を載せ、煮玉子とゆず大根を添える。博多名物の辛子明太子が、辛子明太子大手のやまやのものが、この赤い魚卵が、この駅弁の特徴であり、この駅弁が買われる目的となろう。食べればつまり牛丼で、明太子の存在は意外に控えめかもしれない。
秋冬の駅弁大会シーズンに向けた、2022(令和4)年秋の新商品か。長方形のプラ容器に味付け飯を詰め、牛焼肉で覆い、きんぷら笹ごぼうで補い、辛子めんたいを1本載せ、玉子焼と高菜漬を添える。タレをからめて牛肉煮とも牛焼肉ともし難いお肉はともかく、明太子と高菜漬は九州らしい、福岡らしい食材なので、こういうものが博多駅弁にあるのは分かりやすい。きっと博多駅でも売られていると思うが、この商品は駅よりもむしろ主に東京や大阪やスーパーやデパートへ出荷されるものとみえる。
2021(令和3)年に博多駅で発売か。「博多弁」「バター醤油風味」の修飾語を付けた掛紙には、中身のイメージ写真を控えめに載せる。長方形のプラ容器に白飯を詰め、錦糸卵と高菜だと思った野沢菜で覆い、焼き鯖めんたいを載せ、大根の漬物とうぐいす豆を添える。そのまま食べた後に、かき混ぜることを推奨する掛紙の記載に気が付いた。鯖に明太子を挟んで醤油バターで焼きあげた洋テイストのお弁当といい、食べれば味の異色に気が付くかも。
2018(平成30)年の夏までに発売か。正方形の容器の大部分に白飯を詰め、かつおぶしと海苔で覆い、小粒な梅干しと明太子を載せ、玉子焼、れんこん、揚げちくわ、サツマイモ、鶏唐揚を添える。御飯がおいしい海苔弁当だった。調製元は福岡市内で仕出しを行う和食店で、2018年までに博多駅の駅弁売店に弁当を卸すようになったらしい。2020年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2018(平成30)年4月の発売か。白飯を牛肉と錦糸卵で覆い、明太子を載せ、高菜と煮豆を添える。掛紙に「やわらかくてジューシーな美味しさ」な博多和牛と、「独自の手法で丹念に漬け込んだ味わい深い」な明太子の使用をうたうが、いずれも味は並。もっとおいしくなるのではないかと思うところ。調製元は鹿児島県の出水駅や鹿児島中央駅の駅弁屋だが、掛紙には「博多駅弁」の表記がある。2020年までの販売か。
※2023年7月補訂:終売を追記2015(平成27)年までに博多駅で発売か。博多駅や小倉駅で各社が出している、訪れる度に品揃えと見栄えが変わる辛子明太子の駅弁のひとつ。駅弁の名前を大きく書く掛紙を巻いた容器の中身は、白御飯、玉子焼とサツマイモとゼンマイ、豚角煮、レンコンやシイタケなどの煮物と薩摩揚、ダイコンとゴボウと油揚げ、カップ入り辛子明太子。辛さはそうでもなし。2018年までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記2009(平成21)年までに発売か。長方形の容器に木目柄の発泡材でふたをして、赤いデザインのボール紙でさらにふたをする。中身は1/3が酢飯の上に海苔や錦糸卵やイクラを散らしたもの、1/3がだし御飯の上に明太子スライスを貼り付けたもの、1/3がおかずで沖メダイ西京焼、エビカツ、ミニ棒天、わさび菜など。見ても食べてもキラキラできれいに整った都会の味を感じる。
落語家で駅弁・空弁の本も出版したヨネスケ氏が全国ナンバー2の駅弁に選ぶなど、近年の博多駅弁としては最大の評判を呼ぶヒット作であったが、2010年12月限りで寿軒が駅弁から撤退したため、この商品も現在は買えなくなってしまった。
JR九州の子会社と出前寿司屋が組んだ駅売り弁当ブランド「旅弁(とらべん)」第一弾として、2004(平成16)年5月に発売。中身の写真を載せた正方形のボール紙容器を売店レジに持ち込むと、店員が冷蔵小箱を付けてくれる。中身は本体には白御飯に焼鯖や煮物や牛肉大和煮や玉子焼や切り干し大根や高菜が、小箱には辛子明太子が入る。
中身写真はその明太子を御飯の上に乗せた状態。そんな販売形態からも、激辛の明太子からも、韓国の駅売り弁当を思い出した。一日50個が売れたそうな。この駅弁は2009年の調製元の破産により、現在は売られていないものと思われる。
※2010年12月補訂:終売を追記