博多駅から快速電車で約50分。現在は北九州市八幡西区の一部である折尾には、九州で初めて鉄道を敷いた九州鉄道と筑豊の石炭を若松港へ運ぶ筑豊興業鉄道が立体交差する駅ができ、約120年間で国有化と民営化を経て、約10年かけて新たな高架駅へ刷新された。駅弁は1921(大正10)年からの駅弁屋が健在で、「かしわめし」とホーム上での立ち売りが有名。1891(明治24)年2月28日開業、福岡県北九州市八幡西区堀川町。
駅弁の名前は「大名道中駕籠かしわ」とも。北九州市八幡西区の長崎街道まちづくりサミットの開催の一環で、1996(平成8)年9月7日に発売。小倉と長崎を結んだ長崎街道をコンセプトにした駅弁。厚紙の黒い小箱を重ね、長崎街道のイラストマップで包み、割りばしを収める担ぎ棒を載せてゴムでしばり、駕籠のような形にした。この容器は市販品のようで、他駅の駅弁でも時々見掛ける。
中身は下段が折尾駅弁の名物であるかしわめし、上段がおかずで、海老や煮物や肉団子や玉子焼など。注文により下段を白飯にできるらしい。外観のインパクトとおいしそうな中身で、駅弁のランキングやアンケート企画ではよく上位に現れるが、売店や催事で売れているようには見えない、人気先行の駅弁。食べても定評の味は裏切らないはず。価格は2005年の購入時で945円、2007年10月現在で1,000円、2014年4月の消費税率改定で1,030円、2020年3月から1,100円、2022年3月から1,200円、9月から1,300円、2023年9月から1,400円、2024年9月から1,600円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2005(平成17)年12月29日に購入した、折尾駅弁の掛紙。その絵柄は上記の2023年と変わらないが、当時はイラストがより大きく描かれ、一方で食品表示ラベルを貼る位置がなく、シールがイラストの一部を隠した。容器は同じ、中身も雰囲気は変わらない。
2002(平成14)年3月18日に購入した、折尾駅弁の掛紙。上記の2005年のものと同じ。容器は同じ、中身も雰囲気は変わらない。
折尾駅の幕の内駅弁。実在する駅弁であるが、売店で見られるのは稀であり、今では調製元のチラシに要予約と書かれる。掛紙の絵柄と容器は、折尾駅の名物駅弁「かしわめし」と共通。内容は日の丸俵飯に白身魚フライ、筑前煮、鶏唐揚、サバ塩焼、がんもどき、玉子焼、きゅうり漬、巻き昆布、切り干し大根、たくあん漬、かまぼこなど。昭和時代の幕の内駅弁の、定番のスタイル。価格は2017年の購入時で770円、2020年時点で800円、2022年3月から850円、9月から880円、2023年9月から920円、2024年9月から970円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2016(平成28)年10月1日に発売、同日開始のJR九州の駅弁キャンペーン「第12回九州駅弁グランプリ」にエントリー。鶏の絵画と漢字を描いた黒いスリーブに収めた容器に白飯を敷き、福岡市の養鶏業者のブランド鶏「華味鳥(はなみどり)」を使う醤油味の鶏もも肉カルビ焼と鶏むね肉の生姜焼で覆い、春雨サラダと漬物を添える。
折尾駅の「かしわめし」でない鶏飯駅弁。肉が細かく奥深い風味を持つ伝統のかしわめしとはだいぶ異なる、見た目も味も食感も大振りで力強くストレートな鶏肉の弁当で、折尾駅の駅弁としては目新しさを感じた。2017(平成29)年9月1日にリニューアルのうえ1,080円で再発売、2019(平成31)年2月限りで終売。
2016(平成28)年10月1日に発売、同日開始のJR九州の駅弁キャンペーン「第12回九州駅弁グランプリ」にエントリー。サクラ柄の大きな折箱にサクラ色の掛紙を巻き、4区画の中身は左からちらしずし、オクラ、カボチャ、シイタケ、レンコンの天ぷら、サバとアナゴとエビの押し寿司、おはぎと春雨サラダ。中身も華やか、値段はもっと華やか。話題になることなく、収穫報告もほぼ聞かれず、キャンペーンの終了とともに半年間ほどで売り止めた模様。
JR九州の駅弁キャンペーン「第10回九州の駅弁ランキング」の実施に合わせて、2013(平成25)年10月に発売。掛紙に描かれ、駅弁の名前にもなった折尾神楽は、1970(昭和45)年の大阪万博で人気になった島根県の石見神楽をモデルに、同年から北九州市内で行われ始めた神社での舞楽。大きなおしながきにも書かれる中身は、かしわめし、赤米ごはん、エビやオオバなどの天ぷら、タケノコやサトイモなどの煮物、うなぎ蒲焼き、花かまぼこ、地鶏照り焼き、春雨サラダ、はじかみ、豊年団子と盛りだくさん。駅弁の賞は獲れなかったが、この駅弁は2019年2月まで予約により販売された。価格は2013年の発売時で1,260円、後に1,130円または1,300円。
JR九州の駅弁キャンペーン「第6回九州の駅弁ランキング」の実施に合わせて、2009(平成21)年10月に発売。平たく四角い木製容器に経木でふたをして、折尾駅舎の写真を載せた掛紙で包む。中身はかしわめし、白御飯と桜漬、鶏唐揚とミートローフと牛肉しぐれ煮、カボチャやシイタケなどの煮物とエビフライで4区画。上等幕の内駅弁のような価格と容器と内容を持つものの、おかずの味は並等幕の内駅弁のレベルに思えた。
掛紙にあるとおり、この駅弁の主題は折尾駅舎。1891(明治24)年の駅の開業とともに建てられ、1916(大正5)年に増改築されたという木造駅舎は、2011年当時でも現役で使用されており、21世紀のICカード対応自動改札機や昭和の駅弁売店と共存していた。2004(平成16)年から18年間で総額830億円を投入する折尾地区総合整備事業により、仮設駅舎の用地が確保でき次第解体される予定だという。
2005(平成17)年の秋に発売。予約により販売。大きな長方形の経木枠の容器に薄板のふたをして、割りばしとおしぼりを添えて駅弁の名前を書いた掛紙で包み、ビニールひもでしばる。中身は穴子寿司と海老寿司とかっぱ巻、鯖塩焼に有頭海老にイカ天ぷらに蒲鉾や煮物など。
内容も見栄えも雰囲気も購入方法も、特別な日の仕出し弁当という感じ。駅弁のかしわめしのイメージからだいぶ離れるが、紙のチラシや公式サイトを見ると、そういう性格が感じ取れる。駅の規模や性格の割に立派な駅弁売店も、そんな役割を持っているのかも。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記折尾駅の幕の内弁当。枠とふたが経木の長方形の容器を大きな掛紙で包み、スズランテープでしばる。中身はご飯が九州型か梅花型の日の丸御飯に紅生姜などの巻物三個、おかずが焼き魚(マス)、蒲鉾、玉子焼に帆立や有頭海老、鶏唐揚げとウインナーなど。「かしわめし」のついでに片手間で一応幕の内駅弁も用意した、ということはないと思うが、体裁や内容になんとなく貫禄ある余裕を感じる。2006年頃に終売か。
※2015年10月補訂:終売を追記1987(昭和62)年の発売。またはJR九州の駅弁日本一キャンペーンの一環として、1988(昭和63)年6月に発売か。「かしわめし」の折尾駅にも、このような駅弁もある。駅弁の名前そのままのサバの棒寿司を、一口サイズに切れ目を入れ、ラップに包んで竹の皮でくるみ、箸とナイフと手拭きを一緒に針金で巻いて掛紙をかけ、ごついひもでしばる。価格は2002年の購入時で820円、2004年4月1日から840円、2007年10月現在で900円、2014年4月の消費税率改定で930円。2019年3月1日限りで終売。
※2019年3月補訂:終売を追記入手状況等から1977(昭和52)年の調製と思われる、昔の折尾駅弁の掛紙。ご覧の通り掛紙に駅弁らしいデザインや記述が何もなく、調製元の情報がなければ駅弁の掛紙と認識できないだろう、あるいは街弁用の掛紙であった可能性もあると思う。
博多駅から快速電車で約50分。黒崎は北九州市の副都心。江戸時代に宿場町や港町として栄え、1900年代には臨海工業都市として繁栄、第二次大戦後は商業の中心にもなり、1963(昭和38)年に北九州市の一員となった。折尾駅と同じ駅弁が、調製元の立ち食いそば店で売られる。1891(明治24)年2月28日開業、福岡県北九州市八幡西区黒崎三丁目。