新大阪駅から新幹線で35分。米原市は滋賀県の東部で琵琶湖に面した、人口約4万人の宿場町。重要な街道や鉄道や高速道路が交わる、交通の要衝である。駅弁は明治時代からの駅弁屋が健在で、マスや牛肉などの駅弁を売る。1889(明治22)年7月1日開業、滋賀県米原市米原。
2006(平成18)年9月に発売。小柄なボール紙箱には宿場町生まれの商店街を思わせるイラストが描かれる。紙トレーに収まる中身は、カレー風味の御飯の上に近江牛の牛肉を、タマネギを混ぜながら載るもの。
「牛大入」をうたう割には、肉の量はそんなに多くないものの、カレー風味の御飯と、駅弁を含めた最近の市販弁当としては珍しい、油っぽく固めな牛肉がよく合う。その牛肉もやや厚切りで、見た目以上に分量がある感じ、食べれば確かに「牛大入」だなと思える。うまいネーミングをよく考えついたもの。価格は2007年の購入時で1,000円、2014年時点で1,100円、2022年時点で1,200円、2023年時点で1,350円。
※2023年4月補訂:値上げを追記米原付近のイラストマップを描いたボール紙の容器を使う。ふたを開けるだけで肉の香りを強く感じた。白いトレーに詰められた中身は、日の丸御飯と牛すき焼、出し巻き卵、ミックスベジタブル等、干し柿など。付合せがユニーク。メインの牛肉は旨みがぎゅっと詰まった感じで、程良い柔らかさと豊かな香りが、冷たい状態でも失われていなかった。価格は購入時で930円、2006年10月から950円、2014年時点で1,000円、2023年時点で1,150円。
※2023年4月補訂:値上げを追記2015(平成27)年秋の新作か。円形の加熱機能付き容器に白御飯を敷き、エノキとタマネギと赤い糸こんにゃくをたっぷり混ぜた牛肉煮で覆い、青ネギで彩り、温泉卵を別添する。
肉の分量はそれほどでもなく、肉だけの食感は筋っぽく、具で増量したように見える。しかしまとめて食べると柔らかく、熱が届かず卵が置けないほど具をたっぷり盛ってがっつりガツガツいける感じもまた増量。牛肉の駅弁は米原にも全国でもいくらでもあるので、こんな個性があってもよい。ほどなく終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記米原駅の加熱機能付き容器を使う牛肉駅弁。この正方形の大きな容器をはめる紙枠には漢字で様々な語句を並べる。中身はほのかに醤油のたれが効いた薄切り牛肉で近江米の白御飯を覆い、ミツバを振っておろし生姜を添え、しば漬とこんにゃくゼリーを添えるだけの直球勝負。見栄えでまったく飾り気のない牛肉がボリューム感を出し、加熱式にしては腹持ちもいい。そして肉の風味だけで旅客を魅了できる、実力派の人気者。価格は2007年の購入時で1,300円、2022年時点で1,500円ただし販売休止中。この年で終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記1975(昭和50)年に発売された、米原駅弁の主力級。2000年頃までは「近江牛ステーキ弁当」の名で売られていた。長浜駅旧駅舎に駅弁屋創業時の社屋を描いた、正方形のボール紙容器の中に、白いトレーを入れる。内蓋代わりに近江牛を舌足らずに自賛するボール紙が1枚。
100グラムが入る醤油味で和風仕立ての牛ステーキは、一瞬ぱさついた感じを受けるものの、一噛みすれば程良い固さを感じた後に、冷めているのにしっかり閉じ込められた肉の旨みが香りとともに染み出てきて、飯がどんどん進む。高価だが肉に食感を楽しめる厚さがあるのは嬉しい。
なお、2005年6月現在で、国産牛の高騰により牛肉が増量のうえ外国産に切り替わっているとか。価格は2003年の購入時で1,250、2006年10月から1,300円、2022年時点で1,400円。2022年で終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2003(平成15)年3月23日に購入した、米原駅弁の紙箱。絵柄も中身も、上記の駅弁「ステーキ弁当」と同じ。当時の価格は1,250円だった。
1981(昭和56)年3月4日9時の調製と思われる、昔の米原駅弁の紙箱。ふたの裏面に、近江牛肉の由来と、肉の焼加減アラカルトを記す。
2013(平成25)年までに発売か。米原駅の牛肉駅弁の最高峰。調製元の公式サイトでは予約を推奨するが、普通の週末である訪問時には、米原駅に加えて名古屋駅でも予約なしに買えた。
中身はパッケージの写真のとおり、白御飯に白ごまを振り、大葉の細切りを敷き、USBスティックメモリ大にカットした近江牛ステーキを7切れ並べ、赤かぶ漬を添えるもの。近江牛の霜降り肉の脂身が、常温でくどくない程度に香り、大葉とゴマが風味にアクセントを付ける。2020年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2014(平成26)年1月の阪神百貨店の駅弁大会でのみ売られた疑義駅弁。近江米を使う、近江牛のステーキ丼と、滋養豚の豚丼の詰合せ。つまり、2012(平成24)年1月の京王百貨店の駅弁大会でデビューした「近江牛しょいめし」の、醤油飯の牛飯を白飯の豚飯に入れ替えたもの。催事場での大量実演販売の弊害か、そういう商品設計になっているのか、豚が固くて薄味が過ぎて、その風味はなかった。
京王百貨店の駅弁大会での実演販売のために、2014(平成26)年1月に催事場でデビューか。細長い容器なのに、掛紙は長手の方向にかけている。中身は正方形3区画分で、左に近江牛のハンバーグ、中央に白御飯、右に滋養豚(じようとん)の生姜焼き、というかすき焼き肉タイプの生姜煮を詰める。少量なのに高価だと言われそうだが、味も形もきれいで確か。催事の終了後も販売されたようだが、年内で終売か。
京王百貨店の駅弁大会での実演販売のために、2013(平成25)年1月に催事場でデビューか。耐水耐油の紙カップにカレー風味の黄色い御飯を詰め、近江牛の牛肉煮を乗せ、しめじとマッシュルームの洋風きのこソースが入るプラ製カップでふたをする。
つまりこれは、米原駅弁「近江牛としょいめし」にドミグラスソースを付けたもの。確かにあの黄色い飯とにゅるにゅる牛は、食べる前でも食べた後でもソースに合うと思った。常温以下の冷たさでは油っぽくも感じられたのは、さすがに仕方がない。京王百貨店駅弁大会の他では販売されたのだろうか。
京王百貨店の駅弁大会での実演販売のために、2012(平成24)年1月12日にその催事場でデビューか。小柄な長方形の容器に、商品名を簡単に描いた朱色の掛紙を巻く。正方形2区画分の中身は、片方に醤油飯の牛飯、もう片方に醤油ダレの近江牛ステーキ飯。米原の醤油と滋賀の牛肉を使うことが特徴。
催事場での大量実演販売の弊害か、そういう商品設計になっているのか、醤油味をうたう割には薄味が過ぎてその風味はない。ステーキには米原駅弁のうまさがあるが、牛肉炒めは筋が固いだけ。同じ値段ならば従前からの「ステーキ弁当」のほうが断然に上だと感じる。
この催事場では松江の牛肉駅弁「およぎ牛弁当」と対決していたが、夕刻の訪問で予定数量をサッとこなし閉店済のライバルに対して、20メートルの列を処理するのに40分もかかる手際の悪さでも負けてしまった感じ。2019年までにステーキ部分と「と」を省略した「近江牛しょいめし」へリニューアルし、同年中に終売か。
※2020年4月補訂:終売を追記