東京都内から特急列車で約2時間。鬼怒川温泉は、鬼怒川の上流の峡谷に広がる温泉地。昭和時代に団体旅行向け大型旅館が林立し、高度経済成長期からバブル経済の頃まで大いに栄えた。駅弁は東武日光駅と同じものが売店で売られるほか、2014年から駅のカフェが駅弁を売る。1919(大正8)年3月17日開業、栃木県日光市鬼怒川温泉大原。
2017(平成29)年8月の東武鉄道のSL列車「SL大樹」の運行開始に合わせて発売か。SL大樹の蒸気機関車とロゴマークでデザインしたボール紙の掛紙を取ると、SL大樹のヘッドマークを印刷した真っ黒なプラ容器が現れる。中身は御飯を牛焼肉と豚肉揚と湯波のストライプで覆い、玉子焼とサトイモやニンジンなどの煮物と湯波巻きとタクアンを添えるもの。外観と名前が似るここの駅弁「鬼怒川温泉SL御膳」とはまるで異なる、力強い重量級の肉丼。価格は2018年の購入時で1,400円、2020年時点で1,512円。
※2022年4月補訂:値上げを追記2018(平成30)年5月頃の発売か。鬼怒川温泉駅で下記の駅弁を売る店舗で買えたサンドイッチで、カフェのイートインメニュー。小さな正方形の玉子焼サンドを6切れ詰めて、カフェの名を記したシールを貼っていた。最近流行の厚くて甘い玉子焼サンドであり、手作り感があった。価格は2018年の購入時で510円、2020年時点で594円。
※2022年4月補訂:値上げを追記鬼怒川温泉駅で下記の駅弁を売る店舗で買えた稲荷寿司。竹皮柄のボール紙に、おいなりさん5個と生姜を詰めて、カフェの名を記した紙帯を巻いていた。特に解説はないものの、やや小柄な稲荷は油揚げの風味がそれぞれ異なり、味に優れた軽食。御飯ばかりなので腹持ちもする。価格は2018年の購入時で435円、2020年時点で486円。
※2022年4月補訂:値上げを追記2017(平成29)年の春までに発売か。白くおしゃれな掛紙を巻かれた長方形の容器に白飯を詰め、日光高原牛の焼肉で覆い、煮物や酢の物や炒め物を添える。薄めの肉はしっかり固く、赤身の存在感またはB級感のあるお惣菜。価格は2017年の購入時で1,080円、2020年時点で1,296円。
※2022年4月補訂:値上げを追記2017(平成29)年の春までに発売か。茶色いおしゃれな掛紙を巻かれた長方形の容器に白飯を詰め、日光高原牛の牛肉煮で覆い、糸こんにゃく、ししとう、ニンジン、タケノコ、シイタケ、タクアンを添える。すき焼きの柔らかさが印象的な、高級っぽいお惣菜。価格は2017年の購入時で1,080円、2020年時点で1,296円。
※2022年4月補訂:値上げを追記2017(平成29)年の春までに発売か。「谺」には樹木の精霊、木魂、やまびこ、反響という意味があるそうで、この駅弁を売るカフェや調製元の店舗の名前に使われている。美しい掛紙に包まれた正方形のプラ容器の9区画に、日の丸、五目、鶏親子で3種の御飯、牛肉煮、ホタテ、湯波やニンジンやサトイモなどの煮物、玉子焼とミニトマトときゃらぶき、焼売と春巻き、温泉饅頭1個を詰めた、なんでもまるごと弁当。価格は2017年の購入時で1,295円、2020年時点で1,458円。
※2022年4月補訂:値上げを追記2017(平成29)年8月の東武鉄道のSL列車「SL大樹」の運行開始に合わせて発売か。SL大樹の蒸気機関車とロゴマークでデザインしたボール紙の掛紙を取ると、SL大樹のナンバープレートとヘッドマークを印刷した真っ黒なプラ容器が現れる。中身は3種のおいなりさんと玉子焼、加えて金色のトレーを4つ入れ、湯波などの煮物、牛肉煮、揚げ魚とホタテ、イカやダイコンなどの煮物という豪華版。価格は2019年の購入時で1,620円、2020年時点で1,758円。
東武鉄道は「SL復活運転プロジェクト」として、2015(平成27)年までに下今市駅〜鬼怒川温泉駅でのSL列車の運転に取り組み始めた。JR北海道から蒸気機関車を借り、JR四国から客車を、JR東日本からディーゼル機関車を、JR西日本から転車台を、JR貨物とJR西日本から車掌車をそれぞれ譲り受け、南栗橋と下今市に車庫を建て、下今市駅と鬼怒川温泉駅を改修し、2017(平成29)年8月10日から週末に一日3往復のSL列車の運行を始めた。片道わずか12.4キロ、30分ちょっとのミニトリップだが、目論見どおり日光や鬼怒川の観光客を、天気が良い日には満載する。
※2022年4月補訂:値上げを追記2012(平成24)年3月に、野岩鉄道の団体客向け予約専用弁当として発売。2015(平成27)年頃から、野岩鉄道でなく東武鉄道の鬼怒川温泉駅のカフェで買えるようになった模様。掛紙には野岩鉄道の位置図と路線図と解説文が描かれる。中身は五目飯にミルフィーユかつ4切れ、湯波と玉子焼、キャベツとミニトマトと煮物など。調製元の鬼怒川温泉駅弁と同じようなものが入っていた。野岩鉄道のイベントで売られることがある模様。価格は2017年の購入時で1,080円、2020年時点で1,296円。
野岩鉄道は、1980(昭和55)年の国鉄再建法により工事が中止された国鉄新線「野岩線」の受け皿として、栃木県や福島県などが出資して、1981(昭和56)年に設立した第3セクター鉄道会社。1891(明治24)年に構想され、1923(大正11)年に国の法律で予定線となり、1966(昭和41)年に着工した、下「野」国と「岩」代国を結ぶ鉄道が、1986(昭和61)年10月に開業した。
国鉄の日光線下今市駅と会津線会津滝ノ原駅をディーゼルカーで結ぶ計画は、工事の再開時に東武鉄道新藤原駅と会津線を電車で結ぶ計画に変わった。開業で浅草駅への直通電車が走り、国境の過疎地域で1991(平成3)年度は年に117.5万人もの乗客を集めた。バブル経済の崩壊以降は利用が減少、駅名を変えたり新たな列車を走らせたりするもむなしく、2016(平成28)年度で約7割減の37.3万人となっている。通学など普段使いの利用は開業時からほとんどなく、乗客のほぼすべてが観光客と考えられている。
※2022年4月補訂:値上げを追記鬼怒川温泉駅の駅舎内にある飲食店「BENTO CAFE KODAMA(弁当カフェこだま)」で、2014(平成26)年7月18日または8月1日のお店の開業日から販売されている箱入りサンドイッチ。おそらく2017(平成29)年8月の東武鉄道のSL列車「SL大樹」の運行開始に合わせ、紙箱を白黒の蒸気機関車の絵柄にしたものと思われる。2020年時点でSL列車の運転日にこの絵柄の紙箱を使うという。
栃木県日光市産の豚肉を薄切りにして重ねて揚げたトンカツを、トーストした耳なしパンに挟んだカツサンドを3切れ、透明なプラ製トレーに詰めた後に紙箱に収める。山梨県の小淵沢駅で人気になった同種の駅弁は脂とタレの味がきつかったが、こちらは肉の量も味も軽め。以下のとおり2015年に3箱まとめて食べても胃にもたれなかった。価格は2014年の発売時で550円、2015年時点で600円、2017年の購入時で615円、2019年時点で650円、2020年時点で680円。
※2022年4月補訂:値上げを追記2015(平成27)年5月16日に購入した、鬼怒川温泉駅弁の紙箱。上の2年半後と容器や中身は変わらない。当時の紙箱には中身の美しい写真が使われ、栃木県日光市のキャラクター「日光仮面」が書かれていた。2020年時点でSL列車の運転日でない日にこの絵柄の紙箱が使われるという。
2015(平成27)年5月16日に購入した、鬼怒川温泉駅弁の紙箱。上記の駅弁「ミルフィーユかつサンド」と同じもので、同日に購入した3箱分すべて、容器の構造や中身や値段は同じ。紙箱が真っ白になり、トミーテックの東武鉄道向けキャラクター「鬼怒川みやび」を描いた掛紙を巻いていた。
「鬼怒川みやび」とは、トミーテックが2005年から展開する、鉄道会社の従業員にちなんだ少女キャラクター「鉄道むすめ」のひとつで、東武鉄道では2006年3月発表の「栗橋みなみ」、2009年2月発表の「姫宮なな」、2011年5月発売の「川越あさか」に続く4種類目のキャラクター。当時のニュースリリースによると次のような設定がされているという。
上記の「鬼怒川みやびバージョン」と、名前と容器と発売時期と中身と価格が同じもの。キャラクターの描き方が、かわいい2頭身からきれいな8頭身に変わっている。
2018(平成30)年5月1日に発売。白飯を鶏そぼろと炒り卵で覆い、シイタケ煮で仕切って鶏つくねと紅生姜を置き、煮物と漬物を添える。内容は普通の鶏飯駅弁も、栃木県産銘柄鶏の「とちぎ香鶏」を使うという鶏肉は、水気が豊かなこともあり味付けも食感も柔らかめで、普通の駅弁とはひと味違うぬくもりがあった。1年間ほどの販売だった可能性がある。
鬼怒川温泉駅で下記の駅弁を売る店舗で買えた鰻重。2017(平成29)年11月の訪問時にも売られていたが、今回は容器にカフェの名を記した紙帯を巻き、少し駅弁らしく見えたので買ってみた。白飯にウナギ蒲焼きを載せ、ニンジンなどの煮物とたくあんを添える、ただの鰻重。カフェのコンセプトや鬼怒川温泉との関連を感じられない。ウナギは特に個性のない、スーパーで買える真空パック品のようなもの。価格は2018年の購入時で1,295円、2020年時点で1,458円。2021年までの販売か。
※2022年4月補訂:値上げと終売を追記