札幌駅から特急列車「オホーツク」で約5時間半、石北本線と釧網本線との接続駅。網走市は北海道の北東部でオホーツク海に面した人口約3.5万人の港町で、オホーツク海の漁業と盛衰をともにしたが、今でも沿岸有数の都市であり、監獄や流氷などの観光資源が客を集める。駅弁は国鉄時代からの駅弁屋がカニの駅弁などを、ホームと改札外待合室に面した店舗で販売するほか、秋冬の駅弁催事へも出品する。1932(昭和7)年12月1日開業、北海道網走市新町。
2015(平成27)年の秋に、駅弁催事向け商品として発売か。2017(平成29)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売して以降、網走駅でも売り始めた模様。小柄な正方形の容器に醤油飯を詰め、イクラとカズノコと、カズノコのほぐしで覆う。その見た目は、チラシやパッケージの写真と寸分違わない美しさ。カズノコのほぐしは、駅弁以外を含めて初体験。風味はほぐさないほうが良いものの、これで見栄えと個性を備えた感じ。価格は2017年の購入時で980円、2020年時点で1,280円。
※2020年5月補訂:値上げを追記網走駅の幕の内駅弁で、駅弁の名前は売店での掲示による。ボール紙のパッケージに「味ごよみ」と書いてあるが、これは市販の惣菜弁当向け容器の名前であり、例えば京都府の山陰本線綾部駅でも使われていた。これに調製元シールと食品表示ラベルを貼り付ける。中身は日の丸御飯にスパゲティ、エビフライ、焼鮭、玉子焼、ホタテ煮、焼売、春巻、うにくらげ、漬物など。古いタイプで普通の幕の内駅弁で、味も値段も普通の駅弁。うにくらげとホタテが「オホーツク」なのだろうか。
網走駅で人気の駅弁。カニの色と形でデザインしたスリーブに収まる真ん丸な容器に茶飯を詰め、錦糸卵とカニほぐし身で覆い、シイタケと紅生姜と漬物で彩る。見栄えや調味料にあまり頼らない自然なカニの風味を楽しめる。今となっては、特徴のなさが特長のカニ駅弁だとも感じられる。価格は2015年の購入時で900円、2020年時点で990円。
※2020年5月補訂:値上げを追記2004(平成16)年4月19日に購入した、網走駅弁のスリーブ。その絵柄も、容器も中身も、上記の2015年2月のものと変わらない。その後は女満別空港では、網走駅弁の販売を見掛けていない。
ふたと底を上げた容器を窓開きのスリーブにはめる、見栄え重視の体裁。中身は茶飯の上にウニとイクラと錦糸卵を散らし、大根桜漬を添えて彩ったもの。味は見た目のとおりの輝き。11年前に大都会の駅弁催事でボソボソしたものを食べていたので、現地のものは現地ではおいしく感じた。分量は控えめ。価格は2015年の購入時で1,400円、2020年時点で1,580円。
※2020年5月補訂:値上げを追記2004(平成16)年1月25日の調製である、網走駅弁のスリーブ。大阪のデパートで実演販売されていたお弁当。見た目や内容は、上の現地での11年後のものと変わらない。2004(平成16)年1月の阪神百貨店の駅弁大会で購入した「ウニ・イクラ」で、他に「タラバ・ホタテ」(1,470円)、「タラバ・ウニ」(1,470円)、「タラバ・イクラ」(1,470円)、「鮭・イクラ」(1,050円)、「カニ・イクラ」(1,130円)の5種が、同じ容器で実演販売されていた。
2000(平成12)年10月に発売。上げ底の容器に透明な上げぶたをする催事受けしそうな容器を、海と中身の写真を載せたボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上にカニとイクラと錦糸卵を載せるもの。写真と違い中身の具がシェイクされているが、見栄え良く分かれているより食べてうまいと思う。小柄だけど満足感は出る。ただ、現地に実態があるかは分からない。パッケージにはしっかりと、現地で買えた駅弁にはなかった製造委託の記号が付いていた。価格は2008年の購入時で1,050円。後に他の磯宴シリーズと同じような姿に変わり、2020年時点で1,480円。
網走は、行政面では網走支庁を擁し、産業面では漁業の、観光面では監獄と流氷の街。鉄道では石北本線と釧網本線がぶつかる運行上の拠点。しかし人口においては、約4万人の網走市は約11万人の北見市の半分以下であり、鉄道は路線図上1本の路線で列車は2方向に出るのみ。
※2020年5月補訂:値上げなどを追記正方形の容器に茶飯を詰め、錦糸卵とホタテを散らし、シイタケときぬさやと小梅で彩る。メインの帆立は小柄ながら十個以上がゴロゴロと転がり、締まった身と甘く濃いめの味付けで御飯のおかずには最適。
上記の駅弁「帆立弁当」の、2003(平成15)年時点の姿。スリーブの絵柄や中身や味は変わらない。当時は踏んでも壊れなさそうな、異様に強度のある黒いプラ製容器を使っていた。
※2019年3月補訂:新版の収蔵で解説文を整理1989(平成元)年頃の発売。流氷がやってきた網走市街の航空写真と、中身の食材のイメージ写真を印刷したボール紙の容器を使用、中身は小さな紙カップに収まる、鮭フレーク丼、カニほぐし身丼、イクラ醤油漬け丼、ベビーホタテ煮丼。柴漬けのプラ製カップも収まる。
新潟県は長岡駅の「越後長岡花火寿し」など、四半世紀前はこのような駅弁が流行ったのだろう。味については、イクラは見たまんま、カニは網走駅弁の味、ベビーホタテはエキスが香り、鮭は色も味もパサパサ。同じ売店で隣に磯宴シリーズがいては、名前負けする感じ。価格は2015年の購入時で1,300円、2020年時点で1,400円。2020年に終売か。
※2022年4月補訂:終売を追記2006(平成18)年の秋に、催事業者がプロデュースする催事向け駅弁シリーズ「駅弁の達人」のひとつとして、現地と催事場で発売か。正八角形の発泡材製容器に透明なふたをして、中身の写真を載せたボール紙の枠にはめる。中身は茶飯の上にタラバ、いくら、サーモンの3種を載せて、きぬさやを添えるもの。具が3種だから三つ巴。こういう内容は道内ではどうしても属地不詳となるが、きぬさやの添付と、軽く焼いたぶつ切りタラバの風味が個性を出す。現存しない模様。
※2015年7月補訂:終売を追記昭和50年代、1980年前後のものと思われる、昔の網走駅弁の掛紙。中身はつまり特製幕の内弁当か。ホタテとサケと、1990(平成2)年までに廃止された名寄本線や湧網線を含む国鉄線の略図を描く。