これは駅弁でなく、JR日豊本線の三股(みまた)駅に隣接する店舗「三股町物産館よかもんや」で買えたお弁当。白いプラ容器に白飯を詰め、海苔で覆い、大葉を敷き、鶏肉のからあげ、チキン南蛮、チキンカツで覆い、たくあんを添えた惣菜弁当。調製元は三股市街で弁当も売る鶏料理専門店。人気の弁当のようで、まるで道の駅のような小売店で、よく売れているようにみえた。駅で消費。
三股駅は、都城駅の東隣の駅。宮崎県北諸県郡三股町の玄関口であるが、特急が止まるような駅でなく、駅員もおらず、駅弁もない。1970年代の西都城駅付近の連続立体交差事業に伴い、鉄道貨物施設が整備され、駅名を「東都城」に変えたが、1980年代の鉄道貨物の廃止により元に戻った。西都城駅には駅弁があり、三股町物産館は貨物施設の跡地にあり、駅や駅弁とのつながりがあるように思える。駅前には同じ日に訪れた都城駅や西都城駅より多くの車が出入りして、物産館の駐車場に吸い込まれ、賑やかなスーパーマーケットのようであった。
熊本駅や鹿児島中央駅から観光列車を乗り継いで約3時間。南九州へ初めて達した鉄道である肥薩線の、宮崎県内で唯一の駅であり、宮崎県で最古の駅。駅弁はなく、鉄道も駅前も寂れて久しいが、観光列車の発着に合わせて、物売りが出ることがあった。1911(明治44)年5月11日開業、宮崎県えびの市内竪。
真幸駅のプラットホームで買えた和菓子。プラ製の惣菜容器の中にビニールを敷いて経木の円盤を敷き、つぶあんのおはぎと青のりのおはぎを1個ずつ詰める。駅弁ではないけれど、駅弁がない無人駅での駅売り米製品ということで、勝手に駅弁と見なした。2004年3月の九州新幹線開業に伴い大幅にリニューアルした、肥薩線の人吉駅〜吉松駅で運行する観光客向け普通列車「しんぺい」「いさぶろう」の人気の上昇とともに、真幸駅のホームでの商品の販売が定着した。2015年頃までの販売か。
真幸駅は、宮崎県内で最古の駅。九州北部から鹿児島へ向けて線路を延ばす際に、八代からの南下ルートに海岸線沿いではなく山中が選択され、長大トンネルとスイッチバックとループ線を持つ山岳鉄道が、明治時代の末期に築き上げられた。その際に宮崎県を少しかすめ、真幸の駅が設置されたもの。列車も旅客も一息入れる停車駅だが、駅弁や駅売店が存在したことはないと思う。
駅名の縁起良さから、国鉄末期に入場券が人気を集めた。一方で1972(昭和47)年7月の土石流で駅と集落が呑み込まれ、まともな利用者がいなくなり、駅員も消えた。しかし九州新幹線の部分開業で観光列車が設定され、山のふもとの京町温泉から売り子さんがやってくる駅となった。2020年の新形コロナで5月から運休、7月の豪雨で不通となり、観光列車はそのまま消えてしまった。
※2023年2月補訂:終売を追記