熊本駅からJR豊肥本線の列車で約1時間。立野駅がある南阿蘇村は、熊本県の北東部で2005年に長陽、白水、久木野の3村が合併してできた、人口約1万人の村。駅弁は大正時代から1980年頃まで熊本駅や阿蘇駅の駅弁屋の支店があった。また、1907年に創業した饅頭店が立野駅の開業で駅前へ移転し、今も売られる「ニコニコ饅頭」が名物である。1916(大正5)年11月11日開業、熊本県阿蘇郡南阿蘇村立野。
立野に鉄道が来る前の1907(明治40)年に登場したという、立野駅前の名物まんじゅう。過去には駅のホーム上で立ち売りされ、現在は駅前で販売。掛紙には国鉄高森線のち南阿蘇鉄道の、第一白川橋梁を渡る汽車が描かれた感じ。
生地に甘酒を練り込んだ、こしあん入りの白い手作りまんじゅうが8個、ラップと経木の薄皮に包まれて400円。高い確率で出来立てホカホカが買えた模様。一度聞いたら忘れられない商品名の由来は、食べたらニコニコするからだそうな。
2016(平成28)年4月の熊本地震による災害で、立野駅に豊肥本線も南阿蘇鉄道も代行輸送も来なくなった際、ニコニコ饅頭は熊本市内のスーパー「鶴屋フーディーワン」各店で売られた。豊肥本線は2020(令和2)年8月に運転を再開、駅前でのニコニコ饅頭の販売もまた再開した。南阿蘇鉄道は実質的に全額国費で約70億円をかけて、2022(令和4)年度の運転再開を目指している。
※2021年3月補訂:現況を改訂熊本駅からJR豊肥本線の列車で約1時間。南阿蘇鉄道は1986年に国鉄高森線を転換して生まれ、立野駅はJRの立野駅の延長線上にあり、トロッコ列車の始発駅。1916(大正5)年11月11日開業、熊本県阿蘇郡南阿蘇村立野。
2010(平成22)年までに、南阿蘇鉄道トロッコ列車向けの予約限定弁当として発売か。掛紙には商品名、阿蘇山、トロッコ列車、第一白川橋梁、鉄道会社名が記される。長方形の容器に白御飯を詰め、鶏照焼、鶏そぼろ、錦糸卵、高菜で覆い、筑前煮と大根サラダを添える。味や見た目や価格は、スーパーの惣菜弁当レベル。調製元は熊本では大手の持ち帰り弁当チェーン店。
この商品が立野駅の駅弁として紹介されたことはないと思うが、2016(平成28)年4月の熊本地震による被害で立野駅〜中森駅が不通となったことで、震災復興の願いをかけて、または乗じた宣伝で「震災の影響により現在は販売中止」旨の注記を加えて、2017(平成29)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、立野駅の駅弁として輸送販売された。
立野駅はJR線も南鉄(なんてつ:南阿蘇鉄道の略称)も不通のままで、駅弁も当然に売られない。トロッコ列車は中松駅〜高森駅で運行を再開したが、下記のとおり南阿蘇白川水源駅に新たな駅弁ができてしまい、このとり飯の立場が失われている。2017(平成29)年7月の南阿蘇鉄道のイベント「ひまわりフェスタ」では「復刻」として売られたので、これはもう売られないものとみられる。
※2021年3月補訂:終売を追記立野駅から7駅25分。その名のとおり、熊本県の中部を横断する白川の、水源にあたる湧水の近くにできた駅。駅にカフェがあり、2017(平成29)年3〜5月の土日曜日に販売する駅弁ができた。2012(平成24)年3月17日開業、熊本県阿蘇郡南阿蘇村大字白川。
2017(平成29)年3月25日にデビュー。前年4月の熊本地震の被災地である熊本県阿蘇郡南阿蘇村の村役場が、震災復興と南阿蘇鉄道の全線復旧を目指し実施する「南阿蘇鉄道駅弁プロジェクト」により、芸人と村民で考案したこの駅弁を、南阿蘇白川水源駅の駅舎内にある「駅カフェ倶利伽羅」で、2017年3月25日〜5月7日の土日曜に販売するもの。
竹皮編みの容器に、南阿蘇鉄道の風景やトロッコ列車を描き、同プロジェクトのアイコンやロゴマークを記した掛紙を巻く。半透明のプラ製トレーに収まる中身は、クレソン混じりの御飯を、阿蘇あか牛の牛肉煮で覆い、半身の煮玉子、クレソン、菜の花を添えるもの。見ても食べても手作り感のある牛丼。発売日には180個ないし200個が完売、以後の販売日も連日の売り切れで好評だという。2019年か2020年までの販売か。
2016(平成28)年4月16日の熊本地震で、阿蘇山のカルデラが唯一外部に口を開ける、南阿蘇村の西端で大規模な斜面崩壊が発生、国道57号とJR豊肥本線と、国道325号阿蘇大橋を土砂が押し流した。また、地震動により村内の住宅や別荘や道路や草原の一部が押し流され、15名以上の死者と100名近い負傷者が出たほか、南阿蘇鉄道のトンネルや鉄橋が変形し、列車の運行ができなくなった。
以後約1年が経過。道路は迂回路の整備と不通箇所の復旧が進められ、商店も観光施設もおおむね元通り。迂回路が混雑することと、大規模な土砂崩れが起きた箇所を除き、生活や観光に支障はないように見える。しかし鉄道の不通は続き、復旧の見通しが立たないうえ、代行輸送が平日朝夕の通学生向けのみで行われているため、公共交通での阿蘇へのアクセスが絶望的に悪化した。南阿蘇鉄道は7月31日から中松駅〜高森駅で運行を再開、一日1往復の普通列車と2往復のトロッコ列車が走り、車で来た観光客に以前と変わらぬ車窓を提供する。駅弁発売日の訪問日には、高森駅も南阿蘇白川水源駅も、地元や東アジアの客で賑わっていた。
※2022年4月補訂:終売を追記