1914(大正3)年に発売。この商品は駅弁でないが、戦後昭和の一時期に調製元が国鉄の構内営業の権利を得て、徳島本線(当時)の穴吹駅で立ち売りにて販売したことがあるようなので、ここに掲載した。駅売り銘菓というよりはむしろ、銘菓の駅売りであった。穴吹は剣山の玄関口のひとつ。この町で土産物として、剣山の武道信仰と果物の葡萄にちなむ「ぶどう」のまんじゅうを作ることを、製造者の創業者が思いついたのだそうな。
包装紙に書かれるとおり阿波名物、徳島名物のぶどう饅頭。直径2センチほどの、練乳を混ぜ込んだ小さなあんこ玉を5個、串刺しにして1本ずつ白い溝に収めて袋詰めする。味はつまり、こしあん。玉の表面には生地がとても薄くコーティングされていて、これで「饅頭」なのだ旨、添付のしおりに記される。この8本入りは950円、5本で594円、1本108円、12本で1,404円。徳島県内やネット通販で購入できる。
上記の商品「ぶどう饅頭」の、2017(平成29)年時点での姿。当時は3本ずつトレーに収めて包装されていた。2018(平成30)年4月に、1本ずつの個包装へリニューアル。2010年頃までは9本入りの密封パックだった。商品に入る壱億円札は「日乃出幸運券」。大正時代から入る紙片で、お客様に笑いを届けたり、時代によりおみくじや抽選券になったりしたものらしい。
※2021年2月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し