東京駅から新幹線で3時間弱。神戸市は兵庫県の南東部で大阪湾に面する、人口約150万人の港町。古代からの湊は1868年の開国開港で関西を代表する港湾都市となり、異国情緒や夜景で有名な観光地でもある。駅弁は第二次大戦後に神戸へ移転した駅弁屋の、肉や洋食や新幹線型など、様々な駅弁が賑やかである。1972(昭和47)年3月15日開業、兵庫県神戸市中央区加納町。
2019(令和元)年の発売か。2015(平成27)年発売の「神戸のすきやきとステーキ弁当」の、加熱機能付き容器バージョンであり、スリーブは同じ絵柄をしている。中身は常温版と少し異なり、きのこピラフと牛ステーキとポテトフライとインゲン、味付き飯と牛肉煮とネギやニンジンの煮物と糸こんにゃくという、2種類の牛肉丼というつくり。価格は2019年時点で1,380円、2023年時点で1,420円。
※2023年10月補訂:値上げを追記2012(平成24)年8月に発売か。神戸の駅弁で「あっちっち」と「ステーキ弁当」との組合せが今までなかったことは盲点だった。ボール紙のパッケージは「あっちっち」でない神戸のステーキ弁当と同じ意匠。長方形の加熱機能付き容器にきのこピラフを敷き、牛肉ステーキを載せ、コーン、ポテトフライ、いんげん、ニンジン煮を添えるもの。赤身だけで歯応えと柔らかさと香りと風味を出すステーキ肉は、170種類もの駅弁を集めたというこの駅弁売店にもライバルはいない味。価格は2012年の発売時や購入時で1,300円、2014年4月の消費税率改定で1,330円、2016年時点で1,350円、2022年3月から1,380円、2023年時点で1,420円。
※2023年10月補訂:値上げを追記2016(平成28)年5月20日頃の調製と思われる、新神戸駅弁のパッケージ。伊勢志摩サミットの開催を記念して、仙台駅から小倉駅まで11種類の駅弁について、パッケージに駅弁の名前の英文表記とほぼ共通のロゴマークを印刷し、東京駅の駅弁売店で販売した。価格と中身は通常版と同じ。
駅弁の名前は「あっちっちすきやき御飯」とも。パッケージの記述から、「のぞみ」新神戸駅停車を記念して2001(平成13)年10月に発売か。神戸の他の加熱機能付き容器駅弁でお馴染みの、八角形のパッケージに円形の容器を入れる。中身はわりしたで炊いた御飯の上に、兵庫県産和牛を使用したという牛すき焼きを載せるもの。つまり高級な牛丼ということで、温めればモリモリと食べられる。
価格は2003年の購入時で1,000円、2014年に春夏秋冬の季節に分かれて1,030円、2016年時点で1,080円、2018年から春と秋のみになり、2020年時点で1,100円。2020年までの販売か。
※2023年10月補訂:終売を追記2019(令和元)年12月までに発売か。長方形の加熱機能付き容器の、半分に海苔をかけた御飯を、半分に牛肉や糸こんにゃくやエリンギや白菜やレンコンやニンジンなどのすき焼きを詰める。飯の量が多いため熱が足りないことと、肉が硬いことは仕様かどうか。2月か3月の頃には「春」に切り替わった。2021年春前に終売か。
※2022年4月補訂:終売を追記2014(平成26)年7月までに発売か。長方形の加熱機能付き容器にキノコピラフを敷き、牛肉ステーキを横たえ、ジャガイモの素揚げ、菜の花、ピクルス、ニンジンを散らす。まるで佃煮を押し固めたような神戸ワインステーキの肉質は、赤身の実力か、単なる期待外れか。2018年までの販売か。
※2021年2月補訂:終売を追記2017(平成29)年4月1日の発売。調製元の「あっちっちスチーム加熱式弁当」の発売30周年記念商品。1987(昭和62)年に発売した全国初のスチーム加熱式、水と石灰の反応により中身を温めるタイプの駅弁の復刻版として、味を可能な限り近付けたという。
四角い加熱機能付き容器に白飯を詰め、焼きアナゴ、錦糸卵、小松菜のおひたし、かぶら醤油漬で覆う。今回購入のものは600kmの旅の結果か具が散らされているが、調製元の公式サイトの写真ではアナゴが整然と並べられている。神戸から本州各地に広まった加熱機能付き容器は、ここでは隙間なくコンパクトになっていた。2か月間ほどの販売か。
※2021年2月補訂:終売を追記1988(昭和63)年の発売。大きく丸い容器の中身は御飯と牛すき焼きにカイワレなどの薬味と生卵。もちろん暖めてすき焼きとして食べるのだが、生卵がゆで卵になっては困るので卵は暖まらない工夫を凝らしてある。
暖める仕組みは次のとおり。生石灰と水が別々に入った袋が底に敷いてあり、ひもを引くと水の袋が破れて生石灰にかかり、化学反応で熱と蒸気が出る。熱は中身を暖めて、蒸気は中身を蒸して水分を与えるので、駅弁にピッタリ。8分ほどで食べ頃になるよう駅弁の中身が考えられている。反応終了後は消石灰になるので普通のゴミに出せ、また持ち帰ってプランターの肥料にもできる。「あっちっち」と「すきやき」を名乗る派生版もいろいろ出ている。
価格は2014年の購入時で1,130円。2016年秋に「AWAJIYA’S TAJIMA BEEF SUKIYAKI BENTO(あっちっち但馬牛すきやき弁当)」(1,400円)へ改称し値上げ。価格は2022年3月から1,440円。
※2022年4月補訂:改称と値上げを追記2012(平成24)年9月4日の発売。円形の加熱機能付き容器に山菜ご飯を詰め、クリ、サツマイモ、カボチャ、クルミ、アイガモ、マツタケなどを散らすもの。栗飯を名乗るも飯に栗はなく、クリの甘い欠片は確かに複数個だがクルミの分量と存在感が大きく、2切れのカモ串とマツタケにも存在感があり、しかしカモ駅弁やマツタケ駅弁というほどでもない、という秋の味。調製元の公式サイトでも秋季限定と書かれている。価格は購入時で1,050円、2014年4月の消費税率改定で1,080円。2014年までの3シーズンの販売か。
※2021年2月補訂:終売を追記2012(平成24)年9月8日の発売。円形の加熱機能付き容器に、タコ飯、根菜の煮物と明石焼、出汁を詰める。ここの看板駅弁のひとつ「ひっぱりだこ飯」より軽い感じの柔らかいタコ飯も、過去に明石の市街で食べたものとほぼ同じ風味の明石焼も、心地良い感じ。価格は2013年の購入時で1,100円、2014年時点で1,080円。2014年までの販売か。
タコは明石の名物。国内でのたこ類の漁獲量は、都道府県別では北海道がダントツの日本一であるが、マダコに限れば兵庫県が年間約1000トン(2010年度)で日本一だという。架橋で苦労した明石海峡の潮流にもまれ、ここでは2000年以上前から人に食べられているタコは、底曳き網、タコつぼ、一本釣りで獲り、干したり茹でたり、あるいは生で明石駅前の魚の棚商店街などで売られる。この町で玉子焼といえば、玉子に出汁や小麦粉を混ぜてタコの切れ端を入れてふわふわに焼く、いわゆる明石焼である。
※2021年2月補訂:終売を追記2010(平成22)年1月の京王百貨店の駅弁大会に向けた投入か。東海道本線全通(新橋−神戸間)120周年記念弁当の副題が付いている。円形の加熱機能付き容器を使用、駅弁の名前とそのイメージイラストを描いたボール紙の箱に詰める。中身は白御飯の上をタマネギと青ネギとニンジンの炒め物で覆い、牛肉煮を少々つまむもの。しゃぶしゃぶというより時雨煮のようになった牛肉の風味が、なんとなく残念。神戸で昭和の頃から定評のある常温版のしゃぶしゃぶ駅弁の面影は、こちらにはなかった。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記2009(平成21)年8月3日に発売か。東海道本線全通(神戸−新橋間)120周年記念弁当の副題が付いている。加熱機能付き容器の駅弁ではあまり見ない、長方形の容器に加熱機能をぴったり埋め込んだ容器を使用、中身のイメージや駅弁の名前を描いたボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上に牛焼肉とピーマン炒めともやし炒めを乱雑に載せるもので、タレが袋で添付される。悪気はないが、臭め固めのパサついた牛肉の風味が個性的。
調製元は神戸エリアの駅弁屋である淡路屋であるが、この駅弁は新大阪駅弁とも天王寺駅弁ともされるし、もちろん大阪も鶴橋も兵庫県や神戸市ではない。最近は神戸の駅弁をJRの子会社が大阪市内の駅構内の売店で取り扱うようになってきており、従来のエリア分けが通用しなくなった感じ。ここではとりあえず神戸の駅弁としておく。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記2009(平成21)年2月頃に発売か。円形の加熱機能付き容器を使用、これをカレー色のボール紙のパッケージに収める。中身は白御飯の上をカレー色に染まってカレー味のする牛肉煮、タマネギ煮、ごぼう煮、糸こんにゃくで覆い、いんげんとニンジンを添えるもの。これは調製元の得意料理に見えて、牛肉がザラザラしてとにかく固くてスジだらけであり、昔の安くて不味いカレーライスを思い起こさせるもの。ルーがあまり辛くなかったのは個人的には嬉しかったが、これも味としてはマイナスかもしれない。神戸の駅弁には珍しい駄作に感じた。なお、カレー飯の「カ」は、くちへんに加わるという文字を書く。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記2007(平成19)年に発売か。円形の加熱機能付き容器を、駅弁の名前をデザインしたボール紙の箱に詰める。中身は白御飯の上に5〜6枚の牛塩タンを貼り付けて、ミツバとニンジンを添えたもの。塩とコショウと柴漬けを別添とした心遣いは、さすがの神戸駅弁。風味にも加熱式駅弁や牛肉駅弁に長ける調製元の実力が感じられる。食後感も良好、宣伝臭はほとんどなし。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記2006(平成18)年に発売。円形の加熱機能付き容器を、中身の写真を載せるビーフシチュー色の紙箱に詰める。中身は白御飯の上に大きな牛肉やジャガイモやニンジンやこんにゃくやインゲンの角切りを散らし、デミグラスソースをかけるもの。
シチューはあっさり薄味なので御飯のおかずにならない感じ。しかしこのソースには、駅弁向けに御飯へしみ込まない工夫が隠されている。具の大きさも考えてのものだろう。このタイプの加熱式駅弁の発祥地も神戸で、見ただけでは分からない駅弁屋のノウハウが詰まっている気がする。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記1991(平成3)年10月10日に1,300円で発売。日本交通公社(JTB)の月刊誌「旅」の誌面企画によるこだわり駅弁の、仙台駅「各驛停車」に続く第2弾。前作と同じく、駅弁に詳しい林順信、小林しのぶの両氏、漫画家のヒサクニヒコ氏、雑誌の編集長と調製元の社長などで議論し考案した駅弁。1994(平成6)年に魚介類のおかずを見直して1,030円に値下げ。
神戸の駅弁が誇る「あっちっち」シリーズの加熱機能付き容器を使用、ヒサクニヒコ氏による箱のイラストは、播磨王家の山幸姫に海幸彦や古代中国の四神を描いたという。
3区画の中身は、白飯、蒸し鶏に煮ダコに焼アナゴにタイなどのおかず、もみじおろしとポン酢。当初の塩蒸しから酒蒸しに替えたという具に味付けがなく、そのまま食べれば駅弁らしくない薄味が温かく楽しめ、なかなかうまい。加熱式駅弁で具だくさんというのも珍しい。2007年頃までの販売か。
※2013年5月補訂:終売を追記神戸の他の加熱機能付き容器駅弁でお馴染みの、八角形のパッケージに円形の容器を入れるが、そのパッケージはやや簡略化された新バージョンか。中身は白御飯の上に少量の錦糸卵と多量の穴子蒲焼を載せる。そのまま食べるといずれも硬いだけだが、指示通りひもを引いて温めた後につゆをかければ、タレの強くない穴子が口の中で溶けていくはず。
2003年時点で神戸の駅弁は、東海道本線の神戸、元町、三ノ宮、六甲道、山陽本線の西明石、福知山線の宝塚、山陽新幹線の新神戸の各駅で購入できるが、どの駅がメインの駅かは文献によって異なるため、ここでは駅を特定せず「神戸の駅弁」として紹介する。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記2002(平成14)年に「明石鯛好きめでっ鯛飯」の姉妹品として発売。すり鉢型の八角柱ボール紙製容器の中に、加熱材を底に埋め込んだ円形のプラスティック製容器。中身はめでっ鯛飯と共通で、茶飯の上に錦糸というには太い卵と、鱈の子を混ぜた芽昆布、そして小鯛酒蒸の切り身が3切れ載る。容器側面の黄色いひもを引けば盛大に蒸気が出て8分程度で暖まる。鯛はとても美味いが、芽昆布の着色料はなんとかならないものか。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記2001(平成13)年に発売。ボール紙で組み立てられた八角形のパッケージの中に発熱剤入りの丸いプラスティックの容器を入れる。中身は焦茶色の炊き込み御飯に、牛タン塩焼と牛スジに三つ葉と栗が載るもの。駅弁の名前は牛「筋」に黄「金」色の栗と「牛タン」が入ったことから命名された。
二重容器に発熱剤入りなので容器の大きさに対して量は少なく、特に牛タンが少ないのではと感じるが、ゼラチンの塊になるまで煮込んだ牛スジに、甘すぎず辛すぎない御飯などの味がそれをカバーする。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記