東京駅から新幹線で3時間強。姫路市は兵庫県の南西部で瀬戸内海に面する、人口約53万人の城下町。製鉄や液晶などの臨海工業で栄え、国宝で世界遺産の姫路城が観光客を集める。駅弁は明治時代からの駅弁屋「まねき食品」が、アナゴや姫路城などの駅弁を販売。1888(明治21)年12月23日開業、兵庫県姫路市駅前町御殿前。
2023(令和5)年11月10日に姫路、新神戸、大阪、新大阪、京都、東京の各駅で発売。日本鉄道構内営業中央会の「駅弁マーク」制定35周年を記念し、会員のうち29社が主に11月10日から期間限定で販売した31種類の記念駅弁のうち、姫路駅の駅弁屋のもの。松花堂弁当タイプの4区画には、日の丸鯛めし、焼アナゴのちらし寿司、焼サバとひじき煮と黒豆と野菜さつま揚げ、レンコンやしいたけや高野豆腐などの煮物とサツマイモ。だし飯にしてみずみずしい鯛めしと、駅弁掛紙では明治時代から親しまれる真っ赤な鯛の絵柄がおめでたい。11月10日から当分の間販売。
2023(令和5)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。白い酢飯を、糸昆布で覆い、白身のタイの昆布締めを貼り、ゆず皮で香りを付け、大根なます、カニ爪の薩摩揚げ、黒豆煮、甘露栗を添える。カニの違和感は別にして、瀬戸内海産の真鯛を味覚でも視覚でも淡く引き立てた、おいしい駅弁に思える。また、他であまり記憶にない、白さの美しい駅弁。
2022(令和4)年10月14日に姫路、新神戸、大阪、新大阪、京都、東京駅などで発売、11月13日まで販売。日本鉄道構内営業中央会の鉄道開業150年記念復刻駅弁企画により、同月から期間限定で販売された31社34駅弁のひとつ。姫路駅が元祖とされる幕の内弁当と同じ二段タイプで、掛紙の絵柄を鉄道150年に、中身を「おめでたい」にちなんだという。
蒸気機関車の不思議な形が気になる掛紙の絵柄は、1952(昭和27)年頃のものの復刻だそうな。二段に重ねた正方形の容器の、下段は鯛飯のみ、上段はおかずで、牛肉ごぼう煮、れんこんやしいたけなどの煮物、玉子焼と大根なますなどの酢の物、椎茸海老詰めフライと小松菜漬。たしかになんとなく、おめでたい気がするお弁当。年が明けても一部の催事に出てきており、売れる場所であればそのままレギュラー入りしてよさそう。
下記の駅弁「鯛寿司」を、2013(平成25)年にリニューアルか。黒いパッケージに収まる経木折タイプの正方形の容器に、今までと同じ鯛寿司を7個収める。酢レンコンの添付や、笹の葉と柑橘系の爽やかな香りもまた変わらない。値段も容器も、こちらのほうが見栄えがすると感じる。東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」での実演販売で購入したため、食品表示ラベル上の調製元が売店業者の日本レストランエンタプライズ(NRE)になっている。価格は2013年の購入時で1,050円、2014年時点で1,100円。姫路駅の鯛寿司の駅弁は、2019年頃までの販売か。
※2022年4月補訂:終売を追記事実上、2016(平成28)年11月の東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」リニューアルオープンに合わせて、同店でデビューか。長方形の容器に茶飯を敷き、タコ4切れその他の具を載せて、根菜煮物3点を添えたもの。駅弁にしては大きく淡く柔らかいタコも、それがゆえに冷や飯のおかずにするには、味も香りも足りなかったかもしれない。出来立てとか実演販売で、味が活きそうな気がした。翌2017(平成29)年1月の京王百貨店の駅弁大会でも輸送販売され、ほどなく売り止めた模様。
2016(平成28)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売。パッケージの絵柄には、イタリアの地図と、着物を着たイタリア人、コウノトリとはばタンが飛ぶ万博出展アイコン、駅弁マークとJR西日本のDISCOVERWESTロゴが使われる。中身はタコのジェノベソースとピクルス、タイ酢締め、マス酢締めを貼り付けた酢飯を川の字に並べ、有頭海老、ニンジン煮、こんにゃく、豆腐しんじょう、菜の花、うぐいす豆を添える。味も含めて少なくとも日本の駅弁にはあまりない、おしゃれな感じ。
前年に開催された、イタリア・ミラノの国際博覧会の、日本館イベント広場での2015年7月16日から19日までの「兵庫県プロモーション」の、17日午後の「播磨スローフード協会」で、姫路駅の駅弁屋が駅弁容器におかずを詰める実演をしたり、弁当の歴史や文化の説明や紹介をしたことにちなむ模様。この弁当そのものが、このミラノ万博や同市内で作られたり売られたわけではないようだ。残念ながら、今回の駅弁大会での実演販売では、会場内でまったく見向きされていない感じ。万博は前年の5月から10月までで終わってしまったわけで、もっと早く、ミラノ万博がテレビに出ていた頃に発売していたらと思った。
2017(平成29)年1月の京王百貨店の駅弁大会で購入。おしいかった駅弁「鯛寿司」が、予告なく宣伝なく、ひっそりと復活していた。見た目や中身は、2010年に同じ場所で売られた下記の7年前と同じ。掛紙がボール紙のふたに変わり、値段が230円も上がった。「ハッピーまねき」当時からの柑橘系の香りが、薄くなった気はした。この駅弁大会でのみの販売か。2023年1月の京王百貨店の駅弁大会では「復刻」を名乗り販売され、1,380円へ値上げ。
※2023年1月補訂:現況を追記2010(平成22)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売を行うために発売か。とても細長い経木枠の容器に木目柄のボール紙でふたをして輪ゴムで留め、鯛と城を描いた掛紙をかけて輪ゴム2本で留めて、割りばしと醤油が入った袋を添える。中身は酢飯にタイの昆布締を合わせた棒寿司が6切れ1本と酢レンコン。生タイプのタイの身にはゆずの風味も付いており、さわやかで味わい深い。
中身は下記の駅弁「ハッピーまねき」と同じ。催事場での実演販売に際して、あの容器では一日数百個の会場内調製が困難であると考えたのか、容器も分量も無難なこのバージョンを投入したのだそうな。だから実演ブースでは「ハッピーまねき」も併売された。21世紀の鯛寿司駅弁として定着を期待したい。2013年に上記の駅弁「瀬戸内産鯛ずし」へリニューアル。
※2015年9月補訂:終売を追記2007(平成19)年4月27日に発売。招き猫2匹を象った奇抜な陶器を使用、これをその表情がよく見える頑丈なボール紙容器に収める。容器の下半分のさらに半分に収まる中身は、瀬戸内の鯛と赤穂の塩を使った押寿司が2段10貫。古典的な内容や風味は、はじけた外観や容器とは対照的。高い価格には容器代が多分に含まれると思うが、食べる部分でも納得の一品。まずは姫路駅の新幹線ホームで一日50個を販売、その後に3日前までの要予約商品になり、今回は駅弁大会で入手。2010年までの販売か。
姫路の駅弁屋の明治時代からの商号で、後に社名となる「まねき」は、招き猫のまねきと同じく、お客様をおまねきするという意味にちなむ。この駅弁が招き猫なのは当然、それにちなむ。加えて姫路市白浜町の松原八幡神社で御輿をぶつけ合う秋季例大祭、通称「灘のけんか祭り」にもちなむそうだが、招き猫が提灯を提げ法被(はっぴ)を着ている点がそれか。
※2017年10月補訂:終売を追記姫路駅弁独特の発泡材六角形の容器に、その形に合わせた独特な形状の紙のふたをかける。その紙のふたは汎用品なのか駅弁の名前が書かれておらず、「明石たこやわらか煮弁当」と印字したシールと、「明石たこ煮弁当」と記した原材料名リストのシールを貼る。中身は、大根で叩いて柔らかくしたという明石産生タコを、出汁飯の上にぺたぺたと載せるもの。大粒で非常に柔らかいタコ足スライスに飯の風味がマッチして、満腹でも食が進む美味さ。小芋と薩摩芋の煮物に玉子焼も付いてくる。
容器とラップの間に封入されているのは「駅弁図鑑」の案内チラシ。パソコンと携帯電話でアクセス可能な、日本鉄道構内営業中央会西日本地区本部が手掛ける、JR西日本エリアの駅弁三百種以上を紹介する駅弁公式サイトで、ページがプログラムで書かれているため表示が遅く動作が鈍い点を除けば、情報満載で更新も頻繁で非常に興味深い試みであると思う。駅弁屋の売上向上やイメージアップに貢献しているかどうかは定かでない。現在は販売されていない模様。
※2013年5月補訂:終売を追記