東京駅から新幹線で約1時間40分。名古屋市は愛知県の西部で伊勢湾に面する、人口約230万人の城下町。日本国内第三の大都市圏として、製造業や商業で大いに栄える。駅弁は改札外コンコースや新幹線改札内で3社約50種が積まれ、地元や近隣の弁当なども加えて、こちらも大いに栄える。1886(明治19)年3月1日開業、愛知県名古屋市中村区名駅1丁目。
2004(平成16)年に「まるごとからあげ弁当」の名前で発売。2012年までに「でかから弁当」へ改称し下記のキャラが生まれ、2015年までに「でっきゃあからあげ弁当」へ再改称。専用のふたには商品名と特徴の鶏唐揚を大きく見せ、裏面には「とり吉の弁当自慢」として、表面にもいる擬人化された鶏「とり吉」を紹介し、弁当を宣伝する。中身は過去には俵型だった白飯、大きな鶏唐揚、スパゲティ、かまぼこと玉子焼、ささがきごぼうとタケノコなどの煮物、ポテトサラダ、大根桜漬で、これは2004年の発売時からほぼ変わらない。
大きな鶏唐揚を詰めた幕の内駅弁であり、まるでステーキか何かのようにカットされた揚げ鶏が印象的で、きっとみんなそう思っている。価格は2004年時点で750円、2014年時点で780円、2016年時点で800円、2019年時点で870円、2020年時点で880円、2022年時点で920円、2023年時点で980円。まだ千円を下回る価格で、このサイズの名古屋駅弁ではお買い得に思える。
2023(令和5)年6月20日に名古屋駅と東海道新幹線東京駅で発売。調製元の創業100周年と、サントリーのウイスキーづくり100周年とのコラボで、サントリーの商品「トリスハイボール缶」に合うオリジナルの限定商品を、第一弾として発売した。発売時に缶と弁当を一緒に買うと100円引きのキャンペーンも実施。10月にはJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2023」にエントリー。
赤いふたには富士山と白波に中身の絵柄、そしてサントリーのトリスウイスキーの広告キャラクターとして65年の歴史を持つ柳原良平のイラスト「アンクルトリス」がいくつも描かれる。中身は伝統の名古屋駅弁「とり御飯」と、鶏もも焼、鶏つくね串、焼さわら、かまぼこ、玉子焼、しゅうまい、カレーコロッケ、鶏肉の磯辺揚げ、ブロッコリー、タケノコやニンジンなどの煮物、きんぴらごぼう、うずら卵、梅バンバンジーの詰合せ。鶏づくしと、名古屋駅弁の伝統と、幕の内駅弁の構成を、コンパクトに折り重ねた実力派。
1955(昭和30)年頃あるいは1937(昭和12)年発売の「親子めし」をルーツに持つ、名古屋駅で伝統の駅弁。古くは通常版と、おかずの多い特製版があったが、現在はこの特製版のみを販売。2016(平成28)年4月頃に名前が「天下とり御飯」となった。容器のふたでは名古屋城を鶏で描く。
中身は鶏ガラスープで炊いた御飯に細かな鶏そぼろと卵そぼろを斜に敷いた「とり御飯」に、チキンカツ、鶏つくね、鶏照焼、鶏肉の磯辺揚、だし巻卵、うずらの卵、鶏の和え物などの鶏づくしに、かまぼこ、大根桜漬、みかん、さくらんぼ。価格は2017年時点で1,100円、2022年時点で1,150円、2023年時点で1,240円。
名古屋駅では昭和30年代頃まで、汽車の客を相手に鶏の丸焼きをホーム上で立ち売りしていた。現在は味噌カツやひつまぶしの駅弁が賑やかだが、ここでは昭和時代や1990年代までは間違いなく、鶏の駅弁が主力であった。
※2023年11月補訂:値上げを追記2003(平成15)年7月26日に購入した、名古屋駅弁のふた。容器や中身は上記の駅弁「天下とり御飯」と、まったく同じ。当時の名前は「特製とり御飯」であった。価格は2003年の購入時で1,050円、2014年4月の消費税率改定で1,080円。
2019(令和元)年12月19日に名古屋駅で発売。調製元と、名古屋で創業し手羽先唐揚げが人気の居酒屋チェーン店「世界の山ちゃん」とのコラボ商品だそうな。鶏フレークの甘辛たれ和えサンドを2切れとポテトサンド1切れを、プラ容器に収めて黄色いスリーブにはめる。「手羽先は使用しておりません」の注記がある。1年間ほどの販売か。
※2023年11月補訂:終売を追記2020(令和2)年1月の京王百貨店の駅弁大会で輸送販売。1964(昭和39)年当時の掛紙を復刻したという。中身は復刻しなかったとするが、過去の復刻版に似ていると思う。今回の催事における昭和39年という時期と、とり御飯という駅弁について予備知識がないと魅力や実力が伝わらないが、チラシでも催事場でも何の紹介もなかったため、残念ながら客が付いていなかった。
下記の駅弁催事向け商品「親子めし」が、JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2019」へのエントリーに向けて、2019(令和元)年10月までに再登板したものと思われる。東京駅で売られるが、名古屋駅にあるかは不明。復刻した掛紙の絵柄は5年前と同じだが、催事屋の記載が消えた。中身は刻み海苔で仕切ったとりそぼろと玉子そぼろの親子飯を変えずに、チキンカツ、鶏つくね串、鶏唐揚、鶏肉煮、うずら卵など、より鶏づくしになっていた。おそらくキャンペーン期間限りで終売。
2015(平成27)年1月の阪神百貨店の駅弁大会で販売されたお弁当。実演販売のため、調製元が百貨店となっている。名古屋駅弁「とり御飯」が生まれる前の第二次大戦前の絵柄を掛紙に使用、中身はとりそぼろと玉子そぼろの親子飯に、玉子焼、かまぼこ、うずら卵、煮物など。現在のとり御飯から多くのおかずを省略した内容で、味もそんなもの。こういうとり御飯、特製でないとり御飯が、今の名古屋駅にあってもよいなと思った。
2004(平成16)年の新作駅弁か。暖かい色彩と質感を持つ正方形のボール紙容器を赤い紙帯で締める。中身は俵飯に鶏唐揚その他が入るシンプルな内容。通常は鶏肉を切ってから揚げる唐揚を揚げてから切る製法で、見た目でも香りでも味でも鳥の存在感がより強く出ており、これで750円とはお買い得。2012年頃に「でかから弁当」へリニューアルか。
2001(平成13)年1月1日に発売。2000年7月から8月まで、当時のJダイナー東海が「東海道新幹線21世紀私の食べたい駅弁コンテスト」で公募した応募作品について、子供の部でグランプリ賞を獲得した作品を商品化したもの。当初は2001年1月から3月までの限定発売の予定が、好評のため名古屋駅でレギュラー入りした。
赤と青の正方形の紙箱を二段重ねにして紙のふたをかけて透明な帯で十字にしばる。中身は下段が星形蒲鉾とグリーンピースで星空を描いた鶏そぼろ御飯、上段がエビフライ、肉団子、うずら卵、鶏唐揚にデザートがこんにゃくゼリー・オレンジ・さくらんぼと三種も付いている。
パッケージを中心に中身でも子供向けをアピールするが、分量は少なくないので大人向けとしても使える。または割りばしとプラスティック製スプーンがひとつずつ付いているので、小さな子供とその親が分けて食べることを想定しているのかもしれない。2005年にモリゾー柄とキッコロ柄のかまぼこを入れた「万博バージョン」を売り、そのまま終売か。
1980年代のものと思われる、昔の名古屋駅弁の掛紙。おそらく中身は現在の「特製とり御飯」の、おかず満載ではない普通版か。個人的にそういう商品が現代に復刻されることを願っている。
1960年代、昭和35年前後の、12月12日9時の調製と思われる、昔の名古屋駅弁の掛紙。下記の掛紙「とり御飯」と、描かれる内容は同じで、色合いが異なる。ニワトリの羽か尾は、こちらのほうが立派か。
1960年代のものと思われる、昔の名古屋駅弁の掛紙。名古屋駅で伝統の駅弁「とり御飯」のもの。その絵柄は、尾張徳川家の合印から来た、丸の中に漢数字の八を書いた名古屋市の市章「八マーク」に、鶏が乗っているように見える。