東京駅から新幹線で4駅約50分または在来線で2時間弱。熱海市は静岡県の東端で相模湾に面する、人口約4万人の温泉町。鉄道の開通により昭和時代に、全国有数の温泉街として大いに栄えた。駅弁は以前から小田原駅の駅弁屋が販売、現在はJRの子会社が大船駅や小田原駅などの駅弁を販売。1925(大正14)年3月25日開業、静岡県熱海市田原本町。
2020(令和2)年4月から6月までの、静岡県とJR東日本とJR東海の「静岡デスティネーションキャンペーンアフターキャンペーン」の実施に合わせて、同期間中に販売。2018年4月から6月までの「プレキャンペーン」で販売した駅弁と、同じ名前と酷似した見栄えを持つ。2019年4月から6月までのJRグループによる本番期間中にも、同様の駅弁が販売されたが、買い逃してしまった。
スリーブは2年前と同じ場所で撮ったとみられる富士と茶畑の写真と、様々なロゴマークでできている。おしながきに加えて写真もそこに加えた中身は、茶飯をキンメダイ有馬煮、豚しぐれ煮、サクラエビ甘煮、じゃこ塩茹で、錦糸玉子で覆う「山海彩りごはん」に、富士柄のかまぼこ、ハーブ鶏、ひじき煮、三島コロッケ、黒はんぺん、みぶなとわさびの醤油漬、わさび漬、箱根大根の漬物。静岡県の全体でなく東部、主に富士山より東側の内容でできていた。
2019年4月から6月までのJRグループの観光キャンペーン「静岡デスティネーションキャンペーン」の実施に向けて、その1年前を「プレキャンペーン」と位置づけ、2018(平成30)年4月から6月までの販売。調製元は神奈川県は小田原駅の駅弁屋だが、昭和時代から熱海駅の駅弁屋でもあり、熱海は静岡県なので、こうやって静岡の駅弁を作って売る。
富士と茶畑の写真を使うスリーブの絵柄や色使いに、昭和や静岡駅の駅弁の雰囲気を感じる。貧弱な容器に収まる中身は、うなぎまぶし御飯、御殿場スモーク(鶏)、ちくわ梅肉揚げと焼サバ、黒はんぺんなどの煮物、とりそぼろと三島野菜漬物、大根桜漬けとわさび漬カップ。たしかに静岡県が主題の期間限定駅弁。
JR東日本横浜支社の観光キャンペーン「伊豆・箱根・湯河原 温泉いっぱい花いっぱいキャンペーン」に伴い、2017(平成29)年1月10日から3月31日まで、熱海駅や大船エリアや東京都内で販売された期間限定駅弁。大船駅弁の大船軒と、横浜駅弁の崎陽軒が、このキャンペーンの駅弁を出したが、小田原駅弁や熱海駅弁の東華軒は出していない。前年と同じなのは、松花堂タイプの容器だけ。桃色の掛紙を巻く真っ黒な容器の中身は、梅干しを載せた黒米入り御飯、サクラエビを載せたあおさ御飯、シラス炒め、サクラエビしんじょう、焼サバともやし、ホウレンソウ入り玉子焼、大根桜漬、キンメダイ焼、こんにゃくとニンジンと椎茸の旨煮、みしまコロッケ、ぐり茶のようかん。
2016(平成28)年秋の新作か。小田原駅や熱海駅の他の駅弁でも使われる、黒くて丸くて硬いプラ容器に、コンブかワカメの混ぜ御飯を詰め、キンメダイ煮付1切れ、アジ唐揚げ2個、シイタケ煮2個、錦糸卵、イカ照焼2個、みぶ菜とわさびの醤油漬、ダイコンつぼ漬、パプリカで覆う。駅弁大会で買える千円以下の駅弁として、出色の出来。常温や冷蔵の範囲で、魚と飯をモリモリいただける。1年弱ほどの販売か。
※2021年2月補訂:終売を追記2016(平成28)年11月25日の熱海駅ビル「ラスカ熱海」オープンと同時に発売か。調製元は三島駅や沼津駅の駅弁屋だが、この商品は土休日に熱海駅で売られるという。三島駅や沼津駅で売られる駅弁「富嶽あしたか牛すき弁当」の、具と量を増した上等版。
木製エコ容器に白御飯を詰め、牛肉煮とタマネギ煮で覆い、しらたきやシイタケなどの煮物、玉子焼、大根桜漬を添える。肉の固さとタマネギの多さで、牛丼や牛肉駅弁でなく牛すき焼きの弁当を食べている感じがたっぷり。2020年2月頃までの販売かもしれない。
※2021年3月補訂:終売可能性を追記2016(平成28)年11月25日の熱海駅ビル「ラスカ熱海」オープンと同時に発売か。調製元は三島駅や沼津駅の駅弁屋だが、この商品は土休日に熱海駅で売られるという。三島駅や沼津駅で一番人気の駅弁「港あじ鮨」と、とてもよく似た名前とパッケージを使う。
中身はワサビ茎混じりの酢飯にアジを合わせてワサビの葉で包んだ「にぎわい鯵鮨」2個、アジの握り鮨「ぬまづ鯵鮨」2個、アジの太巻き「鯵わい太巻き」2個、紅色の魚のバッテラ「天城紅姫あまご寿司」1個、わさびいなり1個、ニンジンとこんにゃくとタケノコの煮物、ガリ。中身も「港あじ鮨」とかなり被る。それでいて価格が220円も高いので、熱海駅では買えないが通常版がおすすめ。2020年2月頃までの販売かもしれない。
※2021年3月補訂:終売可能性を追記2016(平成28)年12月までに発売か。小田原駅の駅弁屋の商品を東京駅で買ったが、その名前から熱海駅の駅弁ではないかと思う。掛紙には商品名とおしながきを記し、パワースポットの観点での熱海の観光名所の写真を載せる。中身は日の丸俵飯にかまぼこと玉子焼、キンメダイ照焼、鶏唐揚、揚げちくわ、煮物、漬物、白玉、とりそぼろなど。
公式なコンセプトは「パワースポットとして人気の来宮神社が神事の際に使用する食材「だいだい」、「麦こがし」、「百合根」を使用した幕の内弁当」。とはいえ、見栄えも内容も、小田原駅の幕の内駅弁「おたのしみ弁当」とそっくり。ふにゃふにゃの容器を使う、見栄えは古臭い昭和の幕の内駅弁ですが、その線で落ち着いた味。この駅弁に入るとりそぼろは、小田原駅弁の名物である。2019年までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記JR東日本横浜支社の観光キャンペーン「伊豆・湯河原 温泉いっぱい 花いっぱいキャンペーン」に伴い、2016(平成28)年1月10日から3月31日まで、熱海駅や大船エリアや東京都内で販売された期間限定駅弁。熱海駅の駅弁とされるが、調製元は大船駅の駅弁屋である大船軒。松花堂の4区画に収めた今回の中身は、サフランライス、サクラ酢飯、玉子焼と蒲鉾とシラスとひじきとわさび漬カップ、アジフライとタイ味噌焼とマグロ和えとよもぎ団子だった。
2014(平成26)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、熱海駅の駅弁として実演販売。現地で売られたかどうかは、定かでない。四角く背の高い容器を収めるボール紙の枠に書かれるとおり、中身は炊込飯の上を、アワビの煮貝、キンメダイの塩焼き、サクラエビの塩煮で覆い、玉子焼、わさび漬け、大根つぼ漬、味付イクラを添える。
実演販売では、駅弁催事業者のスタッフが調製も販売も担当。食べた感じでは、たっぷりジューシーなサクラエビ、色濃くも臭みや変な固さのない都会的なアワビ、小田原駅弁でも味の良いキンメダイ焼などと、風味は良好。しかし悪かったのは、催事場での立地か、価格か内容か、客がまったく付いておらず気の毒だった。
2011(平成23)年2月5日に熱海駅で発売。調製元の所在地が小田原であるため、日本レストランエンタプライズ(NRE)の駅弁大会では小田原駅の駅弁とされた。プラスティック製の釜型容器に桜の花のマクロ写真を印刷したボール紙をかける。中身は茶飯の上にキンメダイの酢漬け、サクラエビ煮、とりそぼろ、タケノコ煮、レンコン煮、菜の花煮、桜でんぶ、錦糸卵、桜花型の麩などを載せるもの。春と桜をたくさん詰めているが、見栄えや味はちょっとくすみがち。東華軒の味であるとりそぼろが、中身では最もうまかった。おそらく春季限定。2013年以降は販売されていない模様。
河津桜は、1955(昭和30)年頃に静岡県賀茂郡河津町で発見され増やされた、サクラの品種。日本の桜の代名詞であるソメイヨシノに比べて、毎年2月にまるまる1か月咲き続ける早咲きと長咲きが特徴。河津町では1975(昭和50)年に町の木に指定し、1991年からは毎年2月上旬から3月上旬まで「河津桜まつり」を開催、これで毎年100万人から200万人もの観光客が訪れるようになった。1986年から2010年まで河津町長を務めた櫻井泰次氏は、国土交通省から「観光カリスマ」に選定されている。
※2014年7月補訂:終売を追記下記の駅弁「美味いっぱい」の2013(平成25)年版で、1月から3月までの販売か。2011年版の1,800円、2012年版の1,500円、そしてこれは1,050円と、価格が年々下がっている。今回の中身はサクラエビとシラスの御飯、キンメダイ幽庵焼、キクラゲ、かまぼこ、玉子焼、サトイモやシイタケなどの煮物、つぼ漬など。調製元は引き続き大船軒。掛紙では湯河原、熱海、伊東の各駅での販売と読めるが、こうやって小田原駅でも買えた。
掛紙には「成田エクスプレス」向けE259系電車の写真。2012年12月に東京駅と伊豆急下田駅を結ぶ臨時特急列車「マリンエクスプレス踊り子」で、伊豆方面にも進出してきた。これで、通常の踊り子号で使われる、国鉄時代の昭和50年代から走り続けるJR東日本で最古級の特急電車185系は、この車両で置き換えられるのだろうかと噂されるようになった。
JR東日本横浜支社の観光キャンペーン「伊豆・湯河原温泉いっぱい花いっぱいキャンペーン」の開催に合わせて、2011(平成23)年1月1日から3月31日まで一日30個が、小田原、湯河原、熱海の各駅で販売された期間限定駅弁。調製元は確かに大船駅弁の大船軒であるが、同社はもはや日本レストランエンタプライズ(NRE)の1ブランドであるようで、東華軒のエリアの駅弁売店もNRE化が完了しているため、こんな売り方ができるようになってしまった。
木製重箱柄の容器を二段重ねにして、おしながきを置いたうえで桃色な和紙風の風呂敷で包む。中身は下段がサクラエビの炊込飯、サトイモやタケノコなどの煮物、イチゴと抹茶プリン、上段がキンメダイ幽庵焼、海老しんじょう、有頭海老、玉子焼、厚く白いかまぼこ、しめアジ、牛肉しぐれ煮、菜の花の天ぷらなど。値段が高くないか、とか、これが幕の内弁当なのか、容器と包装が安っぽい、など突っ込みどころはあるけれど、記念駅弁、期間限定駅弁として、中身は好ましくふさわしく食べやすい印象。
2011(平成23)年の秋までに発売か。調製元は小田原の駅弁屋であるが、この駅弁はどちらかというと熱海駅の駅弁として紹介されることが多い。朱塗りな円形のプラスティック製容器に御飯を詰めて、キンメダイを角煮、マリネというか天ぷら、照焼、フレークというかおぼろの4種のスタイルで載せて、玉子焼、赤カブ漬、広島名漬などを添える。伊豆半島で人気の食材を使い、シンプルでも表情豊かなお味で、現在の熱海駅を代表する駅弁になったのではないかと思う。価格は2012年の購入時で900円、2014年時点で1,000円。2017年までの販売か。
※2021年2月補訂:終売を追記2022(令和4)年8月上旬に東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」で販売か。調製元や販売元の発表や広報がないので分からないが、どうもこの駅弁売店の10周年を記念した商品のようで、10年前のリニューアルオープン時に存在した駅弁「金目鯛の味くらべ」を復刻したものらしい。商品名と中身の写真でできたスリーブに「復刻版」と書いてある。
固くて丸いプラ容器に味付け御飯を詰め、キンメダイの煮付けと西京焼きと、みりん味と砂糖味で2種類のおぼろ、玉子焼、昆布佃煮、かまぼこで覆う。商品名と容器と「※レンジ使用不可」の表記を除き、以前と今回で差異がある、復刻版というよりは類似品の新商品という感じ。
主に東海道本線の上り東京方面の列車が発着する、熱海駅の4・5番ホーム上で、駅弁とともに売られたホットドッグ。細長いロールパンにソーセージ1本を挟んで袋に詰めただけの、何のひねりもない安物のホットドッグ。駅構内でこういう商品が作られていることは珍しいと思い、購入してみた。屋台で買うタイプと同じく、アツアツの状態で手渡され、ケチャップかマスタードは好みでかける。熱海駅の駅弁屋でもある東華軒の社史には、1950(昭和25)年4月1日にホットドッグの販売を開始したとあるが、それ以来の歴史がある品物には見えない。現在は売られていない模様。
※2017年4月補訂:終売を追記2006(平成18)年4月28日に発売。小さな長方形の赤い黒塗り容器に、食品表示ラベルの貼付に対応したデザインの駅弁大会映えするボール紙のふたをして、ゴムで留める。中身は菜飯の上にさっぱりタイプの鶏胸肉塩焼と、しっとりタイプの鶏もも肉照焼の鶏板2種を貼り、鶏皮しぐれ煮も添えて椎茸、銀杏、山ごぼう、ししとうで彩る。
かなりユニークで味勝負の鶏飯。前月に訪問した小田原駅や熱海駅では実物も商品案内もなく、疑義駅弁かと思ったが、ネット上に現地での収穫報告があるため、単に私の運が悪かった模様。個人的に最近の小田原駅と熱海駅の駅弁は、催事場でしか買えなくなりつつある。2009年度以降は売られていない模様。
※2014年7月補訂:終売を追記熱海駅の開業80周年を記念して、2005(平成17)年3月に期間限定駅弁「熱海駅開業80周年記念弁当 花まつり」として発売、翌月から中身や名前を微妙に変えて売られ続ける駅弁。
正方形のプラ製の惣菜容器を二段重ねにして、インク式カラープリンタで刷った簡素な掛紙を巻く。中身は下段に色の濃い赤飯を一面に詰め、上段には高野豆腐などの煮物、タラの芽などの天ぷらと大根つぼ漬け、マグロ照焼と鶏照焼と切り干し大根、蒲鉾と玉子焼などを松花堂風に詰める。
内容は盛り沢山で、風味に問題はないのだが、掛紙の品質とか、容器の柔らかさとか、赤飯や蒲鉾の薄さとか、所々で醸し出される安っぽさが積み重なり、あるタイミングをもって物足りなさが前面に出てくる。そのあたりの完成度は、ここの駅弁屋の駅弁大会対応商品と比べて、なぜか対極にある。
2011年までの販売か。以後も熱海駅でなく小田原駅で、毎年8月23,24日の板橋地蔵尊大祭に合わせて売られたようだが、それも2013年で終わった模様。
※2021年2月補訂:終売を追記2004(平成16)年4月30日にテレビ東京系列で放送された番組「元祖!でぶや」で、石塚英彦・パパイヤ鈴木の両氏により企画製作されたお弁当。翌5月1日から熱海駅にて、ゴールデンウィーク期間中限定で毎日30個限定で発売され、好評のため大増産された模様。筆者は購入できず。5月9日からリニューアルを経て発売が再開されたそうで、写真のものと当初発売のものが同一かどうかは不明。
ふた付きお椀のプラ容器に番組ロゴの入った紙をかけてビニール袋に入れる。中身は白御飯の上に海苔を刻み、熱海の市中で名物を探索した結果だという、「金目」2個と「鮑」「つくね」「イタリアン」各1個の焼売やピリ辛大根を載せるもの。風味は深いものがあるが、見た目は段落ち。良い素材をよくぞこんな下品に見えるように調理したなというのが率直な感想。
熱海花の博覧会の開催に合わせて、2004(平成16)年3月頃に発売。木目印刷の美しい正方形の容器を重ね、和紙に桜を描いた掛紙をかけて金色の輪ゴムでしばる。中身は下段が桜花付白御飯に焼き魚と鶏そぼろと玉子焼、上段が煮物や紅白の蒲鉾に海老串に桜饅頭など。具の入るミニカップもほんのり桜色で、味が良い以上にそのコンセプトの明確さも風味を出す。現存しない模様。
「熱海花の博覧会」は、2004年3月18日から5月23日まで熱海港の空き地で開催される園芸展。同年4月8日から10月11日まで開催の「浜名湖花博」ことしずおか国際園芸博覧会「パシフィックフロ−ラ2004」のサテライト会場という位置付けという割には、その公式サイトで完全に無視されているのは気になる。
※2014年7月補訂:終売を追記2002(平成14)年の秋頃に発売された、熱海駅弁のような小田原駅弁。平塚から熱海までの東海道線沿線が販売範囲である。ボール紙のパッケージを開くと熱海芸妓がお出迎え、そのふたを開くと丸いプラスティック製容器が見える。中身はワカメ御飯の上に金目鯛西京焼・穴子蒲焼・鯵干物マリネ・あさり照焼・海老銀杏串などを載せている。
「熱海をどり」は、熱海温泉の芸妓踊り。年に一度芸を競うお披露目会が2002年は4月28,29日に開催されるほか、毎週土日曜の11時から熱海芸妓連歌舞練場で芸妓見番が開催されるそうで、その日時だけがパッケージに記される。
なお、公式サイト等の情報によると2005年7月1日から土休日限定販売に変わったとのこと。2008年頃までの販売か。
※2015年10月補訂:終売を追記1987(昭和62)年11月にJR東海の「新幹線グルメ」キャンペーンで誕生した駅弁。小判型の容器に、梅の花をデザインし胡麻や梅紫蘇をふりかけた白御飯に、海老フライや旬の野菜と煮物が添えられる。白御飯上には梅干し、おかずには青梅が入り、私が苦手な梅の香りがたっぷりの駅弁。これはいつまで販売されていたのだろうか。
なお、熱海駅は小田原駅弁の営業範囲なので、一部の熱海駅限定駅弁を除く駅弁は、小田原駅と共通である。
※2014年7月補訂:終売を追記