名古屋駅から特急列車「ひだ」で約2時間半。高山市は岐阜県の北部を占める、人口約8万人の天領。重要伝統的建造物群保存地区に選定された古い町並みで飛騨の小京都と呼ばれ、乗鞍や穂高などの山岳への玄関口でもあり、年に約400万人の観光客が訪れる。駅弁は駅の開業時からあり、現在は改札脇の待合室に専用売店がある。1934(昭和9)年10月25日開業、岐阜県高山市昭和町1丁目。
調製元の公式サイトによると1967(昭和42)年の発売。毎年4月14日と15日と10月9日と10日にのみ売られる駅弁。同日に岐阜県高山市内で開催される高山祭、4月の日枝神社の例祭「春の山王祭」と、10月の櫻山八幡宮の例祭「秋の八幡祭」のときにだけ作られる。昭和の国鉄時代は、年に4日間だけ売られる、全国で最も販売日数の少ない駅弁、幻の駅弁として知られた。
駅弁の容器には、高山祭の光景を印刷した、専用のボール紙箱を使う。高山祭の解説も記す、A4判のおしながきにも書かれる中身は、お祝いの赤飯に、桜鯛塩焼や厚焼玉子などの焼き物、エビやカボチャやこもとうふなどの煮物、サツマイモやタラの芽などの精進揚、肉じゃがとなた豆の花の小鉢、飛騨牛ローストビーフとゼンマイの強肴、紅色大根の香物。中身の見栄えも品数も豪華絢爛。割高感もまた、お祭りの駅弁。4月の春のまつりべんとうと、10月の秋のまつりべんとうでは、価格と容器は同じでも、中身が異なる模様。
この駅弁はかつて、高山祭の当日に駅へ行けば、予約を要せず楽に買えた。2010年代では2日間で500個程度を売ったという。2024年4月の販売から予約限定となり、現地に行っただけでは買えなくなった。
※2024年9月補訂:予約限定化を追記高山駅弁「まつりべんとう」の、2008(平成20)年の秋バージョン。下記の2003(平成15)年の購入以後に、年4日限定の駅弁が春と秋の年2回ずつに枝分かれしてしまい、ますます販売日が少ない駅弁となった。今回は2008年10月9・10日の2日間だけの販売。大きな長方形の容器に、日枝神社や祭り屋台などの華やかな絵柄を印刷したボール紙のふたをして、マジックカットで留める。
白いトレーに入る中身は、赤飯に紅ます照焼、厚焼き玉子、海老やカボチャやこもどうふなどの煮物、ごぼう精進揚、赤巻くずしという蒸し物、飛騨牛のローストビーフ、ゼンマイ煮、よもぎ大福など。1,800円分の中身かと言われれば、そうではないかもしれないが、お祭りの駅弁の華やかさは確実に備えている。風味にも間違いはない。A4判4つ折のしおりには駅弁の概要が過不足なく記される。
紙箱と白トレーの仕出し弁当容器に、折れや曲がりがまったくない版画絵の掛紙としおりを載せて輪ゴムで留める。中身は祭事らしく御飯は赤飯、おかずは高山の山菜と野菜と富山の海の幸が入るとのことで、飛騨特産のこもどうふ、富山のホタルイカ、鱒塩焼・煮物各種・野菜のつけ揚げ(精進揚げ)など。高い価格に見合う内容かどうかはやや疑問を感じたものの、お祭りな駅弁としては悪くない。現在は上記のものへリニューアルされている。
※2009年3月補訂:終売を追記