JR大糸線の信濃大町駅からバスで約40分。立山黒部アルペンルートの長野県側の玄関口で、バス停と大駐車場を備え、ここからトロリーバスに乗り、トンネルを抜けて黒部ダムへ行く。列車は来ないが、駅弁が売店で売られる。1964(昭和39)年8月1日開業、長野県大町市平。
扇沢で台売りされていた弁当のひとつ。2016年の訪問時、これと下記の「信州サーモン笹ずし」が売られ、掲示では他に「とろサーモン信州サーモン押し寿司」(1,100円)と、「扇沢駅の駅弁」なる「黒部の黒豚めし」(1,000円)があった。これらの押寿司そのものは、長野県大町エリアの鉄道駅や道の駅や観光売店などでも売られているらしい。
中身は信州サーモン押寿司2個、ワサビ飯のみ、梅御飯のみで4個の、四角く整えた具を笹の葉で巻く、方形の笹寿司。分量も味も味付けも、とても控えめだと感じた。
立山黒部アルペンルートの、長野県側の玄関口である扇沢は、ここで路線バスや観光バスとトロリーバスを乗り換える、大駐車場を備えるバスターミナル。このトロリーバスが、鉄道事業法に基づく無軌条電車であり、ここに車庫があるため、扇沢は法令上の停車場(駅)となる。現地の切符や案内看板にも、ちゃんと「扇沢駅」とある。
関西電力はこの路線について、2019年の営業シーズンから、電気で動く「関電トンネルトロリーバス」を、電池で動く「関電トンネル電気バス」へ更新した。その結果、適用される法律が鉄道事業法から道路運送法に変わり、扇沢は駅(停車場)からバス停(停留所)に変わった。となると、この駅弁はバス弁に変わったことになるのだろう。
※2024年9月補訂:路線の現況を追記扇沢で台売りされていた弁当のひとつ。信州サーモンの方形の笹寿司を6個、透明な袋に密封し、商品名と解説文を印刷したボール紙のパッケージに収める。山の向こうのマス寿司と同じように見えて、具の少なさと味の淡さで、まるで少しだけ風味付けされた白い酢飯を食べているような、信州というより北陸タイプの笹寿司。
立山黒部アルペンルートは、長野県の信濃大町駅ないし扇沢駅と、富山県の立山駅ないし電鉄富山駅を、路線バス、トロリーバス、ケーブルカー、ロープウェイなどで結ぶ観光ルート。長野県側の発電所資材運搬道路と富山県側の観光開発道路を使い、しかし一般車の乗り入れを閉め出している、自動車交通最優先の日本国内では非常に珍しい、公共交通機関のみで行く観光地。本来は本格的な装備により命懸けで訪れる黒部の山奥を、普段着の身軽な姿で楽しむことができる。
沿線は世界有数の豪雪地帯であり、営業期間は春から秋までの半年ほど。その間に百万人近い観光客が訪れるとあって、あらゆる乗り物に長い待ち行列ができる。特に春のゴールデンウィークと秋の紅葉シーズンには、駅ごとに何時間も待たされたうえで満員の乗り物に詰め込まれる、別の意味で苦難の山越えとなる。そんな待ち客に対して扇沢駅の販売員は、制服姿で笑いを取りながら弁当を台売りする。この姿が扇沢駅の名物駅員として、ネット上やテレビのバラエティ番組で紹介されている。
関西電力はこの路線について、2019年の営業シーズンから、電気で動く「関電トンネルトロリーバス」を、電池で動く「関電トンネル電気バス」へ更新した。その結果、適用される法律が鉄道事業法から道路運送法に変わり、扇沢は駅(停車場)からバス停(停留所)に変わった。となると、この駅弁はバス弁に変わったことになるのだろう。
※2024年9月補訂:路線の現況を追記