東京駅から新幹線で3駅35分。小田原市は神奈川県の南西部で相模湾に面する人口約19万人の城下町かつ宿場町。関東地方の西の出入口として、戦国時代や江戸時代に歴史の舞台となった。駅弁は明治時代に国府津駅で創業した、東海道本線では最古の駅弁屋が健在だが、実態はJRや小田急の子会社が近隣のものを含めた駅弁を集めて売る。1920(大正9)年10月21日開業、神奈川県小田原市栄町1丁目。
東京駅から普通列車で約90分。東海道本線が御殿場線を分ける駅。明治時代は山越えの機関車が集まる鉄道の要衝で、東海道本線で初めて駅弁が売られた駅とされる。現在は駅では駅弁が買えないが、駅前に国府津で創業し小田原駅の駅弁屋となった調製元の直営売店があり、小田原駅と同じ駅弁が買える。1887(明治20)年7月11日開業、 神奈川県小田原市国府津四丁目。
2024(令和6)年3月21日に小田原駅などで発売。長方形のプラ容器の3区画は、「鶏の炭火焼き」と茶飯と大根つぼ漬、「秘伝のあま味鶏そぼろごはん鶏つくね串添え」に炒り卵とにんじん、「国産鶏西京焼の海苔弁」に竹輪磯辺揚げ。鶏肉のミニ丼の詰合せ。鶏でくどそうな見た目に違い、味が立たずおとなしいので、黙々といただける。真ん中のとりそぼろで、小田原駅の駅弁だとわかる。
2023(令和5)年9月16日に小田原駅や東京駅などで発売。調製元が小田原駅の駅弁屋なので、小田原駅弁のページに収蔵したが、おそらく東京駅など首都圏の各地で売る商品に見える。スリーブには1981年の特急踊り子号誕生から2021年まで使われた185系電車と、2020年の特急サフィール踊り子号誕生とともにあるE261系電車の写真が並ぶ。だからこの駅弁の名前は、川端康成の文学作品「伊豆の踊子」でなく、特急列車の「踊り子」にちなむものだろう。
小柄な正方形の容器に、焼き鯵の味ご飯を詰め、金目鯛の照焼、 小田原龍清のかまぼこ、玉子焼を載せ、えび春巻、蛸の煮付、わさび漬を添える。海が豊かな内容が、今までの小田原駅弁の味の詰合せがおいしくも、ずいぶん高価な駅弁になってしまったと思う。割りばしで食べにくい内容ではないが、スプーンも同封されていた。
2023(令和5)年9月8日に小田原駅や東京駅などで発売。調製元が小田原駅の駅弁屋なので、小田原駅弁のページに収蔵したが、おそらく東京駅など首都圏の各地で売る商品に見え、実際に10月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2023」にエントリー。小田原や神奈川県西部でなく、どちらかというと横浜の現地より百貨店などでの催事やネット通販で目立つと思う、横浜中華街の王府井(わんふーちん)と、小田原駅弁の東華軒(とうかけん)とのコラボ駅弁だといい、商品のスリーブにもそう書いてある。「黒と白の」で色彩もそうなり、パンダのコックも描かれる。
長方形のプラ容器の中身は3区画で、牛肉パラパラ黒炒飯、エビチリと黒酢の揚げ焼売と山菜ビビンバ、豚肉ふわふわ白炒飯。世にあまり見かけない、横浜中華街では王府井より福満園(ふくまんえん)の名を思い浮かべる黒炒飯と、白炒飯と呼ぶことはあまりないと思う、細かく刻んだ具材と卵と飯を炒める一般的な炒飯が、ひとつのお弁当でガチンコ対決。炒飯の弁当にしては高価に思えても、中華と炒飯の風味を楽しめた。
2022(令和4)年7月16日に小田原駅や熱海駅などで発売。長方形の容器に白飯を詰め、刻み海苔をかけ、やまゆりポークの味噌漬け焼きを貼り、白ごまを振り、はじかみで彩り、ゆずこしょう、ゆず大根漬、みぶ菜とわさびの醤油漬を添える。千円を超える値段を感じさせない、普通の感じの豚丼弁当。ゆずこしょうでの「味変」がねらい。価格は2022年の発売時や購入時で1,280円、2023年時点で1,300円。
※2023年11月補訂:値上げを追記2009(平成21)年の秋に熱海駅で発売。焼き物の釜飯駅弁向け容器にプラ製のふたをして、商品名を描いたボール紙で覆い、輪ゴムで留める。中身は茶飯を鶏肉、ぶなしめじ、えのき、しいたけ、うずら卵、くり、たけのこ、にんじん、こんにゃく、わさび味噌で覆うもの。つまり鶏肉の釜飯だから、偉大な横川駅弁「峠の釜めし」の類似品に思え、駅弁の名前も実はこれに天城を冠したものになっている。さすがに取り違えることはないと思うが、天城だから山葵なのか、自家製わさび味噌入であることを明記し、これが特徴だろう。容器は駅売りだとプラ製になる模様。価格は2010年時点で900円、2014年時点で950円、2016年時点で980円、2022年時点で990円、2023年時点で1,100円。
※2023年8月補訂:値上げを追記2009(平成21)年7月の発売か。日の丸俵飯に「シュウマイ」を7個、とりそぼろ、玉子焼、タケノコ煮、昆布などの佃煮、大根つぼ漬を詰める。経木折ではないが平たく四角い容器に、これに掛紙をかけてひもで十字にしばる姿も、横浜と日本を代表する駅弁「シウマイ弁当」に、そっくりだと見られて仕方がない。しかし小田原駅弁のシュウマイも昭和時代からの歴史があるものであり、おかずの内容も差異があるし、別物に作られていると思う。御飯を含め、ゆるくて安っぽい味だとも思う。価格は2010年時点で780円、2014年時点で820円、2018年時点で950円、2021年時点で980円、2023年6月から1,050円。
※2024年3月補訂:写真を更新2021(令和3)年1月24日に購入した、小田原駅弁の掛紙。上記の2024年のものと、スキャナのせいで色合いが異なるように見えるが、まったく同じ。調製年月日のラベルの色が違うだけ。駅弁大会に出てくると、横浜駅弁と間違えて買ってしまった、パクリではないかと言われてしまう、悲しい存在。
2019(令和元)年7月の発売。パッケージの写真のとおり、中身は焼き魚弁当で、茶飯にあぶらぼうず味噌ゆう庵焼を載せ、梅干しと佃煮と菜の醤油漬を添え、ひじき煮と大根塩漬を添付する。小田原のソウルフードだとスリーブで紹介されるあぶらぼうずが、その説明文のとおり豊かに脂が乗り、良いおかずになっていた。価格は2019年の発売時や購入時で1,300円、2023年6月から1,350円。
2017(平成29)年9月の発売か。従前の「その名も鶏丼」のリニューアルか。正方形の容器に茶飯を敷き、小田原駅弁名物のとりそぼろ、錦糸卵、鶏の生姜焼で覆い、シイタケ、レンコン、ニンジン、ワラビ、大根漬物を添える。小田原駅弁の東華軒らしい味。価格は2017年の発売時や購入時で890円、2022年1月15日から950円。
※2022年3月補訂:値上げを追記2020(令和2)年までには発売か。小田原駅の駅弁屋がつくるミニ駅弁シリーズに共通の容器と価格を持つ。丸いプラ容器に茶飯を敷き、とりそぼろ、鶏生姜焼、高菜炒め、錦糸卵、れんこん、大根つぼ漬で覆う。同じ名前の駅弁「その名も鶏めし」のミニサイズとして、中身はだいたい同じ感じ。透明なふたを留めるスリーブに「駅弁」とあり、駅弁マークも付いているが、駅の駅弁売店では見たことがない。価格は2022年の購入時で480円、2023年6月から498円、8月で終売。
※2023年8月補訂:値上げと終売を追記2021(令和3)年9月1日の新発売。真ん丸の容器に茶飯を詰め、キンメダイ照焼、アジ塩焼き、タイおぼろ、曽我の梅水晶なるサメの軟骨和え、豚しぐれ煮、タケノコや錦糸卵や煮物やじゃこやなどで覆う。駅弁大会シーズンに向けた、催事で売りたい新商品だとは思うが、小田原駅で長く親しまれる「鯛めし」「こゆるぎ茶めし」「おたのしみ弁当」その他定評ある駅弁の中身を大ぶりに詰め合わせたものだから、うまさと華やかさに加えて、まるで昭和時代からありそうな安心感があり、弁当としての食事に向くと思う。2022年5月限りで終売。
小田原は城下町だと思うし、観光ガイドにもそう書いてあるし、小田原に行けばまず城を感じる。しかし確かに東海道の宿場町であり、江戸時代には本陣と脇本陣を各4軒も抱えた東海道五十三次で最大の宿場町であり、9世紀の富士山の大噴火で東海道が足柄から箱根に切り替わった頃からの宿場町かもしれない。そう思い現在の国道1号を走ると、小田原市内で左に右にクランクさせられ、今もその町割りを残すことがうかがえる。2020年の小田原駅東口お城通り地区再開発事業では、14階建てのホテル棟の前面全面を4階建ての木造商業棟が遮り、宿場町の景観を再現した。
※2022年6月補訂:終売を追記2020(令和2)年9月までに発売か。陶製の釜飯駅弁向け容器に、茶飯を詰め、焼鮭、アジ酢漬2切れ、ベビーホタテ2個、鶏照焼、くり、うずら卵、煮物などで覆うもの。プラ製のふたを容器に固定するボール紙の枠には富士山を描き、11種類もの山の幸や海の幸を詰め込んだというが、内容に富士や小田原や神奈川が含まれるわけではなさそうで、どこの駅でも名乗れそうな、釜飯タイプの駅弁。今回は現地でなくスーパーの駅弁大会で購入したら、衛生管理上の問題か、不思議とほのかな塩素臭が気になった。2022年5月限りで終売。
※2022年6月補訂:終売を追記2020(令和2)年9月1日の発売。翌月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2020」にエントリー。掛紙に日本列島と富士山と切符と駅員を配したのは、駅弁の名前を印象付けようとしたものだろうか。
中身は掛紙にある写真のとおり、松花堂弁当風に4分割した正八角形の容器に、サクラエビや広島菜で彩る茶飯、太巻きとしそ巻きとワサビ漬、シイタケやコンニャクなどの煮物、エビの天ぷらと巻き揚げ串にアサリ佃煮。いろんなものが入っているが、どうも掛紙も中身も、見栄えがなんだか野暮ったい。おつまみを意識したとされるわりには、御飯が半分を占めて多いものになっている。2022年5月限りで終売。
※2022年6月補訂:終売を追記2019(令和元)年9月の発売か。同月に静岡県熱海市内で開催されたテーブルトーク・ロールプレイングゲームの泊まり込みイベント「TRPGフェス2019」で提供されたり、東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」で開催された「秋の新作駅弁フェア」で販売された。発売はこの秋からの駅弁大会シーズンに向けて、翌年開催の東京五輪にちなんだのかどうか。
小田原駅弁「こゆるぎ茶めし」と同じ構造を持つ容器の中身は、カレー風味の洋風炊き込みご飯を、キンメダイのパセリバターオイル焼き、有頭海老、チキン、オリーブなどで覆うもの。洋風キンメダイ丼という、駅弁として、そしておそらく市販の弁当としても、類例のない創作だと思う。中身の写真を掲載するスリーブに、「樽に見立てた器に金目鯛を盛り込んだ「金目樽(キンメダル)」のお弁当です。」という解説を記したり、商品名のうち「金メ」を赤文字で記す、キンメダイが主役の駅弁。2021年8月限りで終売。
※2022年4月補訂:終売を追記2018(平成30)年6月に発売。駅弁の名前のとおりの、牛丼と豚丼と鶏丼の詰合せ。長方形の容器に仕込まれた3つのくぼみのすべてに白飯を詰め、牛しぐれ煮、豚塩だれ焼きと大根漬、鶏の生姜焼きととりそぼろと錦糸卵で覆う。見栄えはそれほどでもないが、味は上等。そういえば山形駅の駅弁に同じようなものがあった。2022年5月限りで終売。
※2022年6月補訂:終売を追記2017(平成29)年の発売か。小田急電鉄の孫会社の「さがみ庵」ブランドの弁当で、小田原駅に限らず、小田急電鉄の駅売店「Odakyu OX」各店で売られる模様。長方形の容器に透明なふたをして、商品名に神奈川県と豚のシルエットをデザインしたスリーブに収める。白御飯を9切れの豚バラ焼で覆い、玉子焼と小松菜と金時豆を添える。水気の少なさも常温の味も、JRの公式な駅弁屋の駅弁と同じような感じ。豚は薄くて柔らかく、タレの味が出て臭みのない、今風の豚丼。2019年までの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2017(平成29)年秋の発売か。全国各地の駅弁屋が同じような見栄えと容器と価格で出してきた、4種の駅弁のセット商品の小田原駅版について、従前の下記「伝統」と「誉」を統合し「伝承」とした。価格も足して2で割った1,300円。
ボール紙のふたに書かれるとおり、「相模デラックスこゆるぎ弁当」「小鯵押寿司」「鯛めし」「金目鯛西京焼弁当(おかず)」のセットであり、茶飯に炒り卵ととりそぼろと蒲鉾、小鯵押寿司、茶飯とおぼろと梅干し、キンメダイとひじき煮とシイタケ、ニンジン、レンコンの煮物を詰める。つまり、「伝統」から2種、「誉」から1種(こゆるぎ)を引き継ぎ、金目鯛西京焼弁当を加えたものになっていた。半年間ほどの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2017(平成29)年8月24日に発売とのこと。小田原駅で定番の駅弁「こゆるぎ茶めし」と同じ丸いボール紙の容器に、茶飯を詰め、焼アジほぐし、サクラエビ釜揚、錦糸卵、みぶ菜ワサビ和え、キンメダイ煮ほぐし、じゃこ釜揚、サーモンのたたき、ワカメで覆い、真ん中に半熟卵風製品を据える。たしかに駅弁の名前のとおり、賑やかで具だくさんな印象で、おかずが茶飯の味と合い、食べてうまく、昭和時代のこゆるぎ茶めしより良い感じだった。2021年8月限りで終売。
※2022年4月補訂:終売を追記経緯は不明だが2016(平成28)年に、全国各地の駅弁屋が同じような見栄えと容器と価格で出してきた、4種の駅弁のセット商品の小田原駅版。小田原では「伝統」と「誉」の2種類が出現した。ボール紙のふたに書かれるとおり、「小鯵押寿司」「天城峠の釜飯(おかず)」「鯛めし」「足柄峠の釜飯」のセットであり、小鯵押寿司、茶飯と豚肉味噌漬焼、茶飯とおぼろ、茶飯に鶏肉やシイタケなどの煮物を詰める。それぞれたしかに、中身の特徴をつかんでいると思った。「伝承」の発売で2017年に終売か。
※2018年6月補訂:終売を追記経緯は不明だが2016(平成28)年に、全国各地の駅弁屋が同じような見栄えと容器と価格で出してきた、4種の駅弁のセット商品の小田原駅版。小田原では「伝統」と「誉」の2種類が出現した。ボール紙のふたに書かれるとおり、「味わい牛肉御膳」「金目鯛の味くらべ(おかず)」「桜海老とじゃこの海物語」「デラックスこゆるぎ弁当」のセットであり、茶飯に牛肉の醤油糀煮、キンメダイの照焼と角煮、茶飯にサクラエビとジャコ、茶飯に炒り卵ととりそぼろを詰める。それぞれたしかに、中身の特徴をつかんでいると思った。「伝承」の発売で2017年に終売か。
※2018年6月補訂:終売を追記2016(平成28)年9月1日の発売は、同年10月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2016」のエントリーに向けたものか。同キャンペーンでは、静岡県の熱海駅の駅弁としているが、小田原駅と熱海駅で売られる駅弁は同じである。
中身はパッケージの写真のとおり、長方形の加熱機能付き容器に茶飯を敷いて、豚バラ肉を並べ、煮玉子と漬物を添えるもの。添付のごま油を加え、油と脂と香りで、これは実にラーメンの味。「ラーメン丼」と改称するか、いっそのこと飯を麺に替えれば、東京で買える奇抜な駅弁として、まずはネットを賑わすのではと思った。2017年前半頃までの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2011(平成23)年か、それ以前の発売か。細長い容器に、しめさば、サーモン、アナゴの押寿司が2切れずつ収まる。それぞれの単品の商品も併売されていた。見た目でてっきり、かつてはNREが、今は大船軒が調製する東京エリアの駅弁かと思ったら、調製元に小田急食品とある。小田急電鉄の100%子会社である小田急商事の100%子会社。スーパーとデパ地下の間、駅弁の位置にある味と分量と価格を持つ感じ。
この姿での販売は、2015年頃までか。どうもこの「さがみ彩寿司」は、スーパーマーケットチェーン「ODAKYU OX」で販売する、酢飯を使う惣菜の総称であり、稲荷寿司でもちらし寿司でも同じ名前を使う模様。
※2020年12月補訂:現況を追記2014(平成26)年秋の発売か。茶飯を醤油糀でつけ込んだという牛肉煮で覆い、煮物と漬物を添える。「御膳」を名乗るが、このとおり実態は「丼」。パッケージの表と裏で電子レンジの使用を推奨する催事向けの商品でもあり、良い意味で印象に残らない無難な味を持つ、ブランドや激ウマを争いがちな牛肉駅弁の世界では珍しくなったかもしれない、食事向けな牛肉弁当でもある。1年間ほど、あるいは2017年頃までの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記イカ飯のスライスと、玉子焼と、ニンジンや高野豆腐などの煮物を、浅く小さな箱に詰める。ただのお惣菜に見えて、中身は確かなオリジナルだと思うし、駅弁も多く扱う弁当売店で売られるので、これもきっと小田原駅弁。現存しないと思われる。
※2020年12月補訂:終売を追記2011(平成23)年5月31日に発売。丸く黒いプラ製の容器を、商品名を派手に書いたボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上にかまぼこのそぼろと錦糸卵を敷き、アジの蒲焼きを2切れ載せ、梅干し、焼きネギ、ししとう、千枚漬を添えるもの。
小田原駅弁の最近の新作は、なぜこうも劣化したのだろうか。まともなのは容器と包装のデザインだけで、やっつけ仕事の中身は見栄えでも味でも良いところなし。国産米100%使用とうたう米も、食感はまるでそばの実のよう。駅弁の悪口を書いても仕方がないが、これはちょっとひどすぎる。数か月で消えた模様。
※2014年7月補訂:終売を追記2010(平成22)年8月26日の発売。固いプラ製の真っ黒な円形の容器を、商品名と宣伝文を描いた黒いボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上をアジ干物のフレーク、キンメダイ醤油和えのぶつ切り、サクラエビと青のりの素揚げ、炒り卵で覆い、梅干しと柚子と広島菜漬を置くもの。漁師のまかない飯だという内容は駅弁の名前どおりで、駅で買えるのならば定番品に負けないおいしい食事にできそう。価格は2010年の発売時や購入時で840円、2014年時点で880円。2014年までの販売か。
※2016年10月補訂:終売を追記2010(平成22)年と翌年の、あじさいシーズンにのみ販売か。かつて小田原駅弁「小田原城主 姫」に使われた正六角形の容器を使用、中身は桜でんぶを振ったおいなりさん、広島菜やシソの巻寿司、オムレツ、アジフライ、レンコンやシイタケなどの煮物、ミニトマト。分量はとても少ないけれども、彩りの美しい小箱。
2009(平成21)年の発売か。木目柄で正方形の容器に商品名を書いた掛紙を巻く。中身は大きな梅干しが載るだし味の御飯に、野菜の煮物、煮玉子、桜花漬け入り稲荷寿司、えび天、鶏揚げつくね、梅みそなど。駅弁の名前では世にも珍しいおでんの弁当に聞こえるが、中身でおでんっぽいものは飯の味付けと糸こんにゃくくらいで、野菜煮物や稲荷寿司やロールキャベツや菜の花など、常温でも味が生きている大粒で印象の良い駅弁だった。価格は2010年の購入時で1,000円、2014年4月の消費税率改定で1,030円。2015年頃までの販売か。
小田原おでんとは、21世紀が始まる頃に売り出し始めた町おこしフード。2010年現在で小田原駅の中と前を中心とした食堂5軒と売店5軒が「小田原おでん会」を構成しているに過ぎないが、蒲鉾で二百年の歴史を持つなど小田原と魚の練り物との結び付きは古く、全国各地の町おこしフードにありがちな浮き足立った違和感はここにはない。
※2020年12月補訂:終売を追記2009(平成21)年6月に発売か。ボール紙でできた木目柄の円形の容器を、駅弁の名前や中身の写真を印刷したボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上を牛そぼろ、シメジやエノキなどの炒め煮、シメジのかき揚げ、レンコン煮などで覆い、はじかみと煮卵と大根辛味漬を添えるもの。
パッケージのデザインは催事の臭いが強く感じられ、円形の容器は簡素が過ぎてボール紙がほぐれてしまっていた。茶色く染まる内容も、油が利いた強めの味付けも、ホカ弁やコンビニ弁当に親しむ方々に向けた駅弁であると思う。なお、2010年3月27日に熱海駅でも同じものを買えた。2012年中に終売か。
※2014年7月補訂:終売を追記2008(平成20)年夏の発売。プラ製の細長い惣菜容器を、中身の写真と江ノ島を印刷したボール紙の枠にはめる。中身はホタテ混じりのサフランライスを詰めたイカをスライスしてジェノバソースとチリソースをそっとかけたものが丸ごと1本、これにアンズを添えるもの。この創作料理はなかなかうまく、風味食感とも申し分なし。しかし売り方に都会の洗練さが欲しく、小田原駅と駅弁催事だけで、しかもこのデザインのパッケージで売るのはもったいない。2009年中になくなった模様。
※2014年7月補訂:終売を追記2005(平成17)年までに発売か。竹皮を模したボール紙の容器に、商品名の一部を記した茶色の掛紙を巻く。中身は餅米を混ぜておこわのようになった牛肉五目飯に、鶏唐揚、玉子焼、あさり煮、しば漬ひょうたんなどを添えるもの。この値段なのに味も腹持ちもいい線いっているため、安いのに良かったという感想がブログに散見される。2014年頃までの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記JR東日本の旅行商品「びゅう」向け専用弁当「駅行く弁」のひとつ。往復JR線利用と宿泊が付いたフリープランを利用すると、小田原駅か熱海駅でもらえるが、駅弁売店等で購入することはできない。今回はJR横浜支社が管内の駅弁屋4社を集めて2008年1月26日と27日に横浜駅西口で実施したイベント「どんどん食べて!!記念・限定駅弁フェア」で販売されたため、定価が付けられた。現存しない模様。
小柄でやや簡素な長方形の容器に透明なふたをして、まきすと掛紙を巻いてゴムでしばる。中身は五目酢飯の上を玉子そぼろ、金目鯛、鯵、桜海老で覆い、薩摩芋天や竹輪天に椎茸とひじきを添えるもの。三桁の価格で「スペシャル」は難しいはずが、見栄えや風味は掛紙のデザインも含めてしっかりしている印象。この調製元が下記のひどい特別弁当も作ってしまうのが不思議なところ。
※2014年7月補訂:終売を追記1980年代の国鉄末期の駅弁紹介本では必ず紹介されていた駅弁と同じ名前を持つ商品が、JR横浜支社が管内の駅弁屋4社を集めて2008(平成20)年1月26日から27日に横浜駅西口で実施したイベント「どんどん食べて!!記念・限定駅弁フェア」にて新作として出現。小さく細長い、そして柄があでやかなボール紙の箱に、商品名をインクジェットプリンタで書いた紙帯を締める。
中身は太巻き2個、金目鯛あぶり寿司2個、カボチャなどの煮物、玉子焼、金目鯛煮付け、ちくわ、細いエビフライ1本、くるみなど。内容にごくわずかの地域性を帯びているが、なんで1,200円という価格を付けるのかと思う、少量と少々のチープ感。どこかで偶然に外国人かお年寄りの絶賛を浴びない限り、知名度や紹介例を獲得するのは難しいと思う。今回の販売は、長くは続かなかった模様。
※2014年7月補訂:終売を追記昔から普通にありそうな赤飯駅弁に見えて、実は2003(平成15)年3月の小田原駅新駅舎完成を記念して発売した新作。正八角形の容器に、朱系の掛紙をかけて、紅白の紙ひもでしばる。中身は半分が赤飯、半分は煮物や鶏唐揚やカジキマグロなどの幕の内駅弁。伊達巻と薩摩芋紫蘇巻が入るだけで、ぐっとお目出度く思える。もっともその味は、比較的プレーンな赤飯と比較しなくても妙に甘かったり辛かったり。他の小田原駅弁ではそんなことがないので、外れのロットを引いたのだろうか。現存しない模様。
小田原市の肝いりで2003年3月30日に供用が開始されたのは、小田原駅新駅舎でなく「小田原駅東西自由通路」。つまり新駅舎について駅施設は従であり、駅の表口と裏口を入場券不要で結ぶ歩道が主という位置付けである。1996年12月完成の小田急線秦野駅舎とそっくりだとか、あの形は小田原の蒲鉾を表現したものだとか、あっさり解体された山小屋風旧駅舎を惜しむ声や惜しまない声、工事着手に前後して地下街が倒産しデパートが撤退した駅前空洞化など、事業中は変な声がいろいろ聞こえてきたものの、出来てみればなかなか良いもので、これで駅に来たときに熱海駅と混同しなくて済みそう。鉄骨フレームの大空間を見ると、日本は高温多湿で地震や台風が来るから駅に欧米風の大屋根を設けるのは技術的に無理だという定説は、どこに行ったのかと思う。
※2014年7月補訂:終売を追記1999(平成11)年12月の発売。小田原駅の駅弁屋がおくる、平野寿将氏プロデュース駅弁の第1弾。竹皮を編んだ容器を使う。中身は炊き込み御飯の上に「寿将風変わり豆腐」が載り、玉子や里芋などの煮物と「太刀魚遠山揚」がおかず。幕の内のジャンルに入れるには御飯の食を進めるおかずがない気がするが、御飯を含めそれぞれの食材の味も香りも食感も良いので、個別にどんどんいただける。
有名な和食の料理人が、誰もが懐かしい味をコンセプトに開発したという。小田原のおばあちゃんはこんなに手の込んだ弁当を作るのかと考えてはいけないようだ。この駅弁の好調により「あじの干物めし」(780円)「あなごのひつまぶし」(880円)「じゃこめし」(680円)とシリーズ化された新作をリリース、この頃にはこれと「じゃこめし」が残っていた。公式サイト等の情報によると2005年6月30日限りで販売終了とのこと。
※2005年7月補訂:販売終了を追記2002(平成14)年4月の発売。JR東日本エリアの低農薬高価格高年齢向け駅弁「大人の休日」シリーズの小田原駅版。正方形の肉厚な容器を二段重ねて、掛紙で巻いて金色のゴムでしばる。中身は下段がちらしずしで秋田県産の酢飯の上に鯵や海老や蒲鉾等をちらし、上段はおかずとして多種少量の煮物と鰆柚焼にエリンギや鶏照焼、そして小田原名産の蒲鉾や梅干を入れる。デザートも小田原銘菓というのし梅・白梅。数年間は販売された模様。
小田原駅は現在、鋭意改築中、その間に駅前デパートは撤退し地下街は倒産し、中心市街地の空洞化が進行中。ここでもやっぱり、行政のハコモノ支援で解決を見ようという政治運動が付いてきて、他都市と同様に一般市民からそっぽを向かれている。新幹線・在来線・小田急線・箱根登山線・大雄山線が集まるターミナル駅の好立地を殺しているのは残念でならない。
※2014年7月補訂:終売を追記1999(平成11)年1月31日8時の調製と思われる、昔の小田原駅弁の包装紙。小田原駅の名物駅弁「小鯵押寿司」の、サバ版ではないかと思う。包装紙の絵柄もそうなっている。
第二次大戦前のものと思われる、昔の国府津駅弁の掛紙。収集者は1932(昭和7)年のものとみなしていた。熱海線が熱海駅に達していた、1925(大正14)年3月から1934(昭和9)年11月までのものか。汽車は丹那トンネルが開通するまでは、国府津駅〜沼津駅で峠越えをしていたので、その頃のここに力餅があっておかしくなかったか。調製元は小田原で現存する駅弁屋。