東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJRの子会社が調製するもので100種類以上とも、エキナカの商品を含めて400種類以上とも、デパ地下の弁当を含めて1000種類以上ともいわれる、世界一の駅弁販売駅。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2023(令和5)年6月1日にJR東日本クロスステーションが、東京、上野、蒲田、大宮の各駅の売店「HANAGATAYA」で発売した、特急列車ヘッドマークシリーズの第17弾。前年7月の「やまびこ」以来、10か月半ぶりの新作。今回は価格を170円上げ、スケーター株式会社のプラ容器「4点ロックランチボックス」を引き続き使い、2008年3月まで東京駅と大阪駅などを結んだ寝台急行列車「銀河」のテールマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は「沿線の名物をイメージした献立を彩り豊かに盛り込みました。」といい、東京の深川風あさり煮、愛知の名古屋名物味噌かつ、京都のきつねご飯と京風焼き湯葉の煮物、大阪のたこ焼き風たこ団子など。神戸で駅弁になった油揚げ御飯の、いなりずしとはひと味違う柔らかな口当たりと水気の豊かさが印象的。調製元は神戸駅弁の淡路屋で、しかし神戸でなく東京都足立区に設けた東京工場での調製。7月には終売か。
急行列車「銀河」は、第二次大戦後の1949(昭和24)年9月に、東京駅と神戸駅を結ぶ夜行列車として誕生。当時は1往復ごとに異なる列車名を付けることが多く、1960年代には東京駅と関西や以遠を結ぶ夜行列車が10分間隔で走るようになり、1964年10月に東海道新幹線が開通してからはその数を減らしていく。この絵入りテールマークが使われ始めた1980年7月の時点で、東京駅と大阪駅を結ぶ一日1往復の寝台急行列車になっており、当時の姿が今回の駅弁に写真で付いてきた。
1987年4月の国鉄分割民営化で、今回の駅弁のスリーブに許諾や承認で列記されたJR3社にまたがる列車となる。以後は航空や新幹線の最終便より遅く東京や大阪を発ち、始発便より早く着く利便性の他に何の進化も変化もなく、新幹線の高速化や夜行バスの隆盛で客が離れ、あるいは夜行列車や客車列車を廃止するためにJR各社が客離れを促し、しかし以後20年も命脈を保ち、2008年3月のダイヤ改正で廃止された。当時も現在も、関東と関西の夜行移動は盛んなはずが、鉄道では絶対に運びたくないという力が働き続けているように見える。
2023(令和5)年2月16日に、スリーブと中身と値段が同じ「あけぼの」「ゆうづる」「はくつる」「鳥海」の4種類が突然に登場。販売元のJR東日本クロスステーションのツイッターは「鉄道開業150周年の最後を飾り、2月16日(木)数量限定発売」としたが、告知も時期も弁当の現物も、やっつけ仕事か突貫作業を感じる。東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」「駅弁屋 踊」に加えて、大宮駅「駅弁屋旨囲門」と鉄道博物館でも販売したそうな。
これは「はくつる」で、かつて上野駅と青森駅を東北本線経由で結んだ寝台特急列車「はくつる」のヘッドマークが、丸いプラ容器に描かれる。この容器に直でなくプラ製カップに茶飯を詰め、鶏つくね、鶏照焼、玉子焼、かまぼこ、きんぴらごぼう、くり、タケノコ、しいたけ、れんこん、にんじん、紅生姜を折り重ねる。この内容にも、味わいを見いだせなかった。3月末までの販売か。
2023(令和5)年2月16日に、スリーブと中身と値段が同じ「あけぼの」「ゆうづる」「はくつる」「鳥海」の4種類が突然に登場。これは「あけぼの」で、かつて上野駅と青森駅を奥羽本線のち羽越本線経由で結んだ寝台特急列車「あけぼの」のヘッドマークが、丸いプラ容器に描かれる。それ以外は上記の「はくつる」と同じ。売り場では4種類が山盛りで客を待っていた。
2023(令和5)年2月16日に、スリーブと中身と値段が同じ「あけぼの」「ゆうづる」「はくつる」「鳥海」の4種類が突然に登場。これは「ゆうづる」で、かつて上野駅と青森駅を常磐線経由で結んだ寝台特急列車「ゆうづる」のヘッドマークが、丸いプラ容器に描かれる。それ以外は上記の「はくつる」と同じ。中身が同じでは芸がない、というのは、4種全部を買いたがるマニアの戯言。
2023(令和5)年2月16日に、スリーブと中身と値段が同じ「あけぼの」「ゆうづる」「はくつる」「鳥海」の4種類が突然に登場。これは「鳥海」で、かつて上野駅と青森駅を羽越本線経由で結んだ寝台特急列車「鳥海」のヘッドマークが、丸いプラ容器に描かれる。それ以外は上記の「はくつる」と同じ。「鳥海」がブルートレインや寝台列車だったか、と思われるのは正しく、これがブルトレだったのは1990年9月から1997年3月まで。昭和50年代のブルートレインブームの当時は昼間の急行や特急だった。
2022(令和4)年7月15日にJR東日本クロスステーションが、東京、上野、蒲田、大宮の各駅の弁当売店「HANAGATAYA」などで発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第16弾。今回は容器と値段を2020年10月発売の第13弾「あいづ」のタイプに戻し、その容器のふたとスリーブに特急やまびこのヘッドマークをプリントした。
中身は岩手県産ひとめぼれの白飯を、岩手県一関と東京の食品業者のブランド肉「格之進」を使う、ハンバーグと炙り焼きで覆い、蓮根酢漬け、しめじとエリンギのソテー、紅生姜、錦糸卵を添え、煮物と格之進メンチカツを付けたもの。そんな内容は、一ノ関駅の駅弁「岩手一ノ関金格ハンバーグと牛あぶり焼き弁当」(1,280円)と、だいたい同じ。ビーフ100%にこだわらない、常温でおいしいハンバーグ弁当。8月までの販売。
特急列車「やまびこ」は、1965(昭和40)年10月1日に上野駅と盛岡駅の間で運転を開始。東北本線の電化で、上野駅と秋田駅や盛岡駅を結ぶ特急列車「つばさ」を分離し、電車特急にして、既存の東北本線の急行列車から列車愛称を召し上げた。以後は仙台までの「ひばり」、青森への「はつかり」、常磐線経由の「みちのく」とともに、東京と東北の昼間の輸送を支えた。1982(昭和57)年6月の東北新幹線の大宮駅から盛岡駅までの開業で在来線特急としては全廃、当時は「ひかり」タイプと呼んだ通過駅のある新幹線列車の列車愛称に移行し、今もその盛岡駅までの列車で使われる。
音声の反響という形のない名前が絵柄で見事に表現された、この絵入りヘッドマークが使われた期間は、国鉄が日本全国の電車特急にイラストを導入した1978(昭和53)年10月から、在来線特急やまびこが廃止された1982(昭和57)年6月までの、わずか4年弱、それも一日4往復のみ。昭和の鉄道少年の世代を最後に、もう忘れ去られているのではないかと思う。
2022(令和4)年3月25日にJR東日本クロスステーションが、東京、上野、蒲田、大宮の各駅の弁当売店「HANAGATAYA」などで発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第15弾。前回の第14弾「みちのく」に引き続き、二段重ねのプラ容器、スケーター株式会社の「ロック式2段ランチボックス」に、今回は寝台特急はくつるのヘッドマークをプリントした。
今回の中身は、下段が御飯で岩手県産ひとめぼれの白飯に少量の錦糸卵と刻み梅と大根味噌漬を添え、はくつる型のかまぼこを据えたもの。上段がおかずで盛岡じゃじゃ麺風、一関名物くるみ餅、岩手県産黒毛和牛あぶり焼き、銀鮭塩焼き、岩手県産鶏の照り焼き。調製元は岩手県は一ノ関駅の駅弁屋であり、岩手県の味や食材が詰まる。5月までの販売か。
寝台特急列車「はくつる」は、1964(昭和39)年10月から2002(平成14)年11月まで、東京都の上野駅と青森県の青森駅を東北本線経由で結んだ、東北地方で初めての寝台特急列車。常磐線経由の寝台特急列車「ゆうづる」とともに、昭和時代の首都と東北や北海道連絡の足を担った。1968(昭和43)年6月から1994(平成6)年12月までは、国鉄583系車両を使う寝台電車であり、この弁当に描いた絵柄を列車のヘッドマークとして使用した。
2021(令和3)年3月13日にJR東日本リテールネットが、東京駅の弁当売店「HANAGATAYA」と品川、上野、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」で発売。特急列車ヘッドマーク弁当と同じ形と値段を持つが、このシリーズの弾数に含まれていない。この日のJRグループのダイヤ改正での、特急「踊り子」からの185系特急形電車の引退を記念して発売された。東京と伊豆半島を結ぶ列車のヘッドマークに、ヘッドマーク周りの185系電車の構造を含め、弁当箱の上面に印刷した。
中身はタケノコ御飯を錦糸卵とサクラエビで覆い、梅干しとかまぼこを載せ、コロッケ、鶏照焼、ニンジンとしいたけ、とりそぼろを添える。小田原駅弁の東華軒の駅弁に使われる食材で構成されていることが、駅弁をよく食べる人には分かる。半月ちょっとの販売で、4月には終売か。
※2022年5月補訂:終売を追記2021(令和3)年3月13日にJR東日本リテールネットが、東京駅の弁当売店「HANAGATAYA」と品川、上野、蒲田、大宮の各駅の弁当売店「膳まい」で発売。特急列車ヘッドマーク弁当と同じ形と値段を持つが、このシリーズの弾数に含まれていない。この日のJRグループのダイヤ改正での、185系特急形電車の定期運行の終了を記念して発売された。
1982(昭和57)年6月の東北新幹線の大宮駅から盛岡駅での暫定開業から、1985(昭和60)年3月の新幹線の上野駅から大宮駅までの延伸開業まで、在来線の上野駅と大宮駅を結んだ列車「新幹線リレー号」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。中身は白飯を豚ロース味噌焼で覆い、菜の花と梅干しと錦糸卵を添え、チキンソテーとメンチカツ、玉子焼と漬物を付け合わせるもの。半月ちょっとの販売で、4月には終売か。
※2022年5月補訂:終売を追記2020(令和2)年10月14日にJR東日本リテールネットが、東京駅の弁当売店「HANAGATAYA」と品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第13弾。前回の「いなほ」から1年空いたと思ったら、3月14日発売の「ゆうづる」を見逃していた。今回は1968(昭和43)年から上野駅と会津若松駅を結び始めた在来線特急列車「あいづ」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は、福島県産コシヒカリの白飯を、ソースカツ、山菜、きんぴら、梅干し、椎茸、会津地鶏の照焼きで覆い、まんじゅうの天ぷらと味噌田楽を添えた。中身は福島なのに、なぜか調製元は福島とも「あいづ」の運転区間とも関係のない、茨城県は水戸駅弁のしまだフーズ。沿線で作ったり監修してくれる駅弁屋は、なかったのだろうか。福島や会津の名物で、古くは福島駅の駅弁にもなっていたソースカツ丼ではない、トンカツ弁当。まんじゅうの天ぷらを除き、普通に食べられる。半年間ほどの販売か。
特急「あいづ」は、1968(昭和43)年10月の国鉄ダイヤ改正で誕生。郡山駅で分割・併合し、上野駅から山形駅と会津若松駅を結んだ特急「やまばと」から独立して生まれた。以後、1993(平成5)年12月のJR東日本ダイヤ改正で廃止されるまで四半世紀、増発もされず、東北新幹線の開業や延伸で廃止されることもなく、不思議にも一日1往復だけの運転を続けた。最晩年の一年強は常磐線特急「ひたち」と車両を共通で使い、水戸駅とのつながりは一応あった。「あいづ」廃止後は郡山駅と会津若松駅を結ぶの特急「ビバあいづ」一日2往復または3往復が登場、2002(平成14)年12月にはこれが「あいづ」に改称され、翌年10月の再度の廃止まで1年弱、このヘッドマークが復活した。
※2022年5月補訂:終売を追記2020(令和2)年3月14日にJR東日本リテールネットが、東京駅の弁当売店「HANAGATAYA」、上野駅の弁当売店「膳まい」、水戸駅と勝田駅のコンビニ「NewDays」で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第12弾。この頃は新型コロナウイルスの蔓延が日本国内でも起こり、4月には政府が緊急事態宣言を発令、メディアを占領し旅行客が消えた中で発売を見逃し買い逃していたら、翌年1月の駅弁大会で復刻販売してくれた。
今回は1965(昭和40)年10月から1993(平成5)年11月まで、上野駅と青森駅を常磐線経由で結んだ寝台特急列車「ゆうづる」のテールマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。これに伴い表題を「特急列車ヘッドマーク弁当」から「寝台特急テールマーク弁当」に変更したのは、2018年5月発売の第5弾「北斗星」と同じ。調製元は「ゆうづる」廃止後、当時の駅弁屋の全滅後に、水戸駅に進出した駅弁屋。
今回の中身は、アサリの炊込飯を、シラスや錦糸卵で覆ったり、タコ甘辛煮、ホタテのバター煮、あんこう唐揚げ、笹かまぼこ、いわき名物の「長久保巻き」、梅れんこん、鮭フレーク、みつばを添えるもの。常磐線の沿線の味を詰めてくれたのに、食感はなんとなく、地味で平板。
寝台特急列車「ゆうづる」は、登場前年の1964(昭和39)年10月にデビューした東北地方で初めての寝台特別急行列車「はくつる」(東北本線経由)とともに、上野駅と青森駅を、首都と東北を夜行で結び、青森駅と函館駅を結んだ青函連絡船を介して北海道輸送の一翼を担った。増発を重ねて1975(昭和50)年3月からは毎日7往復を運転、同じ列車愛称の夜行列車としてもう破られることのない最多本数を記録した。5分から10分間隔での雁行運転もあり、日に数千人の移動を支えた。
以後は、1975(昭和50)年以降の国鉄運賃料金値上げ、1982(昭和57)年の東北新幹線開業、航空利用への転移、1988(昭和63)年の寝台特急列車「北斗星」(上野駅・札幌駅間)への差し替えなどで数を減らし、1993(平成5)年12月ダイヤ改正で毎日の運転を終了、翌1994(平成6)年8月の運転を最後に臨時でも走らなくなった。仲間の「はくつる」は最盛期でも一日2往復の運転に留まったが、2002(平成14)年12月の東北新幹線八戸開業によるダイヤ改正まで生き残った。
2019(令和元)年10月30日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」と新潟駅で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第11弾。今回は1969(昭和44)年から上野駅と秋田駅を結び始めた在来線特急列車「いなほ」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は牛鮭飯で、新潟の駅弁で見覚えがある。新潟米コシヒカリの白飯を、鮭塩焼、鮭ほぐし、あがの姫牛のすき焼き風で覆い、海老しんじょう、タケノコやニンジンなどの煮物、大根漬を添える。調製元は今回はまともで、新津駅や新潟駅の駅弁屋。今回は百貨店への輸送のためか、密封性が高すぎる容器のせいか、鮭も肉も固結していた感じ。
「いなほ」は1969(昭和44)年10月ダイヤ改正で誕生。上野駅と秋田駅を高崎線や上越線や羽越本線を経由し、新潟駅を経由せずに首都と庄内や秋田を日本海沿いに結んだ。後の増発や青森駅への延伸を経て、1982(昭和57)年11月の上越新幹線開業により、新幹線に接続して新潟駅と酒田駅や秋田駅などを結ぶ列車となり、今も毎日運転中。車両は1972(昭和47)年10月の電化から長らく、駅弁に写真を添付した485系電車が使われ、この容器のヘッドマークを掲げていた。2013(平成25)年から1年間で常磐線の中古電車E653系に置き換えられたため、今はヘッドマークが使われていない。
2019(令和元)年6月28日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第10弾。今回は1972(昭和47)年から東京駅と安房鴨川駅などを結ぶ在来線特急列車「わかしお」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は魚飯で、房総半島の郷土料理「さんが焼」をイメージ。安房鴨川駅弁「さんが焼」の魚を激減させたようなもので、茶飯を刻み玉子焼やアジのさんが焼などで覆い、ひじき、菜の花、漬物。容器を買う駅弁ではあるものの、海の中身にはなっていた。
ところでこの駅弁、スリーブには千葉県の安房鴨川駅の駅弁屋「南総軒」の文字があるものの、調製元は遠く広島県の福山駅の駅弁屋「浜吉」となっている。このシリーズは駅弁屋そのものが調製しない商品が過去に何度か出ているものの、今回はどうしてこうなったのか、わけがわからない。
この「わかしお」は、1972(昭和47)年7月の房総電化でデビュー。1991(平成3)年3月の特急「成田エクスプレス」の運転開始により、東京駅への経路が総武本線から京葉線に変わったが、今も毎時1本ほどが東京と外房を結ぶ。1993(平成3)年7月に一部の列車が255系電車に、2004(平成16)年10月に残る列車がE257系電車に置き換えられ、このヘッドマークを掲出できなくなった。
2019(平成31)年2月5日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第9弾。今回はかつて上野駅と青森駅を結んだ在来線特急列車「はつかり」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は海の幸なのだそうで、岩手県の一ノ関駅の駅弁屋が調製。ウニと昆布の炊込飯を、海苔とワカメと炒り卵で覆い、ホタテ照焼とイクラと山ごぼうを載せ、焼鮭ときんぴらごぼうときゅうり漬を添える。既存の一ノ関駅弁にない感じの内容。
この「はつかり」は、1958(昭和33)年10月の国鉄ダイヤ改正でデビューした、東北地方では史上初となる特別急行列車。当時は客車をSLが牽き、1960(昭和35)年12月に当時最新鋭の気動車に置き換えられ、1968(昭和43)年の東北本線全線電化で電車化。上野駅と青森駅をどの列車よりも早く結び、首都圏と北東北を、さらに青函連絡船を介して北海道を結んだ名門列車。
1982(昭和57)年の東北新幹線の開業により、運転区間を盛岡駅と青森駅の間に短縮。編成も12両や13両から6両ないし9両に短縮された。駅弁に添付したしおりの写真はその当時のもので、ここに「特急はつかり 上野〜青森」のキャプションを付けるのは違和感でしかない。1988(昭和63)年3月の青函トンネル開業で盛岡駅〜函館駅の特急となり、東北新幹線が八戸駅まで延伸された2002(平成14)年12月ダイヤ改正で、列車名を「(スーパー)白鳥」に変えて廃止された。
2018(平成30)年11月14日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第8弾。今回はかつて上野駅と秋田駅を結んだ在来線特急列車「つばさ」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は「牛肉どまん中」とされ、その調製元である山形県の米沢駅の駅弁屋が調製。白飯を牛そぼろ、きんぴらごぼう、鶏照焼で覆い、パセリで彩り、いも煮と漬物を添える。「牛肉どまん中」には、そんなに似ていない。
この「つばさ」は、1961(昭和36)年10月の国鉄ダイヤ改正で、上野駅と秋田駅を奥羽本線経由で結ぶ特急列車としてデビュー。当初は気動車で、福島駅と米沢駅の間にある板谷峠を電気機関車の力を借りて越えた。1975(昭和50)年の奥羽本線全線電化で電車化され、機関車の後押しから卒業した。1982(昭和57)年の東北新幹線開業後にも上野駅まで乗り入れる便が残ったが、主に福島駅と山形駅や秋田駅を結ぶ新幹線連絡特急となり、編成も9両から6両に削減。添付のしおりはその頃の写真だろう。
1992(平成4)年7月の山形新幹線の開業により、新幹線の列車愛称に移行して今に至る。山形新幹線の路線愛称も列車愛称も、公募の結果を受けたものだが、東北新幹線や上越新幹線と異なり、すでに定着していた名前が受け継がれた。その工事のために前年8月から「つばさ」は福島駅に来なくなり、仙山線から仙台駅に乗り入れる列車になっていた。新幹線にはヘッドマークがなく、銀色のイメージカラーに在来線特急時代の面影はない。
2018(平成30)年9月10日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」と新宿駅と八王子駅と甲府駅で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第7弾。今回は1988(昭和63)年から新宿駅と甲府駅を結ぶ在来線特急列車「かいじ」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は鶏飯で、小淵沢駅の駅弁屋が調製。煮貝の炊込飯を、海苔と錦糸卵、甲斐味鶏の洋風ソース添え、鶏つくね照焼の串、ししとう、ニンジンとシイタケの煮物、うずら卵、大根桜漬で覆い、ソースカツ、厚焼き玉子、野沢菜炒めを添える。下記の「あさま」をより賑やかにした印象。
この「かいじ」は、国鉄がJRになって初めてのダイヤ改正である1988(昭和63)年3月ダイヤ改正で、おおむね毎時2本が運転されていた特急「あずさ」のうち新宿駅から甲府駅までの区間運転便を改称したもの。同時に「かいじ」でのみ両駅間を往復できる4,000円の割引切符「かいじきっぷ」を発売。中央自動車道の高速バスに対抗した、普通列車での往復より安い価格での発売が、専門用語でいう内方乗車禁止の取り扱いも加わり、不公平感をもって専門家や鉄道ファンの間で話題になった。
2018年現在で「あずさ」と「かいじ」に、運賃や料金の違いはない。2002(平成14)年に車両がE257系電車に置き換えられて、ヘッドマークの掲示がなくなったが、臨時列車の一部ではその後も古い電車が使われ、この駅弁の販売期間でも同じ絵柄を実物で見ることができた。
2018(平成30)年7月9日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」と新潟駅で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第6弾。今回は1982(昭和57)年まで上野駅と新潟駅を結んだ在来線特急列車「とき」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は牛めしで、新潟駅の駅弁屋が監修。白飯を牛肉煮で覆い、マイタケとタクアンを載せ、焼鮭と煮物と菜の花を添える。新潟駅にこんな牛肉駅弁が、あったかどうか。過去の「あずさ」や「ひたち」も牛肉駅弁で、それらとあまり変わらない。箸袋は駅弁屋のものだが、調製元は「北斗星」と同じく、神奈川県横浜市の食品工場となっている。
この「とき」は、1962(昭和37)年6月に上野駅と新潟駅を結ぶ電車特急でデビュー。長らく上野駅と新潟駅を、首都圏と日本海を最速で結ぶ列車であり、利用面でも鉄道ファンにとっても人気の列車であり続けた。1982(昭和57)年11月の上越新幹線の開業で廃止され、列車愛称は新幹線へ移行。その際に各駅停車タイプを人気と知名度のある「とき」にして、速達タイプを米坂線の急行列車から召し上げた「あさひ」にしたのは、列車名にした鳥のトキが当時に佐渡島で絶滅が避けられない状況にあり、これを上越新幹線を代表する「ひかり」タイプの列車名にすることを国鉄が避けたためとされる。
新潟県の朝日山地と太陽の朝日にちなむとされる「あさひ」は、定着こそすれど親しまれないまま、2002(平成14)年12月のダイヤ改正で廃止。主に東京駅と新潟駅を結ぶの列車を「とき」、主に東京駅から高崎駅や越後湯沢駅までの列車を「たにがわ」に変更した。この頃には佐渡島のトキも中国産の個体の繁殖が軌道に乗っており、「とき」の名が鉄道に凱旋した。現在は上越新幹線の列車名として親しまれてると思う。新幹線なのでヘッドマークはない。
2018(平成30)年4月20日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」と仙台駅で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第5弾。今回は2015(平成27)年まで上野駅と札幌駅を結んだ寝台特急列車「北斗星」のテールマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。これに伴い表題を「特急列車ヘッドマーク弁当」から「寝台特急テールマーク弁当」に変更している。
今回の中身はかにめしで、北海道の苫小牧駅の駅弁屋が監修。茶飯をカニほぐし身と菜の花と錦糸卵と花レンコンで覆い、鶏唐揚と煮物を付ける。これで北海道を表現できたかどうか。箸袋も駅弁屋のものだが、調製元は神奈川県横浜市の食品工場となっている。
2018(平成30)年2月5日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」と水戸駅と勝田駅で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第4弾。1998(平成10)年まで上野駅と水戸駅などを結んだ特急列車「ひたち」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身も牛肉弁当で、茨城県の水戸駅の駅弁屋が調製。茨城県産コシヒカリの白飯を、常陸牛のしぐれ煮で覆い、かねふくの辛子明太子、きくらげ生姜煮、玉子焼、さつまいも、桜しゅうまい、青梅甘露煮を添付する。普通にうまい牛丼であることに加え、茨城の付合せ各種の見た目と味が美しく、容器の数で売り終えても同じ中身で、茨城を思わせるうまい名前でも付けて売り続けてよい出来だと思った。
2017(平成29)年12月15日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」と甲府駅で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第3弾。新宿駅などと松本駅などを結ぶ特急列車「あずさ」で、2002(平成14)年に定期列車ではみられなくなったヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は牛肉弁当で、山梨県の小淵沢駅の駅弁屋が調製。茶飯を牛肉煮、牛そぼろ、野沢菜、錦糸卵で覆い、甲州小梅、うずら卵、山菜、きくらげなどを添付する。そんな中身の印象は、ほとんど「牛肉どまん中」。普通の牛肉駅弁に仕上がった。
2017(平成29)年8月19日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第2弾。1997(平成9)年まで上野駅と長野駅などを結んだ特急列車「あさま」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は鶏飯で、群馬県の横川駅の駅弁屋が監修。白飯をおかか、鶏そぼろ、玉子そぼろ、鶏照焼で覆い、紅生姜、グリーンピース、昆布佃煮、鶏もつ煮を添付。横川駅の名物駅弁「峠の釜めし」の具が多く取り入れられたが、味はそれと違い、脂と水気が乗っていた感じ。調製元はなぜか、成田空港のケータリング会社。第1弾の下記「ひばり」も、同じ売店で併売されていた。
2017(平成29)年7月24日にJR東日本リテールネットが、東京、品川、上野、大宮、蒲田の各駅の弁当売店「膳まい」で発売した、特急列車ヘッドマーク弁当の第1弾。1982(昭和57)年まで上野駅と仙台駅を結んだ特急列車「ひばり」のヘッドマークの絵柄を、弁当箱の上面に印刷した。
今回の中身は牛たん弁当で、仙台発祥で全国展開する牛たんチェーン店の調製。麦入り白飯を牛たん焼4枚で覆い、牛たん入り焼売、牛たん入り玉子焼、青菜刻み漬けを添えた。小学生サイズのプラ製弁当箱と、米沢駅弁の牛たん弁当のような味と中身で、価格は実に2160円。弁当箱代と駅弁代を重ねて課金された印象。