会津若松駅からJR磐越西線の列車で1時間弱。西会津町は福島県会津地方の北西端に位置する、人口約5千人の宿場町。越後街道、阿賀川、磐越西線、国道や高速道路と、時の交通路が町を貫き、宿場や河港や駅やインターチェンジが置かれた。駅弁は磐越西線の観光列車「SLばんえつ物語」に向けて、2021年からその運転日にホーム上で買えることがある。1913(大正2)年8月1日開業、福島県耶麻郡西会津町野沢字下小屋乙
商品の名前は「野澤宿めし(のざわしゅくめし)」とも。2021(令和3)年5月のゴールデンウィークに、福島県耶麻郡西会津町野沢の「道の駅にしあいづ」で発売。6月19日から、磐越西線の観光列車「SLばんえつ物語」の運転日に、野沢駅のホーム上での販売を始めたという。調製元は西会津町の野沢駅の近くで温浴、宿泊、食堂などの観光施設を運営する第3セクター会社。
2020年からの新型コロナウイルス感染症の全世界的蔓延により、道の駅の利用者が減少したため、地元の食材にこだわった新商品を開発して売り出したという。販売は常時ではないようで、発売後に道の駅や鉄道の駅へ何度か訪れるも弁当の実物も掲示や案内もなく、今回2023年12月に新津駅行きのSL列車で駅を訪れて、初めて見ることができた。
駅弁でも使われるプラ製の釜飯型容器に、黄色い日の丸の掛紙をかける。この容器に西会津産こしひかりの白飯を詰め、鶏肉、車麩、しいたけ、きくらげ、にんじん、たけのこ、ふき、錦糸卵、紅生姜などで覆う。車麩としいたけときくらげも西会津産という。とりそぼろと錦糸卵の親子が入るも、肉でなく山のもので飯をいただくような、素朴で柔らかな感じを受けるお弁当。知名度の問題か列車の人気の差か、会津若松駅行きのSLばんえつ物語の津川駅で客に殺伐と奪い合われた「とりめし」と違い、新津駅行きの野沢駅での10分間の停車時間で、ホーム上でゆとりをもって買うことができた。