東京駅から新幹線はやぶさ号で約100分。仙台市は宮城県の中央に位置する、人口約110万人の城下町で県庁所在地。豊かな植生で杜の都(もりのみやこ)と呼ばれる、東北地方の首都として君臨する大都会。駅弁は明治時代から売られ、戦後昭和から平成時代に3社が競う日本一の激戦区であったが、JR東日本の子会社が駅弁売店を独占した2010年代からは活気がない。1887(明治20)年12月15日開業、宮城県仙台市青葉区中央1丁目。
2022(令和4)年10月1日に仙台駅と東京駅などで発売された、東北福興弁当の第11弾。経済産業省が所管する独立行政法人中小企業基盤整備機構東北本部(中小機構東北本部)の協力で、東北各地の食産業事業者の精選食品を弁当に盛り込むことで、食の面から復興の一助となればとの取組であることは、従来どおり。今回もまた1年半ぶりの更新で、今後の新作は1年毎でなくこの間隔になるのだろうか。第10弾までの11年間で70万個を販売したという。
御飯2区画とおかず6区画の仕切りを2019年10月発売の第9弾タイプにまた戻した中身は、宮城の白飯にきゅうり味噌漬ときくいも甘酢漬、さめ節入りだしと比内地鶏スープの茶飯に佐助豚焼肉、青森のキャベツ炒めとイカメンチ、岩手のわかめ炒り煮と鮭味噌漬焼と厚焼き玉子、山形の炊合せ、宮城の合鴨辛子風味と揚げかまぼことずんだ白玉団子、福島でハンバーグとトマト、秋田で揚げナスとハタハタとポテトサラダといぶりがっこ。16社の16食材が、掛紙の裏面で紹介される。値段が約2割もアップした、高級な居酒屋弁当。
2024(令和6)年3月2日に購入した、かつての仙台駅弁の掛紙。上記の2022年10月の「東北福興弁当」と同じもの。詳しく見比べると、食品表示ラベルでの調製元が、東京都荒川区の日本ばし大増から埼玉県戸田市のJR東日本クロスステーションに変わり、掛紙の版を示すと思われる数字が「2210」から「2304」に変わっている。
2021(令和3)年3月に仙台駅と東京駅で発売された、東北福興弁当の第10弾。発売が例年より半年遅れた。今回は中小企業基盤整備機構が調製元の協力で開発したと、同機構が広報した。引き続き東北6県をコンセプトにした駅弁であり、掛紙にも6県分のイラストが見られる。第9弾までに55万食を販売したという。
御飯2区画とおかず6区画を持つ折箱の仕切りは、個性的だった前々回の姿に戻った。過去9回分の人気メニューを集め、21社の21食材を採用したという中身は、青森県で前回と同じくキャベツ炒めとホタテ生姜味噌煮とりんご甘煮、秋田県も同じく鶏肉揚げ煮とハタハタ和え、岩手県で豆腐とわかめの味噌あんかけ、山形県でいも煮風炊き合わせ、福島県で紫花豆甘露煮天ぷらと揚げナスと若桃甘露煮、宮城県で揚げかまぼこに海苔と花こえび佃煮の6区画のおかずに、3県ずつの茶飯と白飯。お値段と賑やかさは据え置かれた。
2022(令和4)年3月3日に購入した、仙台駅弁の掛紙。上記の2021年のものと、まったく同じ。今までであれば、東北福興弁当の第11弾が出る頃のはずが、引き続き第10弾が販売されていた。
2019(令和元)年10月に発売された、東北福興弁当の第9弾で、10月から翌年9月までの販売。引き続き東北6県をコンセプトにした駅弁であり、掛紙にも6県分の版画絵が見られる。国の経済産業省が所管する独立行政法人中小企業基盤整備機構による補助事業により、国の認定を受けた東北各地20業者の20食材を使用するという箔も付けている。発売を前にした9月27日にはホテルメトロポリタン仙台で記者を招いた試食会を開催したのも従前どおり。第8弾までに50万食を販売したという。
容器の細かな仕切りは、2011年の発売当時と同じ姿に一般化。掛紙の裏面で紹介される中身は、青森県でキャベツ炒めとホタテ生姜味噌煮とりんご甘煮、秋田県で鶏肉揚げ煮とハタハタ和え、岩手県で豆腐の味噌あんかけ、山形県でいも煮風炊き合わせ、福島県で鮭漬焼と揚げナスと若桃甘露煮、宮城県で揚げかまぼことサバ焼きと厚焼き玉子の6区画のおかずに、3県ずつの茶飯と白飯。引き続き、一食分の容量と値段で多種を詰め合わせた、賑やかな駅弁。調製元は2020年4月のJR東日本の子会社の再編により、日本レストランエンタプライズからJR東日本フーズに名前が変わった。
2018(平成30)年10月に発売された、東北福興弁当の第8弾。第7弾は買えなかったが、引き続き東北6県をコンセプトにした駅弁であり、掛紙にも6県の名所や名物が描かれるほか、いくつかのアイコンも見える。国の経済産業省が所管する独立行政法人中小企業基盤整備機構による補助事業により、国の認定を受けた東北各地19業者の19食材を使用するという箔も付けている。発売前月には記者を招いた試食会まで開催された。
複雑な形状の容器は2年前と同じ、東北6県を採用する掛紙の絵柄や記載事項も、より複雑になった気がする。今回の中身は、白御飯に梅と粕漬を添える宮城山形福島、だし飯に豚肉を添える青森秋田岩手、味噌キャベツとホタテ生姜味噌煮の青森、味噌田楽の秋田、鮭とワカメの岩手、鶏肉と桃と揚げナスの福島、コウナゴと牛タンと玉子焼と揚げかまぼこの宮城、いも煮の山形。並々ならぬ気合に圧倒されそうな駅弁。
2016(平成28)年11月1日に発売された、東北福興弁当の第6弾。第2〜5弾は買えなかったが、引き続き東北6県をコンセプトにした駅弁であり、掛紙にも6県の名所や名物が描かれるほか、いくつかのアイコンも見える。複雑に仕切られた中身は、掛紙の裏面に記されるとおり、東北3県×2区画ずつの御飯と、東北6県×1区画ずつのおかず。内容も風味も見栄えも充実していて、復興だ国の認定だの文句やお墨付きなど何も要らない傑作。新幹線の出張帰りのお供は、牛たん弁当よりこちらがよいかと。後に2017(平成29)年10月発売の第7弾、2018(平成30)年10月発売の第8弾と続いている。
2011(平成23)年11月3〜6日に東京駅の駅弁売店「駅弁屋旨囲門」と「5号売店」で開催された「東北応援ご当地うまいもん駅弁大会」でデビューか。東京の日本レストランエンタプライズ(NRE)本社の「東北応援弁当」とコンセプトは同じだが、こちらは区画を分けており、写真付きのおしながきもあるため、内容がより分かりやすい。また、こちらは通年販売となっている。「福興(ふっこう)」は誤記ではなく、掛紙やおしながきにそう書いてあるし、東北各地で「復興」の代わりに会議やイベントの名前に使われている。
長方形で黒塗りの発泡材用意を、東北六県の観光名所のイラストをひとつずつ描いた掛紙で巻く。中身は宮城米ひとめぼれの日の丸御飯と、6区画で各県を表したおかずで、青森がイカ唐揚、ホタテのガーリック焼、パプリカ素揚、岩手がサンマ竜田揚、鮭幽庵焼、切り昆布煮、宮城が玉子焼、笹かまぼこ、牛たん焼、小梅漬、秋田がきりたんぽ、栗甘露煮、山形が芋煮、飾りニンジン、福島が桃甘露煮、りんご煮、マイタケ天、なす漬、ねぎみそ。
東北福興弁当はこれが第1弾で、約7万個が売れたという。翌2012年7月には第2弾が登場。独立行政法人中小企業基盤整備機構東北本部が食材協力で絡んできた2013年10月の第3弾、同機構の企画となった2014年10月の第4弾、以後の2015年10月の第5弾、2016年11月の第6弾と、国家事業として毎年のリニューアルが続く。
※2016年12月補訂:現況を追記東北新幹線の開業35周年の記念弁当のひとつとして、2017(平成29)年6月23日から30日まで、東京、上野、大宮、仙台、盛岡の各駅で販売。その1か月後にもこのように買えているので、販売期間が延長された模様。掛紙には1982(昭和57)年の東北新幹線開業当時の路線図と車両が描かれる。
中身は埼玉のみそポテトと深谷ねぎしば漬け、栃木のとちぎゆめポークと野菜の炊き合わせ、福島の会津味噌使用なす田楽と若桃甘露煮といか人参、宮城のひとめぼれ御飯と鮭酒塩漬焼と牛たん焼きと笹かまぼこ、岩手のいわいどり照焼と昆布佃煮など。35品目あるという中身に、開業当時の沿線各県の内容を取り入れたようだが、飯のおかずや酒のつまみには困る構成。
東北新幹線は35年間で、大宮駅から盛岡駅まで約3時間から、東京駅から新青森駅まで約3時間に改良された。国鉄時代に開業した、東海道、山陽、東北、上越の各新幹線は、後に整備新幹線のルールでJR発足後に開業した区間と違い、開業後に最高速度や所要時間の向上ができている。
2011(平成23)年9月13日の発売で、「東北六県夏まつり弁当」に次ぐ、東北をテーマとしたお弁当の第2弾だそうな。正六角形の容器を、東北各県で祭3つ(第1弾から使い回し)と観光名所3箇所を描いたボール紙の枠にはめる。中身は中央にゴマと梅を振った宮城米ひとめぼれの白御飯を置き、周囲のおかずは1県1区画で、青森は帆立ニンニク味噌焼、姫竹煮、焼りんご煮、岩手はサンマ竜田揚、鶏照焼、鮭粕漬焼、宮城は玉子焼、牛たんシチュー、笹かまぼこ、秋田はとんぶり入り野菜マリネ、いぶりがっこ、ふき煮、福島は味噌田楽、ぶどう。
先に食べていた上記の「東北福興弁当」とコンセプトは共通で、パッケージのデザインからおかずの内容までかなり似通っている。同じ時期に同じ場所の駅弁屋が同じことをすれば、必然的にそうなるのだろう。容器を取り出せばその形が明らかに異なるので、印象が混同することはない。価格は2011年の購入時で1,100円、2014年2月から1,150円、2020年時点で1,200円。2021年4月頃に「東北まるっと弁当」へリニューアル、2023年3月限りで終売。
※2023年4月補訂:終売を追記2016(平成28)年の8月までに発売か。同年10〜11月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2016」にエントリー。そこでは岩手県の盛岡駅弁で、中身のネタは駅弁の名前のとおり北海道と青森県で、調製は宮城県の仙台という、属地不詳な駅弁。
中身は牛丼に揚げイモ、漬けマグロ、昆布煮、おひたしの北海道産パートと、ホタテ丼にイカ飯、イカとワカメの和え物、野菜かき揚げ、リンゴ煮の青森県産パートが、容器の上下を二分するもの。掛紙の裏面に写真付きのおしながきがあり、見た目で青函を感じなくても大丈夫。
これだけ食べればよくできた感じも、同じキャンペーンで青函というネタが被る新青森駅弁「津軽海峡 にぐ・さがな弁当」という馬鹿力を先に見て食べていたため、比べるとスマートさが物足りなくなった。調製元の特徴が出ていると思う。1年間ほどの販売か。
※2021年2月補訂:終売を追記2002(平成14)年12月1日に東北新幹線の八戸駅までの延伸開業を記念して発売。和紙風の風呂敷を解くと木目を印刷した容器に掛紙がかかっている。中身はカニほぐし身が軽く乗ったひじき御飯と、鮭・海老・帆立・ホヤ・牡蛎の海のものから、ぜんまい・椎茸・牛肉などの山や陸のものまで17種ものおかずが入る、見た目も内容も味も豪華なもの。2003年3月までの限定発売。
東京の駅弁大会で購入。調製元とその所在地から、仙台駅の駅弁とみなしたが、名前や内容からして秋田の駅弁であり、実際に秋田駅でも売られたらしい。秋田竿灯祭の写真を印刷した紙容器は、その竿灯の高さをイメージしたのか、駅弁らしからぬ高さを持つ。
円形の容器を三段に重ねた中身は、下段がハタハタが載った酢飯、中段が鶏肉とニシンが載った茶飯、上段がおかずで厚焼玉子や煮物類。ひとつで色々な味が楽しめるが、味は並。この名前の駅弁は常時でなく、3〜5年毎に売られているのではないかと思う。今回は2005年までの販売か。