東京駅から東北新幹線はやぶさ号で3時間強。青森市は本州北部で陸奥湾に面した、人口約27万人の港町。明治時代に入り県庁が置かれ、帝都からの鉄道が開通して北海道への航路が拓かれたことで、県内一の都市として発展した。駅弁は新幹線の改札内や高架下のコンビニで売られるが、完売していることが多いと思う。1986(昭和61)年11月1日開業、青森県青森市大字石江字高間。
2019(令和元)年12月27日に北東北地方の各駅で発売。調製元か販売元の「みちのく弁当」シリーズとして、おそらくJR東日本盛岡支社管内のうち公式な駅弁のない駅のキオスクで、「とりめし」(800円)「ほたてめし」(880円)「うにめし」(1,080円)の3種類が、一斉に発売された。
四角いプラ容器を収める青いスリーブに、商品名と円形の中身写真を記す姿は、それらのすべてに共通する。中身は、青森県産シャモロックの鶏ガラスープで炊いたという醤油飯を、錦糸卵と鶏照焼と鶏そぼろで覆い、玉子焼とわさび菜と大根漬を添えるもの。調製元は新青森駅の駅弁屋で、青森にちなむ食材が使われるようだが、青森の雰囲気が感じられない、だから岩手で買えても違和感のない、属地性不詳なお弁当。
2010(平成22)年12月4日の東北新幹線全線開業に向けて開発し、新青森駅などで発売か。和紙風の表面加工をしたボール紙の容器に、中身の写真と商品名などを印刷した掛紙を巻く。中身は焼ネギとワサビを載せた田子牛の牛焼肉、玉子焼を載せた県産鶏肉の鶏照焼、梅肉ソースを載せたやまざきポークの豚しゃぶを、それぞれ握り飯と合わせたもの。にぎり寿司のようで食べやすく、肉はうまく、創作料理の雰囲気を程良く感じる。価格は2018年の購入時で1,150円、2020年時点で1,300円。
調製元は全国展開の持ち帰り寿司チェーン店「小僧寿し」の三沢におけるフランチャイジーで、後に青森県産の食材を活用した商品の開発を始め、2010年にNRE主催「あおもり駅弁塾」で生き残り、東北新幹線全線開業日から八戸駅のNRE売店に商品が置かれるようになった模様。青森県産品として催事に出ることもある。
※2020年5月補訂:値上げを追記2011(平成23)年5月3日に購入した、新青森駅弁の掛紙。上記の2018年のものと、値段を除き同じ。当時は掛紙で「肉にぎり三種盛」、食品表示ラベルで「肉寿し三種盛り」と、駅弁の名前が一致していなかった。
2018(平成30)年の夏頃の発売か。駅弁の名前は「青森県産黒毛和牛牛めし」とも。同じ頃に出た「青天の霹靂米日記」と同じく、青森県のブランド米「青天の霹靂(せいてんのへきれき)」を使用、その白御飯を青森県産の黒毛和牛のタマネギ炒めで覆い、唐辛子を刻み、玉子焼、わさび菜、大根漬を添える。青森づくしの牛丼のはずが、パッケージでの紹介や宣伝を含め、米と牛の味が出ていない印象。牛すき焼丼というよりはむしろ牛しぐれ丼だった。価格は2018年の発売時や購入時で1,000円、2020年時点で1,080円、2022年3月から1,200円。
※2022年4月補訂:値上げを追記茶色い紙箱に直接、衣が厚くしっかりした、青森県産やまざきポーク使用というソース漬けのロースカツを、軽くトーストした厚めの食パンに挟んだサンドイッチを、3切れ詰める。歯応えしっかり、クセはなく、都会的においしくいただけた。現存するかどうか不詳。
※2019年11月補訂:写真を更新2017(平成29)年11月3日に盛岡駅で購入した、新青森駅弁の紙箱。中身は上記の2年後と、まったく同じ。紙箱のサイズや絵柄も同じだが、なぜか商品名のフォントが異なる。
2013(平成25)年11月11日に新青森、八戸、盛岡の各駅と東北新幹線車内で発売。掛紙で読めるとおり、「B−1グランプリ」にエントリーされた青森県内の炒め物「十和田バラ焼き」の駅弁。ふたを外すのでなくめくる構造の容器を使用、中身は白御飯を牛肉炒めとタマネギ炒めで覆い、タレときぬさやで彩り、煮物、玉子焼、ナガイモを添えるもの。量も質もそんなにあるわけでない牛肉に、タレとタマネギを合わせると、なんかうまい感じ。どこかの淋しいブランド牛駅弁より満足できる。価格は2013年の発売時で900円、2016年の購入時で950円、2019年時点で1,000円、2020年時点で1,080円、2022年3月から1,200円。
十和田バラ焼きは2009(平成21)年の組織化。2006(平成18)年2月の青森県八戸での第1回開催が成功し、グランプリの富士宮やきそばや厚木シロコロホルモンが大人気となったイベント「B−1グランプリ」へのエントリーへ向けて、由来と物語を付けて全国各地で生み出されたご当地グルメのひとつに見える。ここでは第二次大戦後まもなく現在の青森県十和田市街で、米軍払い下げの安い牛肉のバラ肉を美味く食べるために、タマネギとともにタレに絡めて鉄板で焼いて食べる調理方法が生み出されたとする。甲斐あって2014(平成26)年の第9回大会でグランプリを獲得した。
※2022年4月補訂:値上げを追記2020(令和2)年10月の発売は、同月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2020」へのエントリーに向けたものか。写真で掛紙に見えるものは、透明な袋に入った葉書大のカードで、2018(平成30)年に実際に使われた、五所川原の立佞武多の絵柄が描かれている。
コンビニ弁当並みに浅く平たいプラ容器に白飯を詰め、小川原湖牛の焼きしゃぶという牛焼肉で覆い、錦糸卵とししとうと糸唐辛子で彩り、リンゴのしそ巻き酢漬を添える。味付けのない肉の味はB級に力強く、つがる惣菜の駅弁らしい感じ。2022年までの販売か。
※2023年4月補訂:終売を追記この名と姿では2017(平成29)年の発売か。2018年のJR東日本「駅弁味の陣2018」にエントリー。中身はスリーブの写真のとおり、白飯を牛肉で覆い、わさび菜と大根漬を添える、ありふれた構成の牛肉駅弁。たしかに柔らかくはある牛肉煮がやや厚めで、B級グルメの味わい。調製元の青森からの撤退により、2019年9月限りで終売となった。
※2017年8月補訂:終売を追記2013(平成25)年の夏までに発売か。スリーブに記されるとおり、青森県産牛のカルビ焼、青森県産桜姫鳥の塩照り焼、青森県産ガーリック豚のみそ焼が、それぞれ1区画ずつ丼ものになっている、牛と鶏と豚の肉駅弁。味付けに青森が誇る焼肉のたれ「スタミナ源たれ」を使用したという。
赤黒く飯からはみ出るパワフルな牛、厚さと適度な固さとしっかりした塩味がある鶏、少量のはずが厚さと脂肪の質が噛み切るのに絶妙で飯を余さない豚と、力強い内容に感じた。今回は東京駅で購入したが、輸送販売の肉駅弁にありがちな寂しさはどこにもない。価格は2016年の購入時で1,100円、2018年時点で1,300円。2019年までの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2016(平成28)年の年明け頃に発売か。白御飯の上を牛肉煮とゴボウ煮で覆い、ししとうで彩り、玉子焼、タケノコやフキなどの煮物、キュウリの漬物を添える。見た目も内容も味も一般的な牛丼駅弁。オール発泡材製の容器のふたが、めくり上げるような構造で、本体と分離しないつくりが特徴に見える。年内で終売か。
※2019年8月補訂:終売を追記2010(平成22)年12月4日の東北新幹線新青森駅開業に合わせて、新青森駅で発売か。小柄な長方形の容器に透明なふたをして、商品名とニワトリを描いた赤い掛紙をかける。中身は白御飯の上に鶏照焼、味噌ソースをかけた鶏カツ、鶏肉そぼろに玉子そぼろ、ごぼう、山菜、パセリを載せるもの。小さい箱に賑やかな鶏が詰まる、移動中の機能的な軽食として最上の価格と内容を備えると思う。これの「ミニ」が付かない商品は見たことがない。
この駅弁は、調製元の2014年4月30日付での事業の停止により失われた。
※2014年9月補訂:終売を追記2007(平成19)年の夏までに発売か。深めの赤い容器にかかるボール紙のフタには、商品名と豚と奥入瀬かどこかの清流が印刷される。中身は白御飯の上に十和田ガーリック豚を使用したという大きな豚肉南蛮味噌焼が1枚載り、ニンジンときぬさやで彩り、きんぴらとリンゴ甘煮とさくらんぼを添えるもの。
メインの豚肉は味付けがこってりかつあっさり、柔らかいけれど平ゴム状の脂肪が噛み切れずに残る、優と不可の両方を備えた感じ。これも不思議と収穫報告に乏しいのは、名前が一般的なことと、遠隔地での輸送販売がないからか。2009年頃までの販売か。
※2017年8月補訂:終売を追記2004(平成16)年の駅弁大会シーズンに向けて投入か。これとかこれとかこれとか、似たような駅弁をいくつも食べたような気がしたのが初対面での印象。中身は御飯の上に、甘めのタレをたっぷりからめた牛肉と牛そぼろを敷くもの。肉そのものの味はブランド牛を名乗るにはちょっと厳しいか。それよりも、原材料名に明記される、十和田牛ではなく「十和田湖牛」というブランドそのものの存在を確かめられていない。そんな接頭辞を変えながら、2016年頃までの販売か。
※2017年8月補訂:終売を追記1997(平成9)年3月19日12時の調製と思われる、昔の青森駅弁の紙のふた。JR東日本の観光キャンペーン「東北大陸から」のフレーズを除き、地域色のまったくないデザインで、おそらく仙台から青森までの各地で使い回せるようにしたものだろう。少なくとも旅の記念にはならない。