東京駅から新幹線やまびこ号で約3時間。北上市は岩手県の南西部で北上盆地に位置し北上川に面した、人口約9万人の工業都市。古来から交通路であったが、国道や鉄道の整備、高速道路と新幹線の開通で、工業団地が形成され栄える。駅弁は明治時代から営業した後藤屋が2000年頃に撤退、伯養軒の支店があったが2005年に撤退、以後は盛岡駅の駅弁が駅そば屋に入荷したが2020年に閉店、その後は近隣の駅弁がコンビニに入荷する。1890(明治23)年11月1日開業、岩手県北上市大通1丁目。
2006(平成18)年に発売か。大きめの容器に透明なふたをして、A4判カラーコピーの掛紙をかけて、輪ゴムで留めてから食品表示ラベルを貼る。中身は小柄な白飯おにぎり、ほろほろ漬おにぎり、大葉焼きおにぎりと、牛メンチカツ串、かき揚げ、舞茸その他の煮物、合鴨桑焼に玉子焼、とろろいもにリンゴシロップ漬けなどと盛りだくさん。
しかし、価格に見合う充実感はなかった。揚げ物は常温販売に向かない冷えると油っぽい風味、煮物も汁気が駅弁としては多すぎるなど、味の評価は低くなりそう。しかし仙台・盛岡・青森の支店が東京の外食会社の傘下となり、全国均一の強力なチェーンオペレーションが導入されてもおかしくないウェルネス伯養軒が、販売駅1駅、日産10個のローカル駅弁を出したこと自体をありがたく思い、感謝していただかなければならない。
なお、この駅弁の2007年以降の販売は確認できない。2012年現在、北上駅では盛岡駅弁の一部が販売されている。
※2012年5月補訂:終売を追記デパートの弁当大会で購入した、製造者が仙台支店で販売者が北上支店の駅弁。長方形の加熱機能付き容器を、中身の一部写真を牛型に載せたボール紙のパッケージに入れる。中身は白御飯の上にすき焼き風味の前沢牛焼肉が少々と、ごぼうやタケノコやにんじんなど。中身は見た目に寂しいが、柔らかくて良い肉が使用されているので美味い。しかし本当に北上駅で買えるかどうかは、やや疑問。なお、調製元の支店は経営不振による事業譲渡により、2005年7月31日限りで終売となった。
※2007年3月補訂:終売を追記2003(平成15)年3月1日の発売。惣菜弁当や駅弁でよく使われる、ふたが透明な長方形の容器に、駅弁の名前を記した紙帯を締める。中身は北上産ひとめぼれの御飯の上を、「きたかみ牛」のすき焼きや白滝やタケノコや椎茸で覆い、北上名産の二子イモ煮やアスパラガスのマスタード和えを添えるもの。柔らかく軽い口当たりの牛肉は、あんかけ風のタレでますます軽く、その食感から肉の分量を必要以上の少なく感じさせるほど。
発売時には毎日30個から40個が完売する人気の駅弁と紹介されたが、2004年中には売り止めた模様。調製元の営業所も経営不振による事業譲渡により、2005(平成17)年7月31日限りで閉鎖された。今後は盛岡駅や花巻駅の駅弁が置かれるとのこと。
※2005年12月補訂:公式サイトの閉鎖に伴いURLを削除。調製元の名称・所在地・連絡先も変更された可能性がある。昭和30年代のものと思われる、昔の北上駅弁の掛紙。黒沢尻駅が「北上」に改称されたのが1954(昭和29)年3月で、横黒線が「北上線」に改称されたのが1966(昭和41)年10月なので、掛紙の路線図を見るとその間のものだろう。尻の字が嫌われて駅名や路線が変わったが、黒沢尻の名は今も町名や高校名に残る。
1980年代のものと思われる、昔の北上駅弁の掛紙。かつて北上駅弁の名前に使われたこともある、岩手県北上の伝統芸能「鬼剣舞(おにけんばい)」とその説明が描かれる。