新見駅の幕の内弁当。中身は俵型御飯が6つとエビフライ・鶏唐揚・玉子焼・蒲鉾・鯖塩焼に煮物類などが入る普通の幕の内弁当に見えて、デザートが杏仁豆腐であることと、35センチほどの容器の長さが特徴。これほどの長さを持った駅弁の容器は、ちょっと記憶にない。
伯備線に姫新線と芸備線の列車が乗り入れる新見は、かつて各路線の勾配に対応する蒸気機関車の機関区が置かれた、鉄道の要衝であった。昭和40年代のSLブームの頃は、「布原の三重連」に代表される全国有数の好撮影地に、多くの鉄道ファンが押し寄せた。SLが消えると訪客も車両も消え、山肌や駅構内に跡地を残した。
調製元は2002(平成14)年の春に駅から撤退、その後も弁当を扱った特急列車「やくも」の車内販売も2009(平成21)年9月限りで消えた。今も駅前で仕出し弁当店を営み、事前の予約により駅にも弁当を届けてくれる。
2000(平成12)年の春に発売。長方形の容器に酢飯を敷き、岡山県産の和牛のステーキを5枚ほど貼る。テレビや雑誌でも紹介され、西日本地区の駅弁大会にも出品されたが、2001(平成13)年秋のBSE(狂牛病)騒動により販売が見合わされたまま、2002(平成14)年の春に駅弁屋の撤退とともに正式に終売となった。
昭和時代の新見駅の名物駅弁。鬼と武者をマンガ風に描いた掛紙を使用、正方形の容器に、備前米に餅米と山菜を混ぜた炊き込み御飯を半分、椎茸や蒲鉾や海老などのおかずを半分詰める。御飯に比べ明らかにおかずの少ない、つまり炊き込み御飯自体を味わうという、東北に多いが西日本には少ない御飯が主体の駅弁。新見駅での販売に加えて、特急列車「やくも」の車内販売で売られた。2000(平成12)年頃に終売となった模様。
1996(平成8)年8月18日11時の調製と思われる、昔の新見駅弁の掛紙。岡山のスーパーヒーローである桃太郎が、見聞きしたことがない妙なストーリーとともに描かれる。駅弁の名前は過去には、「たきごみ」と音が濁っていたと思うが、このバージョンでは「たきこみ」と濁らない。
1957(昭和32)年5月11日の調製と思われる、昔の新見駅弁の掛紙。調製元の大阪屋は1929(昭和4)年に創業、2009(平成21)年9月まで新見駅で駅弁を売り続けた。
新見駅は伯備線に姫新線と芸備線列車が乗り入れる鉄道の要衝であり、現在の幹線は伯備線であるが、1957(昭和32)年当時は姫新線と芸備線を直通する列車が一日7本もあり、こちらも中国地方を縦貫する幹線鉄道の機能があった。中国自動車道の開通で姫新線と芸備線が没落し、1972(昭和47)年3月の新幹線岡山開業と特急列車「やくも」デビューに1982(昭和57)年7月の電化で伯備線が繁栄し、今に至る。