2025(令和7)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、橿原神宮前駅の駅弁として輸送販売。実際には2024年10月3日に調製元の奈良県内と関東地方の直営店や通信販売で発売。カプコンの対戦格闘ゲーム「ストリートファイター」と調製元のコラボにより、ゲームキャラクターの「リュウ」「エドモンド本田」「春麗」「ケン」を容器のふたに描いた4種類の商品を売り出した。これはそのうち「リュウ」版で、スリーブと密封できるプラ容器のふたと添付のポストカードに同じ絵柄で、人物と鹿と飲食品と桜花の風景を描いた。
中身と価格は4種類とも共通で、さば2個、さけ2個、たい2個、あじ1個の柿の葉寿司を、醤油と甘酢生姜の袋とともに容器に収めたもの。このゲームやキャラクターが市販の弁当になるのは初めてかもしれない。そういえば以前に近鉄の京都線と吉野線の電車を乗り換えた際に、通路の商店街にこの調製元の店舗があった。これをもって橿原神宮前駅が駅弁販売駅になったり、ここへ駅弁を買いに行く人が出ることはないだろう。
ストリートファイターは、1987年にカプコンが発売しゲームセンターに置かれた格闘ゲーム。プレイヤーがキャラクターを選択し、8方向レバーと6つのボタンを操作して一対一の2ラウンド先取で敵を倒していく。1991年3月発売の「ストリートファイター2」が大変な人気となり、このように30年以上の時を経ても親しまれる。創業者の出身地にちなみ、カプコンと奈良県橿原市は2022年8月に包括連携協定を締結、その一環で大和八木駅前や橿原神宮に銅像を建てたりデザインマンホール蓋を設置するなどして、観光客向けにチラシを制作してアピール。リュウの銅像やふたは大和八木駅前にあるのに、調製元直営店がある大和八木駅の駅弁とは設定されなかった。
大阪阿部野橋駅から近鉄電車で約1時間半の終着駅。吉野町は奈良県の中部の山間に位置する、人口約6千人の町。千年以上の歴史が残る景勝地や聖地として、修験の道や春の桜など、年に百万人以上の観光客を集める。駅弁はない。1928(昭和3)年3月25日開業、奈良県吉野郡吉野町吉野山。
近鉄吉野駅前の食堂で店頭販売されていた奈良名物柿の葉寿司。柿の葉色一色の古風な包み紙で長方形の経木枠の容器を包む。中身はサバの柿の葉寿司が8個。飯は小粒で鯖は薄く、著名品と比較して旨味は劣る。中身はその場で詰められるので、鮭など他の種類を組み合わせることができる。
吉野は桜の時期には特に人を集める著名観光地で、吉野駅は大阪阿部野橋と近鉄特急で結ばれる。しかし訪問日は小雪舞う真冬の平日で、駅周辺には駅員と運転士と車掌と私しかいないような状態。それでも数軒が横並ぶ駅前商店群で唯一店を開けていた営業姿勢に敬意を表し、吉野駅の駅弁と考える。包装紙にも「近鉄吉野駅前売店」とあるのでOK。