新宿駅から中央本線の特急列車「あずさ」で約2時間40分。塩尻市は長野県の中部で松本盆地に位置する、人口約7万人の宿場町。ワインの生産や精密機械工業で知られるほか、空港があり幹線鉄道と高速道路が通る交通の要衝でもある。駅弁は1907(明治40)年からの調製元が屋号として残り、待合室とホーム上で駅弁が買える。1902(明治35)年12月15日開業、長野県塩尻市大門。
塩尻駅で平成時代の発売だろうか。白樺や牧場の風景を描いた専用の紙箱に、白いプラ製トレーを使い、日の丸御飯、レタスときゅうりと果物、フライドポテト、煮玉子、牛焼肉、ワインゼリー、漬物などを詰める。そんな見た目は、牛肉弁当というよりは牛肉入り幕の内駅弁。柔らかく脂身豊かな牛肉煮は醤油風味で、生野菜とフルーツが入り、駅弁の名前を表す。価格は2008年時点で950円、2014年4月の消費税率改定で980円、2021年時点で1,100円。
※2023年6月補訂:写真を更新し解説文を見直し2008(平成20)年1月1日に購入した、塩尻駅弁のパッケージ。その絵柄は上記の2023年のものと同じで、容器も中身も変わらない。不思議なことに、駅弁の名前に「信州」と「信州牛」との違いがある。
1953(昭和28)年の発売という、塩尻駅弁のロングセラー。やや上げ底な正方形の容器に味付けご飯を詰め、野沢菜炒め、鶏唐揚、鶏そぼろで覆い、紅生姜と漬物を載せる。たっぷりの野沢菜を含め、飯も肉も油っぽいところが特徴で、この味が70年もの間親しまれる。ニワトリを卵形に描くふたの絵柄も昭和時代から変わらず、塩尻駅や松本駅の駅弁売店で見つけやすい。価格は2005年時点で610円、2015年時点で650円、2021年時点で700円、2023年時点で730円。
※2023年5月補訂:写真を更新し解説文を整理2005(平成17)年4月9日に購入した、塩尻駅弁のふた。その絵柄は下記の1980年代も、上記の2023年ものとも変わらない。容器も内容も味も変わらないと思う。
1980年代のものと思われる、昔の塩尻駅弁の掛紙。上の四半世紀後と、ほとんど変わらない。当時の写真によると容器や中身は、まったく変わっていない。
1980年代までには塩尻駅で発売か。釜飯駅弁向けプラ容器に、味付け御飯を詰め、とりそぼろ、野沢菜の油炒め、鶏唐揚で覆い、うずら卵、くり、紅生姜で彩る。そんな内容は、同じく塩尻駅の駅弁「とりめし」とほぼ同じ。飯も肉も油っぽいところも同じ。値段も容器も、こちらが少し高級品か。他の釜飯駅弁にない、素朴な感じを受ける。価格は2003年時点で820円、2014年時点で860円、2021年時点で970円、2023年時点で980円。
2014(平成26)年8月9日に購入した、塩尻駅弁の掛紙。その絵柄は上記の2023年や下記の2003年のものと変わらない。内容も変わらない。調製元と値段は変わった。
2003(平成15)年2月15日に購入した、塩尻駅弁の掛紙。上記の2023年のものと、おおむね変わらない。変わったのは値段と調製元。この時は陶製の容器のプラ製のふたをしていたが、現地でなくスーパーの駅弁大会で買ったため、現地でも容器が陶製だったかは分からない。
JRグループの観光キャンペーン「長野県・信州デスティネーションキャンペーン」の実施に合わせて、2017(平成29)年7月から9月までの期間限定で販売。同年10月にはJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2017」にエントリーされ、販売が継けられた。
横に細長い容器に、茶飯を敷き、とりそぼろと鶏照焼、野沢菜の油炒め、錦糸卵、山菜、紅生姜で覆い、生野菜サラダとワインゼリーを添える。その内容はまるで、まるで既存の塩尻駅弁「とりめし」の拡大版。掛紙の絵柄も似ているし、だいたい1.5倍くらいの分量が入り、ざらついて油っぽい味も健在。2020年までの販売か。
※2022年4月補訂:終売を追記諏訪大社の式年造営御柱大祭を記念し、2016(平成28)年4月に発売。そう言われると確かに、掛紙の絵柄が御柱祭の木落としの光景である。同年秋のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2016」では、「主な販売駅 松本駅・塩尻駅」でエントリーされたが、、掛紙に「中央線 塩尻駅」とあるので、塩尻駅弁のページに収蔵。
市販の大きな仕出し弁当容器を、もっと大きな掛紙で包む。9区画の中身は、日の丸御飯、茶飯と高菜漬、ワカサギ南蛮漬、煮物類、イカ山菜寿司、かまぼこと玉子焼と肉味噌、鶏味噌焼とナガイモ煮、漬物と甘味、つくね。このうち、肉味噌とハンバーグのようなつくねに、「ジビエ」こと鹿肉が使われる。食べれば臭みも美味もなく、牛や豚にしては細かくてざらざらしているな、と思う程度。半年間ほどの販売か。
ジビエとは、フランス語由来の外来語で、畜産でなく狩猟により食材として捕獲した鳥獣。獣肉と呼ぶと分かりやすい。日本国内では主に、保護により増えすぎて農林業や交通に悪影響を及ぼす、エゾシカやニホンジカを狩って食べて減らそうという場面で、主に使われていると思う。そんなカタカナ語ができる前から、イノシシやキジなど、各種の獣肉が駅弁になってきている。
※2019年8月補訂:終売を追記2010(平成22)3月の発売か。長方形の容器に鶏ガラならぬシャモガラスープで炊いた茶飯を詰め、野沢菜の油炒め、錦糸卵、信州黄金シャモ肉の照焼と煮物の各2切れ、ネギや糸こんにゃくやマイタケなどで覆い、五平餅とワインゼリーを添える。つまり鶏飯。信州黄金シャモの照焼は締まってうまく、価格が高いためか他の食材の種類や見栄えも類例よりさすがに優れているが、どこかを略して千円になれば、駅弁として買いやすくなると思った。2021年までの販売か。
※2022年4月補訂:終売を追記