新宿駅から中央本線の特急列車で約2時間。北杜市(ほくとし)は山梨県の北西端を占める、人口約4万人の市。甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳や金峰山や茅ヶ岳に囲まれた高原に、農地が広がり、山や緑に観光客が来る。駅弁は大正時代から売られ、平成時代に売店へ「小淵沢駅の名物は駅弁です」と掲示するほどの名物となった。1894(明治27)年12月21日開業、山梨県北杜市小淵沢町。
2017(平成29)年1月の京王百貨店の駅弁大会でデビュー。掛紙での商品名は「鮑の煮貝弁当」であるが、これを百貨店では「元気鮑(げんきかい)」と読ませた。おおむね円筒形の小さく白い陶器に、混ぜ御飯を詰め、アワビとイクラと山菜とシイタケと大根桜漬で覆うもの。アワビは駅弁では稀な柔らかさ。しかし、この催事場で併売かつ完売していた、名前をともにする小淵沢駅伝統の駅弁「元気甲斐(げんきかい)」に及ぶものではなかった。
陳列に難がありそうな貝の形に編んだ竹籠の容器を使用、白いトレーを収めて、その中でアワビときのこの炊き込み御飯の上にアワビのスライス煮が載り、鶏肉・エリンギ・山くらげなどを添える。この価格の割に少量であるうえ、アワビが主に身ではなく出汁として入るため、「高原野菜とカツの弁当」か「元気甲斐」に手が伸びる。「甲斐の貝」は駄洒落ではなく、アワビの煮貝は四百年の伝統を持つ山梨県の名産品。価格は2001年の購入時で1,000円。その後しばらく見なかったが、2013年頃に1,300円で再登場した模様。価格は2017年時点で1,400円。
※2017年4月補訂:値上げを追記2013(平成25)年2月の鶴屋百貨店の駅弁大会で、いくつかの小淵沢駅弁とともに実演販売されたお弁当。長方形の容器に茶飯を敷き、小粒ながらきれいなアワビを5個も敷き列べ、煮物や大福などを添えるもの。なぜここでこういう商品を作ったのかはよく分からないが、第50回記念の駅弁大会のチラシと催事場に花を添えた。