東京駅から新幹線で3駅35分。小田原市は神奈川県の南西部で相模湾に面する人口約19万人の城下町かつ宿場町。関東地方の西の出入口として、戦国時代や江戸時代に歴史の舞台となった。駅弁は明治時代に国府津駅で創業した、東海道本線では最古の駅弁屋が健在だが、実態はJRや小田急の子会社が近隣のものを含めた駅弁を集めて売る。1920(大正9)年10月21日開業、神奈川県小田原市栄町1丁目。
小田原駅の橋上自由通路でブース販売されていたお弁当。プラ製の惣菜容器に、弁当名を大きく記した掛紙をかけて、濃緑色の輪ゴムでしばる。中身は日の丸御飯に豚生姜焼やナスや小魚や玉子焼など、内容も味も格別なものはないし地域色もない。
弁当名の由来を中身に求めると、確かに御飯は山盛りだったが全体の分量は決して多くはなく、明らかに名前負け。あるいは中身の配置が雑然としているから男なのか、小田原の男はこの分量で音を上げてしまうのか。価格を上げてでも掛紙の力強さが生きる中身になれば、東京のメディアにアピールできると思う。
2008(平成20)年12月に発売。正方形の容器にシートをかけて割りばしを2膳収めてふたをして、駅弁の名前を派手に描いたボール紙のふたをかけてから輪ゴムで留める。中身は白御飯の上に鶏南蛮をゴンゴン置いて、パプリカやピーマンやタマネギを散らしてレモンのスライスとタルタルソースを添えるもの。
見た目には単なるホカ弁。注目すべきはその分量で、「BIG」を名乗り「食べ過ぎにご注意」と警告するにふさわしく、19センチ四方の容器に詰まる中身の総重量は800グラム以上になるという。そんなパワフルなコンセプトに、油っぽいけれど意外に柔らかくてうまい鶏南蛮が、分量にしてはお手ごろな価格とともに、若者男性の心をつかんでいる。非常に個性的で面白い、素晴らしきB級グルメ。翌年の京王百貨店の駅弁大会でも見たと思う。
※2015年9月補訂:終売を追記2009(平成21)年2月までに発売か。上記の駅弁「BIGとり南蛮重」と同じ容器を使用するが、こちらはボール紙のふたではなく掛紙を使う。中身は白御飯の上をタマネギやニンニクの芽の炒め物で覆い、ロースともメンチともつかないトンカツを被せて、半熟卵を1個添えるもの。掛紙に書いてあるとおり、本当に「手にもってみてオモッ!!」と思わせる、BIGとり南蛮重に続く風味も含めた超B級グルメは、個性派としてもっと支持されて良いと思う。現地で買えるかは、定かではない。こんな巨大な駅弁としては、1年くらいで消えた模様。
※2015年9月補訂:終売を追記