東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJRの子会社が調製するもので100種類以上とも、エキナカの商品を含めて400種類以上とも、デパ地下の弁当を含めて1000種類以上ともいわれる、世界一の駅弁販売駅。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
1964(昭和39)年10月に発売。現在の東京駅や上野駅で最も歴史が長く伝統のある駅弁。最近では2019(令和元)年10月にリニューアル。バスケット型とされるオレンジ色のボール紙製容器を使用、白いトレー2個に収まる中身は、1個が玉子とトマトのペーストやグリーンピースを振り掛けたケチャップ味のチキンライス、1個が濃厚な味の衣が付いた鶏唐揚、野菜のピクルス、スモークチーズ、レモン汁の袋。御飯や鶏肉に、懐かしい家庭料理の味がする。発売55周年の前年のものと比べ、ロゴマークに加えて箸袋も変更されている。
昭和時代の国鉄を知る者にとっては、東京の駅弁といえばチキン弁当。1990年前後のJR発足初期の東京駅弁全面変更の激動を乗り越え、日食(日本食堂)からJD(Jダイナー)を経てNRE(日本レストランエンタプライズ)のブランド変更、さらにJR東日本フーズそしてJR東日本クロスステーションへの社名変更にも耐え、容器やおかずを少しずつ変えながら販売されている人気の駅弁。価格は2003年時点で780円、2003年から2004年頃の鳥インフルエンザ渦の影響と思われる発売中止期間を経て800円に値上げ。2014年時点で850円。2018年時点で900円。
2014(平成26)年の秋に発売、2020(令和2)年2月にこの姿へリニューアル。東京駅で伝統の駅弁「チキン弁当」で使われる唐揚げを4個、紙箱に詰めて売る。この鶏唐揚には、現代のプリプリやジューシーといった修飾語を付けるものとは一線を画す、昭和や洋食の雰囲気があえて維持される。油っぽくざらついた、昔ながらの味が、こんな商品が出るくらい支持されている。価格は2020年の購入時で500円、2022年6月から550円。
※2022年6月補訂:値上げを追記2022(令和4)年10月1日から、おそらく東京、新宿、上野、大宮の各駅で、期間限定で販売。9月21日から23日まで東京駅の地階で先行販売。日本鉄道構内営業中央会の鉄道開業150年記念復刻駅弁企画により、同月から期間限定で販売された31社34駅弁のひとつ。JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2022」にエントリー。下記のとおり過去に何度も復刻された、1964(昭和39)年の発売当時のチキン弁当を、今回は2017年10月以来5年ぶりに販売した。900円の通常版も併売。
ニワトリでデザインしたオレンジ色の紙箱に、グリーンピースとマッシュルームを散らしたケチャップライスを詰めたトレーと、鶏唐揚とポテトチップスとガリを詰めたトレーを重ねる姿は、過去の復刻版と同じ。添付のチラシ「チキン弁当のミニ歴史」を更新し、鉄道150年で開業当時の錦絵を使うミニクリアファイルを添付。過去に千円以下だった価格はこれを大きく越え、高くなった。
上記の駅弁「チキン弁当」の、2019(令和元)年10月時点での姿。この月のリニューアルは、発売55周年を記念したものか。バスケット型とされるボール紙箱に「おかげさまで55周年」ロゴマークを入れるとともに、名無しの鳥の絵柄が大きくなった。中身も白いトレーの一方を玉子とトマトのペーストやグリーンピースを振り掛けたケチャップ味のチキンライス、他方を濃厚な味の衣が付いた鶏唐揚、野菜のピクルス、スモークチーズ、レモン汁の袋に差し替えた。
※2021年2月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し上記の駅弁「チキン弁当」の、2019(令和元)年10月リニューアルの前の姿。バスケット型とされるオレンジ色のボール紙製容器の上面では、鶏が小さく、バーコードや食品表示ラベルもここにあった。中身は一方がグリーンピースや玉子そぼろを振り掛けたケチャップ味のチキンライス、他方が濃厚な味の衣が付いた鶏唐揚、ポテトサラダ、スモークチーズ、レモン汁の袋。
※2019年11月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し2016(平成28)年の夏頃に発売か。その名のとおり、チキン弁当がおにぎりになった。ケチャップライスないしチキンライスと、あの鶏唐揚が、三角形に成型されて、同じ形のプラケースに収まる。味はもちろん、チキン弁当のそれ。このイラストの鶏は、鉄道員の制服を着ているのだろうか。調製元が普段のNRE大増でなく、東京駅のエキナカのおにぎり屋になっている。1年間ほどの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記2014年秋の発売は、東京駅弁のチキン弁当の50周年に合わせたものと思われる。商品名のとおり、チキン弁当に入る鶏唐揚のみ5個を、同じ意匠のボール紙箱に詰める。プラ製の敷物の絵柄と、添付のレモン果汁も、チキン弁当と揃えている。
3個入りは350円。この専用箱ではなく、白い紙箱や透明なプラ容器に掛紙を巻いたり、袋入りで売る光景も見たことがある。NREの駅弁を革新した総料理長が改良を望んだが社内外の?反対で断念した、ざらり、べたりとした旧来の固い鶏唐揚が、こんな商品になってしまい、オールドファンは大喜び。2020年2月にこの5個入りの箱と3個入りの袋を、上記の4個入りへ統合か。
※2020年5月補訂:終売を追記上記の駅弁「チキン弁当のからあげ」の、2014年の発売当初の姿。当時は専用の紙箱でなく、汎用の白いボール紙箱に掛紙を巻いていた。中身や価格は変わらない。
上記の駅弁「チキン弁当のからあげ」の、3個入りバージョン。惣菜の量り売り向けの袋に、チキン弁当と同じ意匠の掛紙を巻いていた。ここには鶏のイラストが3羽もいる。2020年2月にこの3個入りの袋と5個入りの箱を、上記の4個入りへ統合か。
※2020年5月補訂:終売を追記2014(平成26)年11月21日に購入した、東京駅弁のパッケージ。下記の半年前や、上記の2016年のものと変わらない。
2014(平成26)年4月27日に購入した、東京駅弁のパッケージ。駅弁の容器や中身や値段に変化はない。ケータイ向け商品紹介ページのURLと思われるQRコードが、ふたに加わった。
2011(平成23)年2月18日に購入した、東京駅弁のパッケージ。2003年のものとの色合いの違いは、スキャナのせいかもしれない。引き続き、パッケージの構造と意匠は変わらない。パッケージと食品表示ラベルで、バーコードの番号が異なるのは不思議。
2003(平成15)年3月1日に購入した、東京駅弁のパッケージ。調製元について、後の「NRE大増」の所在地や連絡先で、当時は「日本レストラン調理センター」を名乗っていた。
2001(平成13)年12月23日に購入した、東京駅弁のパッケージ。チキン弁当のパッケージの、意匠や構造は変わらない。
2009(平成21)年12月16日に発売か。上記の伝統の駅弁「チキン弁当」のハーフサイズ。通常版は2区画ある白いプラ製トレーを1区画だけ使用し、グリーンピースと玉子そぼろが載ったケチャップ味のチキンライスの上に、濃厚な味の衣が付いた鶏唐揚2個とポテトサラダを詰める。味は通常版とまったく同じ。
通常版が食べきれなくなったり少しだけ食べたい人に最適のタイプ。NREはJR東日本の子会社のコンビニ「NEWDAYS」へコンビニ弁当を卸しているため、そのままコンビニで売れば駅弁のPRになると思うが、コンビニで時々チキン弁当を売る時にはいつも、コンビニ風のプラ製容器が使われている。現在は売られていない模様
※2016年7月補訂:終売を追記2006(平成18)年4月8日と9日に東京駅で開催された駅弁の日記念駅弁大会のために、2日間限定で販売された、東京駅弁名物チキン弁当の復刻版。ケチャップ味チキンライスのトレーと、鶏唐揚とポテトチップスのトレーを重ねて、商品名を書いたオレンジ色の専用紙箱に収める。プラ製フォークに加えてチキン弁当と新幹線の簡易年表が付く。
プラ製トレーや食品表示ラベルなど当時になかっただろうものも付いているが、あまりうまくない鶏唐揚、特段の感想もないケチャップライス、湿ったポテトチップス、唐揚の油が染みた紙フタで、昭和の頃や国鉄時代の駅弁の雰囲気を見事に再現していると思うし、いい味を出している。このような駅弁マニア向けな施策を、大企業NREがよくぞ打てたものだと思った。
添付の年表に記されたチキン弁当の発売時期(1964年10月)は、過去の駅弁紹介本に書かれていない情報だと思う。国鉄の分割民営化で日本食堂もその会社別に分社化されたため、チキン弁当もJR東日本系の日本食堂とJR東海系のJダイナー東海に分かれ、後者は「チキンバスケット」の名で販売が続いたが、今はない。
上記の駅弁「復刻チキン弁当」の2007年版。ふたにJR20周年マークが付き、しおりの内容がアップデートされた以外は、前年と変わらない。復刻商品だから変えてはならないのだが。復刻駅弁への人気や注目もそろそろ低くなってきた気がするので、来年はないかもしれない。
10年ぶりに復刻された、復刻チキン弁当。今回は2017(平成29)年10月から11月まで、2か月間もの販売。同年同期間のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2017」へのエントリーのために発売か。正方形のバスケット型のボール紙製容器に、白いプラ製トレーを二段重ねにして、下段にケチャップ味チキンライスを、上段に鶏唐揚とポテトチップスを詰めるのは、過去の復刻チキン弁当と同じ。パッケージの絵柄は、過去の復刻版と異なる。添付の年表には、平成29年分の記述が追加された。通常版のチキン弁当も併売。
1974(昭和49)年9月14日14時の調製と思われる、昔の東京駅弁の紙のふた。現在に残される当時の「チキン弁当」の紙ぶたのほとんどに、掲載の物と同様に油汚れのシミが付いていると思われる。
2008年10月12・13日の両日に東京駅構内で開催された「東日本縦断駅弁大会−秋−」で販売されたお弁当で、7種が用意された復刻駅弁のひとつ。1980年代の東京駅弁を再現したそうな。現役の人気駅弁「チキン弁当」と同じ構造のパッケージを使用、トレーの片方にカレーピラフ、もう片方にトンカツ4個とポテトサラダを詰める。
1980年代当時の大人気駅弁というプレスリリースを付けて売られたが、チキン弁当と異なり当時の駅弁紹介本や鉄道旅行記にもあまり登場せず、これを懐かしむ声を駅弁資料館の7年間で聞いた覚えはない。風味は野暮ったいだけで不味くはなかったのに、会場で山積みの商品を見たり買い求める客は少なかった。