東京駅から東北新幹線で約50分。宇都宮市は栃木県の中央に位置する、人口約52万人の城下町で県庁所在地。工業都市として栄えるほか、二荒山神社の門前町や、餃子の町としても知られる。駅弁は明治時代から一貫して健在。駅弁の発祥地はここだという説がある。1885(明治18)年7月16日開業、栃木県宇都宮市川向町。
1990年代の発売かどうか。東照宮造営の折に徳川譜代の松平正綱が奉納した、勇壮な日光街道杉並木をイメージしたお弁当です、と商品名のしおりに書いてある。丸いプラ製の容器を二段に重ね、緑色の紙風呂敷で包む。中身は下段がシイタケと鶏肉の五目飯、上段がおかずで鶏照焼、えび素揚げ、ゆば焼、タケノコ煮、かまぼこ、青菜、わらび、ぜんまい。柔らかい味わいを持つお弁当。
日光杉並木とは一般に、現在の栃木県内で日光街道、日光例幣使街道、会津西街道にまたがる、約37キロメートルに渡り道路の両側に植えられた、約1万2千本のスギの街路樹のことをいう。江戸時代の寛永2年(1625年)から慶安元年(1648)年までかけて街道沿いにスギが植えられ、これが松平正綱の東照宮への寄進によることは上記のとおり。老化や伐採、開墾や開発、自動車の登場と道路の整備、環境の変化、近代的な街路樹への更新から逃れたり保護され、1922(大正11)年には国の史蹟に、1952(昭和27)年には特別史跡に、1954(昭和29)年には国の天然記念物に、1956(昭和31)年には特別天然記念物となり、今もこの規模が残される。
※2022年7月補訂:写真を更新し解説文を手直し2001(平成13)年9月30日に購入した、宇都宮駅弁の風呂敷。当時は駅弁の名前を貼り付け、食品表示はタグにしていた。丸いプラ容器、中身、そしてなんと価格も、上記の2022年のものと変わらない。
2008(平成20)年9月11日に旧作をリニューアル。大小の正方形の容器を二段重ねにして、中身の写真と駅弁の名前を書いた黄色いボール紙の枠にはめる。中身は下段が御飯で白飯とこんにゃくを混ぜたタケノコおこわにナス漬、上段がおかずで霧降高原豚の味噌焼、焼売、かまぼこ、ゆば、タケノコ、かんぴょう、煮豆、漬物など。下段の御飯がたっぷりなのに上段がどれも薄味なので、御飯のおかずに欠く印象を受けるヘルシーな駅弁。価格は100円の値下げ。
※2018年10月補訂:写真を更新2010(平成22)年9月5日に購入した、宇都宮駅弁のスリーブ。「日光強めし」の2008(平成20)年9月のリニューアル時には、スリーブの絵柄も中身やおしながきを記すデザインにリニューアルされた。調製元公式サイトによると2013(平成25)年2月に「販売当時のひも掛け容器に変更」し、上記のとおり元へ戻す。中身は2018(平成30)年時点と同じ。
正方形の容器を二段重ねて、紫とピンクの中間色な掛紙代わりの紙のふたをかけて、割り箸ごと紙ひもでしばる。中身は下段が「強めし」つまりおこわで、上段が焼豚やカニ焼売や小海老やぜんまいやかんぴょうなどのおかずや付け合わせ。ひたすら山菜や漬物や付け合わせを食べさせる中高年向きの駅弁に見えて、茶飯に近いおこわが単体で食べられるので、おかずの不足感はない。2008年9月11日に上記へリニューアル。
2014(平成26)年4月から6月までのJR東日本の観光キャンペーン「本物の出会い栃木」に合わせて、同期間中の4月1日から6月30日まで、東京、大宮、宇都宮、那須塩原の各駅で販売。後述する「なすべん」を、駅弁として販売したもの。二段重ねの容器の下段にはおむすび、山菜寿司、きんぴら入り煮物、上段にはハンバーグ、肉団子、ネギ味噌焼、ジャージーミルク玉ようかん、ブルーベリー入りコンポートなどを収める。那須の食材をいろいろ詰めているが、一言で表せばハンバーグ弁当になるのだろうか。中身に玄米もかんぴょうもグルテンミートもなく、掛紙のデザインともども、普段の宇都宮駅弁らしくない感じ。
「なすべん」ないし「那須の内弁当」とは、栃木県那須郡那須町の農家や商工会や観光業者などが参画し2005(平成17)年に発足した組織「なすとらん倶楽部」が、2010(平成22)年に開発したお弁当。かつて黒磯駅の駅弁にもなっていた九尾の狐伝説にちなみ、駅弁の掛紙にもイラストで描かれるとおり、「那須の米(コシヒカリ)(を使うおにぎり)」「那須のニラ」「那須の(白美人)ネギ」「那須和牛(をメイン料理とする)」「那須の(美)ナスまたは(春香)ウド」「那須の旬(の高原)野菜(山菜でも可)」「那須の食材(を使ったスープ)」「那須のフルーツ」「那須の牛乳」の9つの食材を使った9つの料理で構成する。さらに、正式名称「那須の内弁当」愛称「なすべん」とする、「なすべんプレート」の使用、9種類の料理はすべて個別の器に盛る、おしながきをつける、販売価格は1,200円(税込)以下とするというルールもある。
この定義に従い、当初は地域で7軒のホテルやレストランが料理を販売、後に取り扱い店舗を増やし、5年で約15万食を提供したという。この取組は2015(平成27)年に都市農山漁村交流活性化機構「地産地消優良活動表彰」の農林水産省食料産業局長賞に選定され、2016(平成28)年には農林水産省「農林水産祭」における「豊かなむらづくり全国表彰事業」で関東ブロックの農林水産大臣賞を受賞した。駅弁は3か月で終わったが、なすべんは那須のレストランでの提供が続く。
1998(平成10)年4月10日の駅弁の日に発売か。木目調発泡材で作った引き出し付きの重箱に赤い柄の紙をかけて、赤い紙ひもでしばる。中身は下段が酢飯のおにぎりとおこわの茶飯、上段にきすげの天ぷらと煮物、日光ゆば、レンコン挟み揚、鳥照焼、焼鮭、桜大福など。2006年以降の販売は確認できていない。
ニッコウキスゲは、1984年から栃木県日光市の市花。霧降高原のその名もキスゲ平では、6月から7月にかけて数万株が黄色い花を付ける。しかし1994年頃までにシカ害で全滅に近い被害を受けたため、防護策の設置や苗の手植えなど、地域や市役所の努力が続いている。
※2015年8月補訂:終売を追記黒い正方形のプラスティック容器を二段に重ね、下段は一面の白御飯、上段はハンバーグにカニ爪フライ、サーモンの揚げ物に鶏肉玉子、蒲鉾に玉子焼、そして帆立や人参などの煮物など、個々が小さくない多種の食材が折り重なる豪華な駅弁。購入時に暖かく、半日近く市中を引き回してすっかり冷たくなってから食べたのに美味いと、これは本物の駅弁だ。価格は高いが満足できるはず。2008年に調製元が駅弁から撤退したため、この駅弁も終売となった。
※2009年3月補訂:終売を追記